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生活習慣病を持つ方が気を付けたい「お酒との付き合い方」

一般内科  / 健康の豆知識

はじめに

こんにちは。院長の浅野です。お酒をよく飲むという人は、外来によく受診されます。自分はどうかというと・・・、自分も夜や週末などには、お酒をたしなむことも多いです!
そんなお酒についてですが、お酒は適度に楽しめば心身のリフレッシュになりますが、飲み方を誤ると健康リスクを高める原因になってしまいます。特に糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)といった「生活習慣病」を抱える方にとっては、お酒との正しい付き合い方がとても重要だったりするんです。そこで今回のブログは、醸造酒と蒸留酒の違いを踏まえながら、お酒の種類と生活習慣病との関係について詳しく解説します。

お酒の種類と特徴

醸造酒とは

醸造酒とは、穀物や果物を発酵させて造るお酒で、アルコール度数は比較的低めですが「糖質」が多く含まれているのが特徴です。代表例として、日本酒、ビール、ワインなどがあります。糖質が含まれるため、血糖値の上昇や中性脂肪の蓄積につながりやすく、糖尿病や脂質異常症のある方は注意が必要です。

蒸留酒とは

蒸留酒は、醸造酒をさらに蒸留して造られたお酒で、アルコール度数が高い一方、基本的に糖質はほとんど含まれていません。焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウォッカなどが代表的です。糖質制限中の方には選びやすいお酒ですが、アルコールそのものが肝臓や血圧に負担をかけるため「飲みすぎれば安全」というわけではないので、その点注意が必要となります。

醸造酒と蒸留酒の比較

醸造酒:糖質あり、アルコール度数低め、飲みやすい → 過剰摂取で血糖や中性脂肪に影響 蒸留酒:糖質ほぼなし、アルコール度数高め、飲み方次第で負担大 → 高血圧や肝障害に注意

このように、どちらにもメリット・デメリットがあるため、生活習慣病を持つ方は「種類よりも飲み方」に気を付けることが大切になってきます。

生活習慣病とお酒の関係

糖尿病とお酒

お酒は血糖値に直接作用するだけでなく、肝臓の糖代謝にも影響を与えます。特にビールや日本酒などの醸造酒は糖質を多く含むため、血糖コントロールを乱しやすくなります。また、インスリンや糖尿病薬を使用している場合、低血糖のリスクも高まります。なので、糖尿病をお持ちの方は、飲む量やタイミングに注意をしてもらう必要が出てきます。

高血圧とお酒

アルコールには一時的に血管を広げる作用がありますが、長期的には血圧を上げる原因になります。そして、毎日の飲酒は高血圧を悪化させ、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めます。ちなみに、厚生労働省では「純アルコール20g程度/日」を目安にしていますが、高血圧の方の場合には、これより少ない量を心がけることが望ましいです。

脂質異常症とお酒

お酒を飲むと肝臓で中性脂肪の合成が進みやすくなります。特に糖質を含むビールや甘いカクテルは、中性脂肪の上昇を招きやすいため注意が必要です。蒸留酒を選んだとしても、つまみで揚げ物や高カロリー食を合わせると結局は脂質異常症の悪化につながってしまいますので、併せて食べるつまみ、お食事に関しても、気を付けていく必要があるんです。

高尿酸血症(痛風)とお酒

お酒は尿酸値を上げる大きな要因です。ビールには「プリン体」が多く含まれ、痛風の発作を誘発しやすいといわれています。蒸留酒はプリン体をほとんど含みませんが、アルコール自体が尿酸の排泄を妨げるため、焼酎やウイスキーであっても飲みすぎれば尿酸値が上昇してしまいます。

生活習慣病の方がお酒と付き合うためのポイント

① 飲む量を守る

厚生労働省が示す「純アルコール20g程度/日」を参考に、自分の体調に応じてさらに控えめにすることが大切です。たとえば、ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、焼酎ならグラス半分(100ml)が、一般的な一つの目安になります。

② 休肝日をつくる

毎日飲むのではなく、週に2日以上は肝臓を休ませる日を設けましょう。肝臓は沈黙の臓器といわれ、症状が出る頃にはすでに病気が進行していることも少なくありません。

③ おつまみ選びに注意する

揚げ物や塩分の多い加工食品は生活習慣病を悪化させてしまいます。おすすめは枝豆、冷ややっこ、焼き魚、野菜スティックなど、低カロリーかつ栄養バランスの良いおつまみです。

④ 空腹で飲まない

空腹時に飲酒すると、血糖値の変動や酔いの回りが早くなり、体への負担が大きくなります。必ず食事と一緒にお酒を摂るようにしましょう。

⑤ 自分の病気に応じた選択を

糖尿病なら糖質の少ない蒸留酒、高尿酸血症ならビールを避ける、といったように、自分の持病に合わせて飲み方を工夫することが大切です。

まとめ

生活習慣病を持つ方にとって、お酒を「完全に禁止」することは、夜の楽しみを奪ってしまうことになるので、特殊な病態を除いては、そこまでは強制することはしていません。お酒は「正しく付き合うこと」が大切なんだと思います。醸造酒と蒸留酒の違いを理解し、病気の特性に応じたお酒の選び方や飲み方を意識することで、健康を損なわずに楽しむこともできるかと思います。

名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックでは、生活習慣病の管理や日常生活の工夫についても丁寧に相談していきたいと思います。お酒との付き合い方に不安がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談に来てみてください。