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糖質を制限し過ぎるのは危険?

一般内科  / 健康の豆知識

糖質を制限し過ぎるのは危険?

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。最近「糖質制限ダイエット」という言葉をよく耳にします。実際に外来でも「先生、糖質はできるだけ食べない方がいいんですよね?」と聞かれることが度々あります。確かに糖質制限は体重を減らしたり、血糖値を下げたりする効果がある一方で、やり過ぎてしまうと体に思わぬ負担をかけることがあるんです。

そこで今回のブログでは、「糖質を抜きすぎることの危険性」について、できるだけわかりやすく説明していきたいと思います

糖質は悪者ではなく、体に必要なエネルギー源

糖質というと「太る原因」というイメージを持つ方も多いですが、本来は体を動かす大切なエネルギー源です。特に脳は糖質(ブドウ糖)を主な栄養として活動しているため、極端に糖質を減らすと「集中できない」「頭がぼーっとする」といった症状が出てきます。

実際に、「低糖質ダイエットを続けたら、めまいや立ちくらみが増えた」と訴える方がいます。こうした症状は、単なる一時的な体調不良ではなく、体がエネルギー不足を起こしている一つのサインなんです。

糖質を抜きすぎたときに起こりやすい症状

①強い疲労感やだるさ

体のエネルギー源が不足すると、筋肉にうまく力が入らず「なんだか常に疲れている」という状態になります。普段は元気に歩けるのに、階段を登るだけで息切れする方も少なくありません。

②便秘や腸内環境の悪化

ご飯やパンなどの炭水化物には食物繊維も含まれています。糖質を極端に減らすと腸の動きが悪くなり、便秘やお腹の張りを感じやすくなることがあります。腸内環境が乱れると免疫力の低下にもつながり、風邪や感染症にかかりやすくなることもあります。

③頭痛や集中力の低下

糖質は脳のエネルギー源です。抜きすぎると「ぼーっとする」「仕事に集中できない」「頭痛が増えた」といった症状が出てきます。実際に「糖質制限を始めてから仕事のパフォーマンスが下がった」という患者さんは少なくありません。

④低血糖による危険

特に糖尿病の薬を飲んでいる方がさらに糖質を極端に減らすと、低血糖を起こすリスクが高まってしまう場合があります。冷や汗、動悸、手の震えといった症状が出て、重度になると意識を失うこともあるため非常に危険です。糖尿病で治療中の方は、必ず医師と相談しながらバランスの良い食事を心がけるようにしてください。

臨床でよく見る「糖質制限の落とし穴」

実際に診療していると、「痩せたい一心で極端に糖質を抜いた」という患者さんが来院されることがあります。その多くは最初の数週間は体重が落ちるものの、徐々に疲れやすくなり、風邪をひきやすくなったり、肌荒れがひどくなったりするんです。

また、アレルギー専門医としての視点で見ると、腸内環境の乱れから免疫バランスが崩れ、アトピーや喘息といったアレルギー症状が悪化することもあり得ます。こうしたケースでは「糖質を完全に抜く」のではなく、「量や質を工夫する」ことが重要なんです。

正しい糖質との付き合い方

主食は適度に摂る

ご飯やパン、麺類をゼロにする必要はありません。量を調整しながら、できるだけ白米より玄米、食パンより全粒粉のパンなど、食物繊維や栄養素が多いものを選ぶのがおすすめです。

甘いお菓子や清涼飲料水は控える

糖質を控えるというより「質を選ぶ」ことが大切です。ケーキやジュースなど急激に血糖値を上げる食品はなるべく避け、果物や根菜など自然の甘みから糖質を摂る方が、より健康的かと思います。

タンパク質や野菜と組み合わせる

糖質だけを摂ると血糖値が一気に上がってしまいます。肉や魚、大豆製品、野菜と一緒に食べることで、吸収が緩やかになり、体への負担も減ります。

医師として伝えたいこと

糖質制限は、適度に正しく行えば、生活習慣病の改善にも役立ちます。しかし「糖質を完全に悪者にして全部抜く」という考え方は危険なんです。実際には、健康のためには「極端」より「バランス」が大事だと実感しています。

もし「糖質制限を始めたいけれど不安がある」「体調不良が出てきた」という方は、一人で悩まずにぜひご相談してみてください。元八事ファミリー内科クリニックでは、患者さんの生活習慣や体質に合わせた食事・運動のアドバイスを行っています。気軽に受診していただければと思います。

まとめ

糖質は体にとって必要な栄養素です。抜きすぎると疲れやすさ、集中力低下、便秘、免疫力の低下、低血糖など、さまざまな不調を招く可能性があります。糖質制限は「ゼロにする」ことではなく、「質と量を工夫する」ことが大切になります。