時間帯によって異なる咳の特徴|慢性咳嗽の原因を探るヒント
咳が長引くとき、その原因は一つではありません。特に3週間以上続く「遷延性~慢性咳嗽」では、咳が出やすい時間帯や状況に一定のパターンが見られることがあります。例えば、明け方に多い咳、夜に強くなる咳、日中だけ出やすい咳などです。こうした特徴は、咳を引き起こす原因疾患を推測する大きな手がかりになります。そこで今回は、時間帯別に見られる咳の特徴と、その背景にある代表的な病気について、元八事ファミリー内科クリニックが解説していきます。
明け方・早朝に強く出る咳
咳喘息
咳喘息は、夜間から明け方にかけて咳が出やすい病気です。就寝中は副交感神経が優位になり、気管支が収縮しやすくなるため、気道の過敏性が高まります。さらに、朝方は気温が下がるため、冷たい空気の刺激で咳が悪化することもあります。明け方に咳で目が覚める、あるいは起床直後に咳き込みやすい場合には、要注意なんです。
アレルギー性鼻炎・後鼻漏
鼻炎や副鼻腔炎などで鼻水が喉へ流れ込む「後鼻漏」は、横になっている間に分泌物が溜まりやすくなります。そのため、朝起きたときに痰や咳が増える傾向があります。特に春や秋など、花粉やダニの影響が強い季節には、症状が出やすくなります。
夜間に悪化する咳
逆流性食道炎(GERD)
夜、横になると胃酸が逆流しやすくなり、喉や気管を刺激して咳が出ます。酸の刺激は気道を敏感にし、咳を長引かせる原因にもなります。就寝後すぐや深夜に咳が強く出る場合は、逆流性食道炎が関わっている可能性があるんです。
心不全
心臓の働きが弱まると、横になった際に肺に血液が滞ることによって、咳や呼吸苦が悪化します。これを「起坐呼吸」と呼び、夜中に座って休むことで楽になるのが特徴です。夜間の咳に加えて息切れやむくみがある場合には、早めの受診が必要になってきます。
日中に多い咳
職業性咳嗽
粉じんや化学物質、強い匂いなどを吸い込む環境で働いている方は、勤務中に咳が悪化しやすくなります。これは、仕事場における原因物質に繰り返し触れることが原因で、気道の炎症が長引き、慢性化することがあるので、要注意なんです。
喫煙や大気汚染の影響
喫煙や交通量の多い場所での活動中にも、咳が強く出る場合があります。大気中の微粒子や有害ガスが気道を刺激し、咳反射を引き起こすこともあります。日中の活動に伴って悪化する咳は、こうした外的要因も考えられます。
運動後に出やすい咳
運動誘発性気管支攣縮(EIB)
激しい運動後に気管支が一時的に収縮し、咳や息苦しさが出る状態です。特に冬場の屋外運動や乾燥した環境で起こりやすく、運動後5〜10分ほどで症状が現れることが多いです。
時間帯別の咳は、診断のヒントに
咳がいつ出やすいかを把握することは、原因を見つけるうえで重要な情報になります。診察の際には、咳の出る時間帯、季節、環境、他の症状(痰、息切れ、鼻水など)をメモして、診察時に教えて頂けると、診断がスムーズになります。
まとめ
慢性咳嗽は原因が一つとは限らず、複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。明け方や夜間、日中、運動後など、時間帯ごとの特徴を知ることで、病気の手がかりが得られることがあります。元八事ファミリー内科クリニックでは、長引く咳や喘息、咳喘息などの疾患に力を入れて、診療を行っていきたいと思っています。
開院まで、このような医療情報を定期的にアップしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。