【妊娠中・妊活中の女性へ】喘息でも安心して過ごすための喘息治療について
はじめに
「喘息の治療を続けているけれど、妊娠を考えている」「薬が赤ちゃんに影響しないか不安」
そんな悩みを抱える女性は、少なくないかと思います。実際、妊娠・出産年齢にあたる女性の約5〜6%が喘息を持ち、そのうち約4人に1人程度は、妊娠中に症状が悪化すると報告されています。そこで今回は、妊娠中や妊活中でも安心して行える喘息治療と、お薬の安全性についてわかりやすく解説していきたいと思います。
妊娠中に喘息を放置するとどうなる?
妊娠中の喘息悪化で最も懸念されるのは「低酸素血症」です。母体の酸素不足は、そのまま胎児にも影響してしまうので、早産や低出生体重児、先天異常のリスクを高めてしまうといわれています。
こうした合併症を防ぐためには、喘息の薬を自己判断で中止はしないで、症状を安定させることを優先させることが大切になってくるんです。
妊娠中も安心して使える喘息薬と治療法
① 吸入ステロイド薬から開始
まずは吸入ステロイド薬で炎症をコントロールすることが基本となります。吸入ステロイドは、局所で作用するため、全身への影響は少なく、妊娠中も安心して使用できます。
② 効果が不十分な場合の追加薬
症状が残る場合は、吸入β₂刺激薬や吸入抗コリン薬を併用します。いずれも長年の使用経験があるので、適切に使用するかぎりでは、安全性は高いとされています。
③ 内服薬の選択肢
コントロールが難しい場合には、テオフィリン製剤やロイコトリエン受容体拮抗薬を追加することがあります。
④ 発作時の対応
急な発作には吸入短時間作用型β₂刺激薬(例:メプチンエア)を使用します。重症の場合には、全身性ステロイド薬も選択されますが、短期間の使用であれば母児への影響は少ないとされており、むしろ発作を放置している方が危険といえます。
妊娠前・妊活中にできる喘息ケア
喘息を安定させてから妊娠に臨む
発作が頻発している状態で妊娠することは、母体・胎児ともにリスクが高まってしまいます。なので、まずは普段の喘息治療をしっかり行うことで、症状を落ち着かせましょう。
かかりつけ医と妊娠計画を共有する
薬の調整や検査時期の計画など、事前に相談しておくことで、安心して妊娠を迎えることができるかと思います。
自己判断で薬をやめない
妊娠初期は特に薬への不安が強くなってしまうのは仕方がないことですし、気持ちはすごくわかります。ですが、自己の判断で喘息の治療を中断してしまうと、喘息発作が起こってしまい、結局のところ胎児にも悪影響を与えてしまうことにつながりかねないので、注意が必要です。
妊娠中に新たに喘息を発症した場合
妊娠中はホルモンバランスや免疫の変化が起きやすい時期なので、妊娠されて初めて喘息症状が出る方もいます。なので、咳や息苦しさ、胸の圧迫感などの症状を感じたら、早めにかかりつけの産婦人科、そして呼吸器内科などに相談するようにしてみてください。
母体と赤ちゃんの安全を守るために
大切なのは、「必要最小限のお薬で、最大限に症状をコントロールする」ことだと思います。薬を使うこと自体が不安な方も多いですが、喘息を放置することの方が母子ともに大きなリスクを伴います。
国際的なガイドラインでも、妊婦の喘息治療に関しては、治療薬の継続を推奨しており、多くの薬が安全に使用できるとされています。
まとめ
- 妊娠中の喘息悪化は早産や低出生体重児などのリスクを高める
- 妊娠前から治療中の方は中断せず継続が重要
- 安全性の高い薬を選べば、妊娠・出産への影響は最小限にできる
- 妊活中も喘息の安定を最優先にし、医師と計画を立てる
- 自己判断で薬をやめることは危険
仮に喘息を抱えていても、妊娠を迎えるにあたっては、適切な治療を続けることが一番胎児のためにも大切なことなんです。
治療法や薬の安全性について疑問や不安があれば、ぜひ元八事ファミリー内科クリニックへ気軽にご相談ください。