健診で「γGTPが高い」と言われたら?
健診結果を見て不安になった方へ
健診の結果用紙に「γGTP(ガンマジーティーピー)」という数値があり、「基準値より高い」と書かれていると、不安になる方は多いかと思います。結論から言うと、γGTPが高いからといって必ずしも重い病気があるわけではありません。ただし、体からのサインであることは間違いありませんので、放置せずに確認することが大切です。そこで今回は、γGTPについてのお話をしていきたいと思います。
γGTPとは何を示す数値?
γGTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝臓や胆道(胆汁の通り道)に多く存在する酵素です。アルコールや薬剤、脂肪肝などによって肝臓や胆道に負担がかかると、この数値が上がりやすいんです。
健康診断では「肝機能の指標」としてチェックされることが多いですが、実は肝臓の状態だけでなく、生活習慣の影響を映し出していることもあります。
よくある原因は「お酒」だけではない
1. アルコールの影響
毎日飲んでいる、量が多い、休肝日がない、こうした方はγGTPが高く出やすいです。特にビールや焼酎だけでなく、ワインや日本酒でも影響は同じです。
2. 脂肪肝(メタボリック症候群)
「お酒はほとんど飲まないのに高い」という方も少なくありません。その多くは脂肪肝です。内臓脂肪が増えると肝臓に脂肪がたまり、γGTPも上がります。肥満、糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)などとセットで見つかることが多いです。
3. 薬の影響
一部の薬(降圧薬、鎮痛薬、抗てんかん薬など)は肝臓に負担をかけることがあります。なので、健診でγGTPの異常を指摘された際には、内服中のお薬についても確認させていただくようにしています。
4. 肝炎や胆道系の病気
ウイルス性肝炎(B型肝炎やC型肝炎)、自己免疫性肝炎、胆石症などが原因で上がることもあります。これらは早期発見が重要です。
数値が高いときにチェックすべきこと
私が外来で患者さんにお伝えしているのは、まず次のことを振り返ってみましょう、ということです。
- お酒はどのくらい飲んでいるか?(量・頻度・飲み方)
- 体重は増えていないか?お腹周りが大きくなっていないか?
- 薬やサプリを服用していないか?
- 健診の他の数値(AST、ALT、中性脂肪、血糖値など)はどうか?
これらを一緒に確認することで、原因の見当がつきやすくなります。
放置していい数値なのか?
「少し高いだけなら大丈夫ですか?」という質問もよくいただきます。
一時的な上昇で自然に下がることもありますが、繰り返し高値が続く場合には注意が必要です。特に以下のような方は精密検査をおすすめします。
- γGTPが毎年高いまま変わらない
- お酒を控えても下がらない
- 他の肝機能数値(AST、ALT)も上がっている
- 倦怠感、黄疸(皮膚や白目が黄色い)、尿が濃いといった症状がある
実際の診療でよくある流れ
当院で多いのは、「健診でγGTPが高いから心配で来ました」というケースです。まず血液検査で他の肝機能や脂質、血糖値をチェックし、必要なら腹部エコーで肝臓や胆のうの状態を見ます。脂肪肝が原因のことも多いですが、中には胆石や肝炎が見つかることもあります。
生活習慣を見直すだけで改善することもあれば、専門的な治療が必要になる場合もあります。
改善のためにできること
- お酒を控える:週に2日は休肝日を作りましょう。
- 食事の見直し:揚げ物や脂っこい料理を減らし、野菜・魚・大豆製品を意識する。
- 体重管理:特にお腹の脂肪を減らすことが効果的です。
- 運動習慣:ウォーキングなどの有酸素運動を週3回以上続ける。
- 薬やサプリの確認:自己判断せずに、医師に相談しましょう。
まとめ
健診で「γGTPが高い」と言われても、慌てる必要はありません。ただし、原因を放置してしまうと将来の病気につながる可能性があります。
- お酒だけでなく、脂肪肝や薬の影響もある
- 他の数値や生活習慣とあわせてチェックが必要
- 生活改善で下がるケースも多い
- 必要に応じて血液検査やエコーで確認を
安心して相談できる医療機関で早めにチェックすることが、将来の健康につながることもあります。なので、もし健診結果異常を指摘されることがありましたら、ぜひ一度ご相談いただければと思います。