便秘薬の種類と使い分け
2025.08.27
こんにちわ。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
便秘は、多くの人が抱える日常的な悩みの一つです。生活習慣の改善や食事の工夫で改善する場合もありますが、症状が強い場合には薬物療法が必要になることも多いです。そこで今回は、便秘治療薬の種類や特徴、具体的な処方薬の例、選び方について、説明していきたいと思います。
1. 便秘薬の種類と特徴
便秘薬は作用の仕方によって大きく分けられます。代表的なものは以下の通りです。
1.1 刺激性下剤
腸の運動を直接刺激して排便を促すタイプの薬です。即効性がありますが、長期間使用を繰り返すと、腸の働きが低下してしまう可能性があります。
処方薬の例:
- レシカルボン坐薬(ピコスルファートナトリウム坐薬):短期間の便秘改善に有効
- センノシド錠(商品名:プルゼニド錠):慢性便秘によく使われる薬剤です
1.2 非刺激性下剤
便を柔らかくし、腸内での通過をスムーズにする薬です。穏やかに作用するため、日常的な便秘対策に向いています。
処方薬の例:
- 酸化マグネシウム(商品名:マグミット):弛緩性便秘に使用
- ポリエチレングリコール(商品名:モビコール):便を柔らかく保ち腸の通過を助ける
1.3 腸管機能改善薬(新規薬)
腸の分泌や動きを調整して排便を促す薬です。慢性便秘や高齢者の便秘改善に用いられます。
処方薬の例:
- アミティーザ(ルビプロストン):腸管の水分分泌を増やし便を柔らかくする
- リンゼス(リナクロチド):腸管の液体分泌を増やして便通を改善する
- グーフィス(プルカロプリド):大腸内腔への水分の分泌を増やし、消化管運動を活発にすることで排便を促進する
1.4 漢方薬
自然由来成分で体質に合わせて選べる薬です。副作用が少なく、穏やかに腸の働きを改善します。
処方薬の例:
麻子仁丸:弛緩性便秘に適応
2. 便秘薬の使用上の注意点
- 便秘薬を使用する際は、まず 用法・用量を必ず守ることが大切になります。特に刺激性下剤は、腸を強く刺激するので、長期間の連用は避けるようにしてもらったほうがいいです。また、服用中のほかの薬との飲み合わせ にも注意が必要です。万が一、服用中に血便や強い腹痛、体重の急な減少などの異常が見られた場合には、すぐに使用を中止して、医師に相談してください。
4. 市販薬と処方薬の違い
市販薬は手軽ですが、自己判断での長期使用に関してはリスクが伴う可能性があります。処方薬は、医師が症状や体質を評価して選ぶので、より安全で効果的に使用できるかと思います。
5. まとめ
便秘の治療薬には、刺激性下剤、非刺激性下剤、腸管機能改善薬、漢方薬など多くの選択肢があります。アミティーザ、リンゼス、グーフィス、レシカルボン坐薬など、それぞれ作用や適応が異なるため、自分の症状や体質に合った薬を医師と相談して選ぶこと、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせることが大切です。