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舌下免疫療法

アレルゲン免疫療法
(舌下免疫療法)とは

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)とはアレルギー性鼻炎や花粉症などの症状でお困りの方にとって、根本的な体質改善を目指せる治療法として注目されているのが「舌下免疫療法」です。その中でも、近年多くの患者様が選択している方法が「舌下免疫療法」です。これは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を舌の下に一定時間保持した後、飲み込む、ということを毎日継続することによって、アレルギー反応を引き起こしにくい体質へと導いていく治療法です。これを数年にわたって継続することで、少しずつ体がアレルゲンに慣れていき、過剰な免疫反応が起きにくくなると考えられています。


アレルゲン免疫療法
(舌下免疫療法)の対象となる
アレルギー疾患とアレルゲン

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)の対象となるアレルギー疾患とアレルゲン現在、日本国内で舌下免疫療法の対象となっているアレルゲンは「スギ花粉」と「ダニ」の2種類に限られています。いずれもアレルギー性鼻炎の主な原因となっている物質で、日常的にくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状が続く方に適応されます。
治療の前には、血液検査などでアレルゲンを正確に特定することが必要です。どのアレルゲンが症状の原因となっているかを明らかにしたうえで、適応の有無を医師が判断します。
当院では、イムノキャップラピッド®︎という検査キットを用いてアレルゲンの検査を行っていきます。

イムノキャップラピッドアレルゲン8の特徴

  • 指先からの微妙な血液だけで、簡単に検査することができます。一般採血で用いる注射器は使いませんので小さいお子さんでも安心して行ってもらうことができます。
  • 検査結果が20分ほどで出るので、受診当日に結果をお伝えすることができます。
  • スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、シラカンバ、イヌ、ネコ、ヤケヒョウダニ、以上8つのアレルゲンを調べることができます。

舌下免疫療法の
治療期間と開始時期

舌下免疫療法は短期間で効果が現れるものではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。一般的には3年以上の継続が推奨されており、毎日決まった時間に薬を服用することが重要です。効果の現れ方には個人差がありますが、継続によって症状の軽減や、薬の使用量の減少が期待できます。
治療を始める時期にも注意が必要です。たとえばスギ花粉に対する舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散している時期をさけて、6月から11月くらいから治療を開始することが原則とされています。
当院では、スギ花粉に対してはシダキュアを、ダニアレルギーに関してはミティキュアを用いて治療を行っています。

項目

シダキュア
(スギ花粉アレルギー用)

ミティキュア
(ダニアレルギー用)

対象疾患

スギ花粉症

通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー)

開始時期の推奨

スギ花粉の飛散していない時期(6月~11月)

いつでも開始可能

初回投与

医療機関内で監視下に1錠(1000JAU)

医療機関内で監視下に1錠(3300JAU)

維持量

1日1回 1錠(5000JAU)

1日1回 1錠(10000JAU)

投与方法

舌の下に1分間保持後に飲み込む

治療期間の目安

3年以上の継続が推奨

効果の期待される時期

数ヶ月~1年で症状軽減を実感することが多い

主な副作用

口の内のかゆみ・腫れ、咽頭違和感など

重篤な副作用

ごくまれにアナフィラキシー

使用年齢制限

5歳以上の方から処方可能です。
当院では小学1年生以上からの治療開始をお勧めしています。


舌下免疫療法の
副作用と安全性について

舌下免疫療法は比較的安全性の高い治療とされていますが、体質によっては軽微な副作用が出ることがあります。代表的なものとしては、口の中のかゆみや違和感、腫れ、喉の不快感などが挙げられます。多くの場合、これらの症状は一時的で自然におさまりますが、まれに重いアレルギー反応が起こることもあります。
そのため、初回の服用は必ずクリニック内で行い、体の反応を確認したうえで、2日目以降の自宅での継続服用に移行していきます。


舌下免疫療法を受けるには

この治療を受けるには、まず診察を受け、アレルギー症状や生活状況、アレルゲンの特定検査を行います。診断の結果、舌下免疫療法が適していると判断された場合に、治療がスタートします。
途中で治療を中断すると十分な効果が得られない可能性があるため、開始前には治療の内容や期間、注意点などをよく理解しておくことが大切になってきます。


舌下免疫療法が向いている人

以下のような方は、舌下免疫療法の対象になりやすいと考えられます。

  • スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎で、毎年強い症状に悩まされている方
  • 対症療法だけでは効果が不十分な方
  • 長期的に症状を軽減させたいと考えている方
  • 日常的に服薬を継続できる意志がある方

一方で、重篤な喘息を合併している方や、免疫系の病気をお持ちの方など、一部の方には適応されない場合がありますので、診察の際に相談させていただきます。


舌下免疫療法の費用

舌下免疫療法は保険が適用される治療のため、自己負担は1~3割で済みます。ここでは代表的なお薬である「シダキュア(スギ花粉)」と「ミティキュア(ダニ)」を使った場合の費用例をご紹介します。

シダキュア(スギ花粉症用)の場合

1ヶ月あたりの薬剤費(3割負担の場合):約1,600円〜2,000円前後

※初回は診察や処方、アレルギー検査などが加わるため、3,000〜5,000円程度になることがあります。
シダキュアは、スギ花粉の飛散時期に関係なく継続することが大切になってきます。効果を得るには少なくとも3年、できれば5年間の継続が推奨されています。

ミティキュア(ダニアレルギー用)の場合

1ヶ月あたりの薬剤費(3割負担の場合):約1,500円〜1,800円前後

※初回は診察や検査が加わるため、3,000〜5,000円程度になることがあります。
ミティキュアについても、シダキュアと同様に少なくとも3年、できれば5年間の継続が推奨されています。

その他にかかる費用

薬の費用のほか、月1回の診察料(再診料や処方料など)が加わります。トータルでは、毎月おおよそ2,500円〜3,500円程度になることが一般的です。
また、初回はアレルギー検査(血液検査など)を行う場合があるため、別途費用がかかります。

舌下免疫療法は継続が大切な治療です。費用について不安がある場合は、お気軽にご相談ください。


まとめ

舌下免疫療法は、アレルギー性鼻炎や花粉症に長く悩まされている方にとって、症状の緩和と生活の質の向上を目指せる選択肢のひとつです。ただし、すべての方に効果があるわけではなく、長期間にわたる継続が必要な治療であることを理解した上で始めることが大切になってきます。
毎年のアレルギー症状にお困りで、根本的な改善を目指したいとお考えの場合には、ぜひ一度相談してみてください。