- 咳で肋骨が痛い
- 咳の力によって引き起こされる筋肉痛・骨折
- 肺炎・胸膜炎による胸部の痛み
- 骨粗鬆症が関与しているケースも
- 咳によって起こる「気胸」に注意
- 咳で肋骨・あばら骨が痛いときの対処法
- 自己判断せず、医療機関での診察を
咳で肋骨が痛い
日常生活の中で咳が続くと、それだけで身体に負担を感じるものですが、「咳をするたびに胸(肋骨・あばら骨)が痛む」という症状を経験される方も少なくありません。このような痛みは、ただの風邪によるものだと自己判断してしまいがちですが、実際にはさまざまな病気や状態が関係している可能性があります。ここでは「咳による胸(肋骨・あばら骨)の痛み」についてご説明いたします。
咳の力によって引き起こされる
筋肉痛・骨折
咳をすると、胸郭(胸の骨と筋肉)に強い圧力がかかります。また、咳が長引いている場合には、その繰り返しによって、筋肉痛のような痛みが出ることがあります。これは肋間筋や腹筋の過度な使用によって引き起こされるものです。さらに、咳の刺激で肋骨にひびが入ってしまう。肋骨の「疲労骨折」を起こすこともあるので、注意が必要となります。
肺炎・胸膜炎による胸部の痛み
咳に加えて左右のどちらかに強い胸の痛みがある場合、肺炎や胸膜炎の可能性も考える必要があります。これらの病気では、炎症が肺やその周囲の胸膜に及ぶことによって、安静時にも痛みが生じることがあります。この場合、通常は安静時にも痛みがあることがほとんどですが、咳に伴って痛みが増強されることも少なくありません。特に胸膜炎では、深呼吸や咳で痛みが悪化しやすいのが特徴の一つになります。肺炎や胸膜炎の場合、発熱や倦怠感、呼吸困難などの他の症状を伴うことが多いので、このような症状にも注意を傾けていく必要があります。
骨粗鬆症が関与している
ケースも
中高年の女性に多い「骨粗鬆症」も、咳による肋骨の痛みと関係することがあります。骨粗鬆症は、骨の密度が減り、骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症が背景にあると、咳の刺激によって「肋骨骨折」を引き起こしてしまう可能性があるんです。特に転倒などの外的要因がなくても、咳だけで骨に亀裂が入ることがあるため、注意が必要になります。
咳によって起こる
「気胸」に注意
激しい咳が続くと、まれに肺に穴があいてしまい、肺がしぼんでしまう「気胸」を引き起こすことがあります。気胸になると、咳のたびに胸の鋭い痛みを感じたり、息苦しさが現れるのが特徴です。特に、若くてやせ型の男性や、肺の病気を持つ人はリスクが高いとされています。気胸は自然に治ることもありますが、脱気の処置が必要であったり、重症の場合には入院治療が必要な場合もあるため、咳によって胸の痛みを感じるようになったら、早めに医療機関を受診するのが大切になってきます。
咳で肋骨・あばら骨が痛いとき
の対処法
咳が続くことで肋骨やあばら骨に痛みを感じる場合、まずは咳を和らげることが大切です。室内を加湿したり、ハチミツやのど飴をなめたり、こまめに水分補給するなどをして喉の乾燥を防ぐことによって、まずは咳の過敏性を少し抑えてみてください。市販の咳止め薬を使用するのも一つの方法ですが、長引く場合は医療機関を受診することも大切です。肋骨周辺の痛みが強いときは、無理をせず安静に過ごし、痛みがある局部を冷やしてあげることも、痛みの緩和につながることがあります。また、咳をするときに両腕で胸を軽く抱えるようにして圧迫すると、咳の衝撃が肋骨へ伝わる度合いを多少軽減することができる場合もあります。湿布や鎮痛薬(市販の消炎鎮痛剤)を使用して痛みを和らげるのも効果的です。ただし、深呼吸や咳で激痛が走る、腫れや変形があるといった場合には、肋骨の骨折なども疑われるため、その際には速やかに受診してください。
自己判断せず、
医療機関での診察を
「咳による肋骨の痛み」は軽視されがちな症状ですが、日常生活に支障を来たし、生活の質を低下させることもあります。なので、症状が長引いたり、痛みが強くなったりする場合は、我慢せずにぜひ一度ご相談ください。