中性脂肪が高い時に意識すべきなのは脂質?炭水化物?
はじめに
健診で「中性脂肪が高めですね」と指摘されて、どうしたらいいか悩まれる方は少なくないかと思います。よく患者さんから、「油っこいものを控えた方がいいんですか?」「ご飯や甘いものを減らした方がいいんですか?」と質問を受けます。
結論から言うと、中性脂肪を下げたい時に特に注意したいのは炭水化物(特に糖質)なんです。ただし、脂質も量や種類によって影響しますので、両方を正しく理解することが大切です。そこで今回のブログでは、自分自身がが診察室で実際に患者さんにお伝えしているポイントを、できるだけわかりやすく書いていきたいと思います。
中性脂肪とは?
中性脂肪は血液中に含まれる脂の一種で、体にとって大事なエネルギー源です。食事で摂った糖質や脂質が余った時に、肝臓で合成されて中性脂肪として血液中に流れます。
適量であれば問題ありませんが、過剰に増えると「脂質異常症」となり、動脈硬化(血管の老化)や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを高めてしまいます。
炭水化物のとりすぎが中性脂肪を上げる理由
「中性脂肪」という名前から、油を多く食べることが原因だと思われがちですが、実際には炭水化物の過剰摂取が大きな原因なんです。
例えば、白ご飯やパン、麺類、甘いお菓子、ジュースなどをたくさん食べると、血糖値が急に上がります。すると余った糖が肝臓で中性脂肪に作り替えられて、血液中に増えてしまうんです。
診察でよくお話しするのは、「ご飯を大盛りにするよりも普通盛りにして、野菜やたんぱく質を一緒に食べる方が中性脂肪は下がりやすいですよ」ということです。
脂質は「量」より「質」が大切
もちろん脂質も無関係ではありません。揚げ物やラード、バターなどに含まれる飽和脂肪酸(動物性の脂)は、中性脂肪や悪玉コレステロールを上げやすいので、控えめが安心です。
一方で、魚の油(EPA・DHA)やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸は、中性脂肪を減らす働きがあるとされています。
当院でも、患者さんに「油を全部カットするのではなく、油の種類を選んで使うことが大事なんですよ」とよく説明しています。
臨床でよく見るパターン
外来で拝見していると、中性脂肪が高い患者さんにはいくつか共通点があります。
- 夜遅い時間にご飯やラーメンを食べている
- 甘い缶コーヒーやジュースを毎日飲んでいる
- お酒(特にビールや日本酒)をよく飲む
- 運動不足で、デスクワークが中心
- 休日にまとめ食いしてしまう
こうした生活習慣が積み重なることで、検査値がぐっと上がってしまうんです。
お酒と中性脂肪の関係
「お酒も油じゃないのに、なぜ中性脂肪が上がるんですか?」と聞かれることがあります。
実はアルコールも肝臓で分解されるときに、中性脂肪を合成する方向に働いてしまいます。特にビールや日本酒のように糖質を多く含むお酒には要注意です。
診察室では「飲むならできれば蒸留酒(焼酎やウイスキー)を少量にしましょう」とアドバイスすることが多いです。
食事で意識したいポイント
中性脂肪を下げるために意識したい具体的な食事の工夫をまとめてみます。
- ご飯やパンは「少し控えめ」を意識する
- 甘い飲み物やお菓子はできるだけ減らす
- 揚げ物や脂身の多い肉はほどほどに
- 魚(特に青魚)や野菜をしっかり食べる
- お酒は飲みすぎない
シンプルですが、こうした習慣の積み重ねが、数値を安定させる一番の近道なんです。
運動の効果も忘れずに
食事と並んで大事なのが運動です。ウォーキングなど軽い有酸素運動は、中性脂肪をエネルギーとして消費してくれるので効果的です。
実際に、診察で「夕食後に15分だけ歩いてみましょう」とお伝えすると、1〜2か月後の検査で数値が少し改善している方もいらっしゃいます。
医師としての視点から
中性脂肪は呼吸器やアレルギーの病気そのものには直接関係しないと思われがちですが、動脈硬化やメタボリックシンドロームが進むと、息切れや体調不良の原因にもつながります。
つまり、「血液検査の数値」だけの問題ではなく、将来の健康全体に関わる重要な指標なんです。
まとめ
中性脂肪を下げるために意識すべきなのは、油よりもむしろ「炭水化物」なんです。もちろん脂質の質も大切ですが、まずは甘い飲み物や白ご飯のとりすぎを控えることが第一歩になります。
元八事ファミリー内科クリニックでは、生活習慣の改善ポイントを一緒に考えながら、安心して取り組める方法を提案していきたいと思います。「ちょっと数値が高いな…」と気になる方は、お気軽にご相談ください。