- 微熱が続くとき
- 微熱とは?体温(平熱)の目安
- 微熱が続くときに考えられる原因疾患
- 微熱が続くのはストレスが原因?
- 微熱が続くのは自律神経の乱れ?
- 微熱が続くときの主な検査項目
- 微熱が続くときは、お気軽にご相談ください
微熱が続くとき
「微熱が続くけれど、なかなか治らない…」そんなお悩みで受診される方は、少なくありません。
高熱が続く場合には、肺炎・尿路感染、敗血症などの細菌感染症、インフルエンザや新型コロナウイルスなどのウイルス感染、などの急性の感染症を第一に考えることが多いです。
一方で、微熱が持続する場合には、比較的ゆっくり進行する、慢性の病気が原因のことが多く、高熱が出る場合の急性期疾患と比べて、見落とされやすいので注意が必要です。
そこで今回は、「微熱が続く」場合に考えられる代表的な病気や状態について、詳しく紹介します。
微熱とは?体温(平熱)の目安
37.5℃以上を「発熱」と定義することが多いです。一方で微熱に関しては、明確な定義はないものの、一般的には37.0℃~37.4℃を微熱と考えることが多いと思います。実際には、体温には個人差があるので、この定義を絶対的なものとして考えるのではなく、その人その人の平常時の体温(平熱)を参考にして、総合的に考えていくことが大切になってきます。
微熱が続くときに考えられる
原因疾患
結核、非結核性抗酸菌症
結核はかつての「昔の病気」というイメージがあるかもしれませんが、実は現代でも発症が確認されている感染症の1つです。高齢者や免疫力が低下している方では特に、あまり高熱にはならずに微熱のまま続くことがあります。咳や倦怠感、体重減少などの症状が同時に現れることもあります。また、結核とは異なる、非結核性抗酸菌症という病気も近年注目されており、長引く微熱、咳の原因となることがあります。
慢性炎症性疾患
(膠原病など)
関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫性疾患では、体内で慢性的に炎症が起こっており、その影響で微熱が続くことがあります。発熱のほかに関節痛や筋肉痛、皮膚症状などがみられる場合、膠原病の可能性を鑑別の1つに上げていく必要があります。
内分泌の異常
(甲状腺機能亢進症など)
甲状腺機能が亢進する「バセドウ病」などでは、代謝が過剰に高まることにより、微熱や動悸、手の震え、体重減少といった症状が現れることがあります。自覚症状がはっきりしない場合でも、微熱だけが続いて受診されるケースもあります。
がんによる発熱(腫瘍熱)
長期間にわたる原因不明の微熱が続く場合、まれではありますが、悪性腫瘍(がん)が関係していることもあります。特に血液のがん(悪性リンパ腫や白血病)などでは、目立った自覚症状がなくても微熱や倦怠感のみが続くことがあります。血液検査や画像検査を通じて、慎重に診断を進める必要があります。
インフルエンザ
インフルエンザといえば高熱が出るイメージがありますが、免疫力が高い若年層やワクチンを接種している場合などでは、38℃未満の微熱が続く軽症型インフルエンザもあります。また、発症から数日経ってもウイルスの影響が体内に残っている場合、一時的に熱が下がっても、微熱がダラダラ続くことがあります。特に全身の倦怠感や関節の痛み、喉の痛み、咳などが続く場合には注意が必要です。発症後3〜5日以上経っても微熱が続く場合や、症状や微熱がぶり返す場に合は、二次感染や合併症の可能性もあるため、医療機関を受診して検査を受けることをおすすめします。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染は、高熱を伴わず、37℃前後の微熱が長く続くタイプも多く報告されています。特にオミクロン株以降は軽症化するケースが多く、「のどの痛み」「咳」「だるさ」などを伴いながら、1週間以上微熱が続くことも珍しくありません。「微熱だけが続く」ケースでも、周囲に感染を広げるリスクがあるため、抗原検査などを行い、診断をつけることは大切なことです。微熱が数日続き、風邪薬でも改善しない場合は、新型コロナウイルス感染の可能性も考慮し、医療機関に相談してみてください。
その他の原因:
薬剤熱・慢性感染症など
服薬中の薬が原因で発熱が生じる「薬剤熱」や、尿路感染症・副鼻腔炎などの慢性感染症も、微熱が続く原因となります。
微熱が続くのは
ストレスが原因?
ストレスが長時間続いたり過度にストレスがかかったりすると、体温調節に関わる自律神経の働きを乱し、平熱より少し高い状態(37℃前後)が続くことがあります。心配ごとが多かったり、精神的な緊張状態が続いていると、交感神経が優位になり、体が常に「戦闘モード」となって微熱を出しやすくなるんです。風邪のような他の症状がなく、仕事や生活に強いストレスを感じている方は、「ストレス性の微熱」の可能性も考える必要があるかと思います。
微熱が続くのは
自律神経の乱れ?
自律神経の乱れによって体温調節がうまくいかなくなると、原因が特定しづらい微熱が続くことがあります。これは「自律神経失調症」の一症状で、特に朝や夕方に体温が上がる傾向があります。眠りが浅い、動悸、体がだるいなど他の不調を伴うことも多く、生活リズムの乱れや慢性的な疲労が背景にあることが多いです。この場合には、休養とストレス軽減が改善の鍵となります。
微熱が続くときの主な検査項目
当院では、微熱が続く患者さまには、まず問診と診察で症状の経過や随伴症状を詳しくお伺いします。その上で、必要に応じて以下の検査を行います。
- 血液検査(炎症反応、白血球数、甲状腺ホルモン、膠原病マーカーなど)
- 胸部レントゲン検査(結核や肺がんの除外)
- 尿検査(腎盂腎炎や膠原病の合併症の確認)
- 必要に応じてCT検査や専門医への紹介
微熱が続くときは、
お気軽にご相談ください
「微熱が続く」という症状は、些細に見えてもその背景にはさまざまな病気が隠れている可能性があります。特に、癌が隠れていたり、結核が隠れていることで感染を広げてしまったりすることもあるので、微熱が続くなどの体調の変化を感じた際には、「少し熱っぽいだけだから」などと自己判断で放置するような事はせず、ぜひ一度ご相談ください。