訪問診療

訪問診療とは

訪問診療とは、医師が患者さまのご自宅や施設を定期的に訪問し、計画的な医療を提供する診療形態です。病気や障害のために通院が困難な方を対象に、月に1～2回を目安としてご自宅へ伺い、診察や処方、療養上の相談などを行います。急な体調変化に対応する「往診」とは異なり、訪問診療はあらかじめスケジュールを決めて実施される点が特徴です。
当院では、ご自宅からの通院が困難な患者さまを対象として、訪問診療も行っております。

訪問診療の対象となる方

訪問診療の対象となるのは、主に以下のような方々です。

• 慢性疾患（心不全、糖尿病、脳梗塞後遺症、認知症など）を抱え、通院が難しい方
• 寝たきりや身体障害により移動が困難な方
• 終末期医療（ターミナルケア）をご希望の方
• 医療的ケアが必要な在宅療養者（酸素療法、胃瘻、膀胱カテーテル管理など）

高齢者施設に入居されている方も対象となります。医師の判断に基づき、訪問診療の適用可否を判断いたします。

訪問可能エリア

訪問診療で対応可能な内容

訪問診療では、次のような医療を提供します。

• バイタルチェック（血圧、脈拍、体温など）の定期観察
• 内服薬の処方や管理の指導
• 血液検査、尿検査などの基本的な検査
• 床ずれや創傷の処置
• 点滴や在宅酸素の管理
• 終末期医療・緩和ケア
• 介護サービスとの連携・アドバイス

また、医療機関と同様に診療報酬制度に基づき、再診料や医学管理料が算定されます。診療内容は厚生労働省が定めた基準を厳守しており、適切な診療計画書の作成・管理を行います。

事前のご相談・契約が必要です

訪問診療を開始するには、あらかじめ医師による診察およびご本人・ご家族との面談を行い、診療内容や訪問頻度を決定します。そのうえで「訪問診療契約書」を締結し、継続的な診療体制を整えます。状態の変化や必要に応じて、随時診療内容を見直すことも可能です。

24時間対応体制について

訪問診療を受けている患者さまには、原則として24時間365日、緊急時の対応が可能な体制を整えています。夜間や休日などに急な体調不良があった場合には、電話での相談や必要に応じた往診により、安心して在宅療養を継続していただけるよう支援します。

訪問診療のメリット

訪問診療には以下のような利点があります。

• 自宅にいながら医療を受けられる安心感
• 通院の負担がなく、ご家族の介助負担も軽減される
• 医師が定期的に状態を確認することで、病状の早期発見・早期対応が可能
• 医療と介護の連携がスムーズに行える

訪問診療を受けやすい方の特徴

訪問診療は、単に通院が困難であるという理由だけでなく、日常的に医療的なサポートが必要な方に適しています。たとえば、以下のような方は訪問診療の対象になりやすい傾向があります。

• 外出時に車いすやストレッチャーを必要とする方
• 医師による定期的な病状管理が必要な在宅療養中の方
• 認知症が進行しており、通院が困難な方
• 退院後の継続的なフォローが必要な方

費用について

訪問診療の費用は、健康保険および介護保険が適用されます。医療費の自己負担割合は保険の種類や年齢に応じて異なりますが、高額療養費制度などを利用することで、自己負担を抑えることも可能です。月ごとの定額負担となる場合が多く、訪問回数や処置内容によって費用が異なります。詳細は個別にご説明いたします。
ご自宅でも「安心して医療が受けられる環境」を整えるために、訪問診療という選択肢があります。通院が難しくなった方や、日常的に医療のサポートが必要な方は、ぜひお気軽にご相談ください。