足の裏が熱いのは糖尿病が原因?
「夜になると足の裏が熱くて眠れない」「靴下を脱いでも火照る感じがする」――このような症状を経験したことはありませんか?
一見すると、血行不良や疲労のせいだと思いがちですが、実は糖尿病が隠れているケースも少なくありません。特に「足の裏が熱い」「ジンジンする」「しびれる」といった違和感は、糖尿病の合併症である糖尿病性神経障害の初期症状として現れることがよく知られているんです。
そこで今回のブログでは、「足の裏が熱い」という症状と糖尿病との関係について取り上げてみたいと思います。
足の裏が熱いと感じるのはなぜ?
神経の障害(末梢神経障害)
感覚を伝える神経が障害されると、本来ないはずの「熱い」「焼けるような」感覚を、脳が「誤って」感じ取ってしまいます。
血流の障害
足の血流が滞ると、冷たさだけでなく逆に熱を持つような違和感が出ることがあります。糖尿病や動脈硬化が進むと、この血流障害が起こりやすくなります。
足の裏は熱いのに、ふくらはぎは冷たい?
「足の裏は熱いのに、ふくらはぎは冷たい」と感じる方もいます。これは神経障害や血流障害による影響が考えられます。ふくらはぎの血流が滞ることで冷たさを感じる一方で、足裏の神経異常が「熱さ」として脳に伝わるため、相反する症状が同時に起こることがあるんです。
このような場合には、ふくらはぎをストレッチしたり、軽いマッサージをすることが、血流改善のためには効果的だったりします。毎日寝る前や入浴後などにストレッチ、マッサージの習慣を取り入れてもらうことがお勧めです。
糖尿病と足の灼熱感の関係
糖尿病性神経障害とは?
糖尿病が長年続くと、高血糖によって神経が傷つきやすくなります。特に足先の細い神経はダメージを受けやすく、次のような症状が出やすいのです。
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- 足の裏が熱い、ジンジンする
- 夜中に焼けるような痛みで目が覚める
- 足がしびれる、感覚が鈍くなる
- 触れていないのにピリピリする
放置したままだと、どうなるの?
糖尿病による神経障害を放置すると、徐々に足の感覚が低下していきます。すると――
- 靴擦れや小さな傷にも気づかない
- 傷口などから感染(化膿)しても痛みを感じにくい
- 感染が広がり「糖尿病足壊疽」という、足の重度の感染症に進行
最悪の場合、壊疽(えそ)を起こして足の切断につながるケースもあります。「足の裏が熱い」という段階は、まだ神経が刺激を感じ取れている証拠でもあるので、この時期に適切な治療を始めることが、非常に大切なことなんです。
他の病気の可能性は?
血流や神経に関わる疾患
- 末梢動脈疾患(PAD):動脈硬化で足の血管が細くなり、血流不足によって冷えや熱感が出る。
- 腰椎疾患(坐骨神経痛など):腰から足へ伸びる神経が圧迫され、灼熱感やしびれを感じる。
- ビタミン欠乏(特にB1・B12不足):神経の働きが低下し、異常な感覚が出る。
- アルコール性神経障害:長期飲酒により末梢神経が障害される。
- 甲状腺疾患:代謝異常によって体温調整が乱れ、足のほてりを感じる。
自律神経やホルモンの影響によるもの
- 更年期障害:女性ホルモンの低下で自律神経が乱れ、足の裏のほてりや熱感が出ることがある。
- 自律神経失調症:体温調整が不安定になり、足の裏が熱いと感じる。
睡眠や血管の病気
- レストレスレッグ症候群:安静時に足がムズムズ・熱い・動かしたくなる症状。特に夜間に強く、睡眠障害の原因となる。
- 下肢静脈血栓症:ふくらはぎや太ももの深部静脈に血栓ができ、血流が妨げられる。熱感・腫れを伴い、肺塞栓のリスクあり。
- 下肢蜂窩織炎:細菌感染によって足が赤く腫れ、強い熱感や痛みを伴う。発熱を伴うことも多く、早期治療が必要となる。
治療と対策
血糖コントロールが第一
糖尿病性神経障害の進行を抑えるには、何よりも血糖値を安定させることが基本となります。
薬物療法に加え、食事・運動療法の見直しがとても大切になってきます。
症状を和らげる工夫
- 生活習慣の改善:禁煙・節酒・規則正しい生活
- ビタミンB群の補給:神経の修復を助ける
- 痛み止めの内服:神経障害性疼痛に使われる薬(プレガバリンなど)
- フットケア:足を毎日観察し、爪や靴の管理を丁寧に行う
- ふくらはぎのストレッチ:血流改善に効果的
まとめ
足の裏が熱い、焼けるような感覚があるとき、それは単なる疲労や血行不良ではなく、糖尿病性神経障害の初期症状かもしれません。なので、糖尿病をお持ちの方はもちろん、健康診断で血糖値が高めといわれた方についても、注意が必要かと思います。
地域のかかりつけ医として、元八事ファミリー内科クリニックでは糖尿しっかりと対応させていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。