喘息・COPDと食事との関連性は?
喘息・COPDと食事の関係
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、気道に炎症が起きて空気の通り道が狭くなり、息苦しさや咳、痰が出やすくなる病気です。薬での治療が基本にはなるんですが、毎日の食事や生活習慣に関しても、症状を安定させるために役立つことがあります。「これを食べれば治る」という特効薬のような食べ物はありませんが、バランスの良い食事によって、呼吸を楽にすることもあるので、今回はそのようなテーマで書いてみたいと思います。
野菜・果物と呼吸の健康
抗酸化成分で気道を守る
野菜や果物には、ビタミンCやビタミンEなど体を守る成分(抗酸化物質)がたくさん含まれています。これらは、呼吸の通り道の細胞を守り、気道の炎症をおさえる働きが期待できます。
ヨーロッパの大規模な研究において、リンゴをよく食べる人は呼吸機能の低下がゆるやかだったという報告が上がっていたりします(Garcia-Larsen et al., Eur Respir J 2017;50(6):1602286)。
特に喫煙歴がある方やCOPDの方は、野菜・果物を積極的に食べることで、息切れや呼吸のしやすさに良い影響がある可能性があるのではないかと期待されています。
たんぱく質で筋肉を保つ
COPDや重い喘息の方は、呼吸のために多くの筋力を使うため、筋肉が減りやすくなります。なので、魚や鶏肉、卵、大豆製品、乳製品など、筋肉の材料になるたんぱく質をしっかり摂ることが、大切になってくるんです。また、ごはんやパンなどのエネルギー源と合わせて食べることで、体力を保ちやすくなります。
肥満は呼吸をつらくさせる
減量で呼吸が楽になることも
体重が増えすぎると、お腹や胸の脂肪が横隔膜(呼吸を助ける筋肉)を押し上げて、息がしにくくなってしまう要因になります。また、脂肪から出るサイトカインという物質が、気道の炎症を悪化させることもあるんです。
一方で、肥満のある喘息患者さんが、食事と運動で体重を減らしたところ、呼吸機能や症状が改善したという結果が報告されていたりもします(Stenius-Aarniala et al., Chest 2000;117(4):1105-1111)。
なお、急に断食したり無理に減量しようとすると、体に負担をかけてしまうので、少しずつ食事と運動を組み合わせて進めていくのがいいかと思います。
塩分摂取の工夫
塩分を摂りすぎると体に水分がたまりやすくなり、心臓や肺に負担をかけることがあります。なので、塩分は控えめにしてもらったほうがいいと思います。
まとめ
喘息やCOPDの管理には、お薬とあわせて、野菜・果物を多めに摂ること、たんぱく質をしっかり摂ること、体重を適正に保つこと、減塩を意識することなどが、大切になってきます。あくまで薬物療法が基本になることは間違いないですが、これらを毎日の生活に少しずつ取り入れることによっても、呼吸が楽になり、生活の質を高めることも期待できるかと思います。