- インフルエンザとは
- インフルエンザの種類
- インフルエンザの初期症状
- インフルエンザの感染経路
- インフルエンザのうつる期間
- インフルエンザの出席(出勤)停止期間は?
- インフルエンザの治療(薬)
- インフルエンザワクチンの効果
- まとめ
- インフルエンザに関するよくある質問
インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルス(主にA型・B型)によって起こる急性の呼吸器感染症です。主に毎年冬の寒い季節(12月〜3月)に流行します。「風邪と似たようなもの」と思われがちですが、実際には一般的な風邪よりも全身に強い症状を引き起こすことが多い感染症です。特に、高齢者や基礎疾患を持つ方では重症化するリスクが高いため注意が必要な感染症になります。
インフルエンザの種類
インフルエンザウイルスの種類は、一般的な大流行を起こすタイプは、A型とB型になります。
A型
A型インフルエンザは最も流行しやすく、多くの年で大規模な流行(流行の主役)を引き起こします。症状が強く、突然の高熱や体のだるさ(全身倦怠感)、体の節々の痛み(関節痛・筋肉痛)などを引き起こすことが多いのが主な特徴です。ウイルスの変異が起こりやすいため、毎年流行の傾向が変わりやすい点も、A型の特徴になります。
B型
B型インフルエンザはA型に比べて流行規模がやや小さいものの、長期間流行する傾向があります。症状はA型よりやや軽いとされることがありますが、腹痛や下痢などの消化器症状が目立つことがあります。特に小児で多く見られる型です。
A型、B型に加えて、あまり知られていませんが、実はC型というタイプも存在します。
C型
C型インフルエンザは症状が軽く、一般的な風邪と区別がつきにくいことが多いタイプです。高熱が出ることは稀で、軽い上気道症状で済むことがほとんどです。大規模な流行は起こさず、子どもに多いのが特徴です。
インフルエンザの初期症状
インフルエンザの主な症状は、突然の高熱(38℃以上)・強い倦怠感・頭痛・筋肉痛・関節痛・のどの痛み・咳などです。また、「体が鉛のように重い」「関節が痛い」といった全身症状が全面的にでることもあります。
子どもの場合には、嘔吐や腹痛などの消化器症状を伴うこともあります。
インフルエンザの感染経路
インフルエンザは主に「飛沫感染」と「接触感染」によって広がる感染症です。咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染するほか、ドアノブ・手すり・おもちゃなど日常的に触れる物に付着したウイルスが手に移り、その手で口や鼻、目などの粘膜に触れることによっても感染が成立します。家族内や学校、職場など人が集まる場所では、特に注意が必要です。
インフルエンザのうつる期間
インフルエンザは、一般的に発症1日前から発症後5日程度までは人にうつす可能性が高い期間になります。特に発症直後の1〜2日間はウイルス量が多く、最も感染力が強い時期です。一方で、症状が軽くなっていてもウイルスを排出している場合があるため、油断は禁物になります。また、小児の場合にはウイルス排出期間が長くなる傾向があり、1週間以上感染力が続くこともあります。もし発症した場合には、無理をせず、周囲への感染を防ぐためにマスク着用や外出を控えることが大切になってきます。
インフルエンザの潜伏期間は?
潜伏期間とは、ウイルスが体内に侵入してから症状が出るまでの期間のことを指します。インフルエンザの場合の潜伏期間は、一般的に「1〜3日」とされており、比較的短いのが特徴です。また、症状が出る前からウイルスを排出し始めるため、発症直前でも周囲に感染を広げる可能性があります。
インフルエンザの出席(出勤)停止期間は?
学校保健安全法では、「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで登校・登園できない」と定められています。社会人の場合も、解熱後2日以上は自宅で安静に過ごすことが推奨されています。
インフルエンザの治療(薬)
インフルエンザの治療では、抗インフルエンザ薬の早期投与が重要です。これらの薬はウイルスの増殖を抑え、症状を軽くし、発熱期間を短くする効果が期待できます。また、重症化の予防効果も期待できます。ただし、インフルエンザ治療薬はウイルスの増殖を抑えることによって抗ウイルス作用を持つことから、ウイルスの主な増殖期である「発症から48時間以内」に服用を始める必要があります。
薬の選択は年齢や基礎疾患、症状の重さなどを考慮して医師が判断します。なお、インフルエンザはウイルス感染症なので、細菌感染に対しての治療薬である抗生物質は効果がありません。もし使用されることがあるとすれば、細菌感染(肺炎や中耳炎など)の合併が疑われる場合のみに限定されます。
主な抗インフルエンザ薬は以下の通りです。
| 薬品名 | 特徴 |
|---|---|
タミフル(オセルタミビル) |
タミフルは最も広く使用されている内服タイプの抗インフルエンザ薬で、A型・B型の両方に効果があります。5日間の連続服用が必要となります。小児においてはドライシロップ製剤があります。 以前に懸念されていた異常行動については、タミフルの副作用ではなく、インフルエンザや高熱によって引き起こされる現象ということが分かってきています。つまり、タミフルそのものと異常行動との直接的な因果関係はないということがわかってきています。そのため、10代の患者さんにおいても、タミフルを避ける必要はありません。 |
ゾフルーザ(バロキサビル) |
ゾフルーザは、インフルエンザ治療薬の中でも1回の内服だけで治療が完結するという点が大きな特徴です。ウイルスが増えるために必要な“増殖の初期段階”をブロックすることで、症状の悪化やウイルス量の増加を早期に抑える作用があります。A型・B型のどちらにも効果があり、内服の手間が少ないため、服薬が難しい方にも使いやすい薬です。ただし、近年は薬剤耐性ウイルスの問題が指摘されており、効果が十分に得られない場合もあります。また、下痢・吐き気・発疹などの副作用が起こることもあります。 |
リレンザ(ザナミビル) |
リレンザは吸入タイプのインフルエンザ治療薬で、薬剤を粉末として吸い込み、気道に直接作用させるタイプの治療薬です。A型・B型の両方に使用され、主に1日2回、5日間の吸入治療が行われます。消化器症状が少なく、内服が苦手な方にも使いやすい一方、正しく吸入するためには一定の手技が必要です。喘息などの持病がある人では使用に注意が必要となるため、医師の判断のもとで選択していく必要があります。 |
イナビル(ラニナミビル) |
イナビルは「1回の吸入で治療が完了する」という特徴をもつ抗インフルエンザ薬です。イナビルに関しても、A型・B型の両方に対応しています。長時間体内に留まるため、2日目以降の追加投与の必要がありません。そのため、複数回の服用を好まず一回で投与を完結させたい人に向いています。一方で、吸入が苦手な子どもや高齢者では、正しく吸い込めず効果が不十分となる可能性があります。1回の吸入で治療が完了することがメリットである反面、吸入が失敗してしまったらうまく治療効果が発揮できなくなる、といった側面もあるため、吸入手技がしっかりできるかどうかを見極めていくことが大切になってきます。 |
ラピアクタ(ペラミビル) |
ラピアクタは点滴で投与するタイプの抗インフルエンザ薬で、内服ができない人や重症例によく使用されます。1回の点滴で効果が期待でき、症状の改善を早めることができます。特に高齢者、脱水のある方、嘔吐で内服が難しい方に適しています。医療機関において点滴で投与されるため、自己管理の必要がなく、安全性が高い治療方法です。重症化リスクの高い患者さんにとって重要な選択肢の一つとなります。 |
インフルエンザワクチンの効果
インフルエンザワクチンは「感染を完全に防ぐもの」ではありませんが、重症化や合併症を防ぐ効果が大きいとされています。特に高齢者や基礎疾患を持つ方では、肺炎や心不全などの合併症のリスクを減らす効果があることがわかっています。また、発熱の期間を1~2日短縮する効果もあるんです。
以下の方には、特に優先してインフルエンザワクチンを接種することをおすすめです。
- 65歳以上の高齢者
- 糖尿病・心疾患・腎疾患・呼吸器疾患のある方
- 妊婦中の方
- 小児(特に5歳以下)
- 医療・介護・教育関係者
ワクチンは毎年型が変わるため、毎シーズン予防接種を受けてもらう必要があります。例年10月頃から接種が始まるため、流行前(11月中旬まで)の接種をおすすめします。
インフルエンザの予防の基本
冬は空気が乾燥してウイルスが生き残りやすく、粘膜の防御力も低下するため、加湿器などで湿度を50〜60%に保つことが、感染を予防するためには大切になってきます。
予防の基本は以下の通りです。
- マスクの着用
- こまめな手洗い・アルコール消毒
- 外出後や食事前の石けん手洗い(20秒以上)
- 人混みを避ける
- 十分な睡眠とバランスの良い食事
こうした日常的な対策が、感染を防ぐためにはとても大切なことなんです。
まとめ
インフルエンザは毎年のように流行する身近な感染症です。重症化や合併症の予防には、早期受診・早期治療開始とワクチン接種が大切です。また、「自分は大丈夫」と油断せず、流行期には特に、手洗い・マスク・加湿といった日常の感染対策を継続してください。
元八事ファミリー内科クリニックでは、発熱外来やインフルエンザワクチン接種にも対応しています。発熱やだるさ、家族内での感染が疑われるときは、早めにご相談ください。
インフルエンザに関するよくある質問
インフルエンザは何日目が1番つらい?
インフルエンザは発症してから1〜3日目が最もつらい時期とされています。この期間は高熱・頭痛・全身の筋肉痛がピークになり、倦怠感も強く動けない状態になることが多いです。適切な休養と水分補給が特に重要な時期になります。
インフルエンザは最短何日で治る?
軽症の場合、適切な治療を受ければ発症から3〜4日で熱が下がることがあります。ただし、咳・だるさなどの症状は1週間ほど残ることが多く、完全に元気に戻るには個人差があります。治りきっていないのに無理に普段の活動を継続してしまうと、感染を広げてしまうリスクがあることはもちろんのこと、回復が遅れてしまうことにつながるため、注意が必要です。
インフルエンザは1度かかると免疫ができますか?
インフルエンザにかかると、その感染したウイルスに対する免疫は一時的にできます。しかし、1シーズンに流行するウイルスの型は一種類だけではないため、1回罹った後に別のタイプに罹ってしまうこともあります。また、インフルエンザウイルスは毎年変異する性質があるため、以前の免疫が次の年に十分効かないこともあります。そのため毎年ワクチン接種を受けてもらうことが推奨されているんです。
インフルエンザでない大人の39度の熱の原因は?
大人で39度の高熱が出てインフルエンザでない場合、急性扁桃炎・肺炎・胃腸炎・腎盂腎炎などの細菌感染が考えられる場合もあります。また、新型コロナウイルス(COVID-19)を含む別のウイルス感染症でも高熱が出ることがあります。いずれにしても、早めの診断と早期治療介入が大切になってきます。
インフルエンザで熱が出ないこともありますか?
はい、高齢者や免疫力の低下した方では、インフルエンザでも熱が上がらないことがあります。代わりに食欲低下・倦怠感・息苦しさなどが見られることがあります。なので、発熱がなくても注意が必要です。
また、高齢者の場合には、熱が出ていなくても重症化するリスクがあるため、注意が必要になります。
インフルエンザと風邪の見分け方は?
インフルエンザは突然の高熱・強い倦怠感・関節痛が特徴で、全身症状が強く出ることが多いです。一方、一般的な風邪は症状がゆるやかに始まり、のどの痛みや鼻水が中心です。症状の急激さと全身のつらさが見分けるポイントになります。しかしながら、実際には検査をしないと区別がつかないことも多いので、症状出現後は早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。
妊娠中だから、インフルエンザワクチンは打たないほうがいい?
妊婦さんでもインフルエンザワクチンはむしろ積極的に接種したほうがよいとされています。妊娠中は免疫の働きが変化し、肺が圧迫されやすくなるため、インフルエンザにかかると重症化や早産のリスクが高まることが知られています。日本のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、体内でウイルスが増えることはなく、胎児への影響も報告されていません。また、妊娠中に接種すると、お母さんが作った抗体が胎盤を通じて赤ちゃんにも届き、生後しばらくの感染予防にもつながります。接種時期は妊娠初期から後期までいつでも可能です。「妊婦だからワクチンを避ける」は誤解で、母体と赤ちゃんを守る大切な予防策と言えます。
インフルエンザ感染において、子どもと大人で症状の違いはありますか?
インフルエンザは大人と子どもで症状の出方に違いがある場合があります。
大人の場合、「急な高熱・筋肉痛・関節痛・強い倦怠感」といった全身症状が目立ちます。一方で子どもの場合には、発熱に加えて嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状が出ることも多く、けいれん(熱性けいれん)を起こすこともあります。また、体力が少ないため脱水に陥りやすい点にも注意が必要です。特に乳幼児は症状が急速に悪化することがあるため、早めの受診が大切になってきます。
また、高齢者では発熱が目立たず、食欲低下や倦怠感のみで経過する場合もあり、診断が遅れることも多いので、注意が必要です。

タミフル(オセルタミビル)
ゾフルーザ(バロキサビル)
リレンザ(ザナミビル)
イナビル(ラニナミビル)
ラピアクタ(ペラミビル)