蕁麻疹(じんましん)とは

蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、かゆみを伴う発疹が現れる皮膚の病気です。発疹は、表面が赤く(紅斑)、蚊に刺されたような膨らみ(膨疹)が現れることが多く、数十分から数時間で自然に消えることが多いものの、出たり消えたりを繰り返しながら、1か月以上続く場合もあります(慢性蕁麻疹)。その際には生活の質に大きく影響することにつながります。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹は非常に多様な要因で引き起こされます。代表的な原因には、以下のようなものがあります。
- 食品(卵、魚介類、ナッツなど)
- 医薬品(解熱鎮痛薬、抗生物質など)
- 温度の変化(寒冷刺激や入浴後の温熱)
- 精神的ストレスや過労
- ウイルスや細菌感染
- 圧迫や摩擦などの物理的刺激
- 飲酒
ただし、全てのケースで原因が特定できるわけではなく、原因がはっきりしない場合(特発性蕁麻疹)が1番多いです。
蕁麻疹になりやすい人とは?
体質や遺伝的な要因も影響するため、アレルギー体質のある方や、過去にアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などの疾患を経験したことのある方は、蕁麻疹を発症しやすい傾向があります。また、仕事や家庭で強いストレスを感じている方、慢性的な疲労が続いている方も、発症リスクが高まることがあります。
蕁麻疹の初期症状と経過

蕁麻疹の発疹は、突然皮膚に出現し、数時間以内に自然と消えるのが特徴です。かゆみを伴うことが多く、掻いてしまうことで症状が悪化したり、別の部位に広がることもあります。また、症状が1日だけで終わる「急性蕁麻疹」と、6週間以上続く「慢性蕁麻疹」に分けられます。慢性化すると、日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な治療をすることが勧められます。
また、蕁麻疹は皮膚の表面にだけ現れるとは限りません。気道の粘膜などにも蕁麻疹のような変化が現れることがあります。その際には、急に息が苦しくなったり、ゼイゼイ、ヒューヒューと音を立てたり、ショック症状を起こす場合もあり得ます(アナフィラキシーショック)。このような呼吸器症状を伴う蕁麻疹の場合には、特に緊急の対応が必要となってきます。
蕁麻疹の検査と診断
蕁麻疹の診断は、まず問診を通じて症状の出方や生活習慣、使用している薬などの情報を確認します。必要に応じて血液検査やアレルギー検査を行い、原因となる要素を探ります。
ただし、検査を行っても原因が明確にならないケースが実際のところ多いです。そのような際には、症状の経過観察と生活環境の見直しが特に大切になってきます。
蕁麻疹の治療
蕁麻疹の治療では、まず症状を和らげることが目的となります。
主に使用されるのは抗ヒスタミン薬で、かゆみや発疹を抑える効果があります。症状が強い場合や、抗ヒスタミン薬だけでは効果が不十分な場合には、医師の判断で他の薬剤を併用することもあります。
また、原因が明らかな場合には、その原因物質の除去や回避をすることも大切になってきます。
蕁麻疹の日常生活での
注意点(予防)
蕁麻疹を予防・再発防止するためには、日常生活におけるセルフケアも重要です。以下のような対策が有効とされています。
- 十分な睡眠とバランスのとれた食事で体調を整える
- ストレスをためこまず、リラックスできる時間を設ける
- 発疹を引き起こす可能性のある食品や薬剤を避ける
- 皮膚を掻きすぎないように注意する
- 長時間の入浴や熱すぎるお湯は避ける
気温の急激な変化にも注意が必要です。寒冷や温熱刺激によって発症するタイプの蕁麻疹では、冷房や暖房の調整も重要なポイントとなります。
早めの相談が
安心につながります
蕁麻疹は一時的に治まることも多いですが、繰り返す場合や慢性的に続くようであれば、ぜひ一度当院へご相談ください。