糖尿病や脂質異常症におけるGI値の考え方
糖尿病や脂質異常症にとってのGI値とは?
糖尿病や脂質異常症の患者さんにとって、日々の食事はとても大切になってきます。薬や運動ももちろん大事ですが、毎日の食生活を整えることが、治療の基本にもなるんです。私も外来で患者さんとお話しするとき、「何を食べるか」「どのように食べるか」が血糖や脂質に大きく影響していると強く感じています。ここで注目していただきたいのが「GI値(グリセミック・インデックス)」という考え方です。
GI値とは?
GI値とは、食べた後に血糖値がどのくらい早く、どのくらい上がるかを示す数値のことです。数字が高いほど血糖値が急上昇しやすく、低いほど緩やかに上がります。例えば、白ごはんや食パンはGI値が高く、血糖を一気に上げやすい食品です。一方で、玄米や全粒粉パン、野菜などはGI値が低めで、血糖の上昇をゆるやかにしてくれます。
なぜGI値が糖尿病や脂質異常症に関係するのか
血糖値が急に上がると、体はインスリンをたくさん出して対応します。インスリンが過剰に分泌されると、脂肪がつきやすくなり、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高くなる状態)を悪化させてしまいます。また、糖尿病の方では、血糖コントロールが乱れて合併症のリスクが高まってしまいます。そこで、GI値を意識した食事を取り入れることで、血糖値の乱高下を防ぎ、糖質や脂質代謝の整える助けになるんです。
実際の診療でよく見るケース
診察でよくあるのが「野菜をしっかり食べているのに、なぜか血糖が高い」という患者さんです。詳しく聞いてみると、主食がいつも白米やうどんで、量も多めというパターンが少なくありません。この場合、同じ炭水化物でもGI値の低い玄米やもち麦ごはんに変えるだけで、血糖の上がり方が違ってきます。また、脂質異常症の方でも、血糖の乱高下が改善すると中性脂肪が下がることを臨床で実感しています。
GI値の具体例リスト
高GI食品(70以上)
- 白米(GI値:84)
- 食パン(GI値:91)
- うどん(GI値:80)
- じゃがいも(GI値:90)
中GI食品(56〜69)
- 玄米(GI値:56)
- そば(GI値:59)
- さつまいも(GI値:63)
- パスタ(GI値:65)
低GI食品(55以下)
- 大豆(GI値:30)
- りんご(GI値:36)
- ヨーグルト(GI値:41)
- 野菜類(多くは20〜40程度)
GI値を活かした食事の工夫
①主食を工夫する
白米を玄米や雑穀米に変える、パンを全粒粉パンにするなどの工夫は、とても有効だったりします。
②食べる順番を意識する
「ベジファースト」といわれるように、最初に野菜を食べ、その後に主食を摂ると血糖値の上昇を抑えられます。診察室でも「ごはんの前にサラダやお浸しを」とよくアドバイスをしています。
③間食の工夫
お菓子や菓子パンはGI値が高めです。間食にはナッツや無糖ヨーグルト、果物を少量取り入れる程度にしておくと安心です。
GI値と合わせて考えたいこと
GI値だけに注目するのではなく、食物繊維やたんぱく質のバランスも大事です。例えば、同じごはんでも野菜や魚と一緒に食べると、血糖の上昇がゆるやかになります。また、食事のリズムを整えることも重要です。夜遅い食事や間食の多さは、血糖コントロールを乱しやすいので注意が必要なんです。
専門医として伝えたいこと
私は普段総合内科専門医として診療を行っていますが、内科全般を診ていると「食事の影響」はあらゆる病気に関わっていると実感することが多いです。糖尿病や脂質異常症の方にとって、GI値を意識した食事は、一見シンプルですが、とても効果的です。そして、患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせて、無理のない工夫を一緒に考えることが大切だと思っています。
まとめ
糖尿病や脂質異常症の食事療法では、GI値を理解し、日常に取り入れることが血糖や脂質の安定につながります。難しい理論よりも、「白米より玄米」「パンより全粒粉」「ごはんの前に野菜」というシンプルな工夫から始めてみましょう。元八事ファミリー内科クリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせた食事アドバイスを行っていきます。もし「食事をどう変えたらいいかわからない」と思ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。