TOPへ

ブログ

子どもの熱性けいれんとは?

小児

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。子育て中のお父さん、お母さんにとって大切な、小さなお子さんが突然けいれんを起こすと、とても驚かれると思います。特に、初めてのときは「命に関わるのでは?」と不安になる親御さんがほとんどではないかと思います。熱性けいれんは、38℃以上の発熱に伴って起こるけいれんで、6か月から5歳くらいの小さなお子さんによく見られます。多くは一過性で後遺症を残すことはありませんが、発作の場面に直面すると動揺してしまうのは当然です。そこで今回のブログでは、子供によく起こる熱性けいれんについて、まとめていきたいと思います。

(当院では、年齢については制限を設けていません。ただし、小さなお子様については、点滴治療に関しては連携医療機関にお願いさせていただく場合もあります。あらかじめご了承いただければ幸いです。)

熱性けいれんが起こったときの基本的な対応

安全を確保する

まずはお子さんの安全を守ることが最優先だと思います。まずは頭を横に向けて、嘔吐物で窒息しないようにしましょう。周囲の危ないものは片付け、強く揺さぶったり口に物を入れたりする必要はありません。また、きついベルトや服は、緩めてあげてください。
この際、けいれんしていても、びっくりして体を強く押さえたり口に物を入れたりしないでください。無理に口にものを入れようとすると、窒息やケガの原因になってしまいます。

時間を確認する

けいれんがどのくらい続いているかを必ず確認してください。多くは2〜3分で収まりますが、5分以上続く場合は救急要請が必要になってきます。臨床現場でも「時間を測っていなかった」という方が多いので、落ち着いて時計を見ることを意識してください。この持続時間というのは、診察の際にとても大切な情報になります。

慌てず観察する

お子さんの体の動きや呼吸の有無を落ち着いて観察してください。呼吸が止まっていないということが、とても大切です。呼吸状態の観察はしっかりと行うようにしてみてください。

坐薬の使い分け(ダイアップ・カロナール)

よくご質問をいただくのが坐薬の使い方です。ダイアップ(ジアゼパム坐薬)は、熱性けいれんの再発を防ぐために用いる薬です。一方でカロナール(アセトアミノフェン坐薬)は解熱剤で、熱そのものを下げて体の負担を軽くするために使います。

使う順番について

一般的には、まずけいれん予防が優先されます。過去に繰り返し熱性けいれんを起こしたお子さんや、医師からダイアップを使用するよう指示を受けている場合は、熱が上がった時点でダイアップを入れることがあります。そのうえで、発熱がつらそうであればカロナールを併用するという流れが一般的かと思います。

ただし「どちらを優先するか」は年齢や発作の既往によって異なる場合もあるため、必ず医師の指示に従ってください。

救急受診が必要なサイン

  • けいれんが5分以上続く
  • けいれん後にぐったりして目を覚まさない
  • 呼吸が止まる、または紫色になる
  • 繰り返し嘔吐がある
  • けいれんの後に体の片側だけ動きが悪い

こうした場合は迷わず救急車を呼んでください。多くのケースは自然に収まりますが、長引く発作や呼吸の異常は命に関わる可能性があるからです。

臨床でよく見るパターン

実際の診療では「初めての熱性けいれんで救急受診されるケース」が一番多いです。親御さんは本当に心配されますが、ほとんどは数分以内におさまり、後遺症も残しません。また、何度か繰り返すお子さんもいますが、成長とともに自然に落ち着いていくことが多いです。

家庭でできる予防と心構え

熱性けいれんを完全に防ぐことはできませんが、予防的にダイアップを処方するケースもあります。大切なのは「慌てないこと」と「行動の順番を知っておくこと」です。実際に起きたときに頭が真っ白にならないように、このブログの内容を何回か見直してもらうといいかと思います。

 

まとめ

子どもの熱性けいれんは、多くのご家庭で経験する可能性がある、けっして珍しくはない疾患です。正しい知識と対応を知っていれば、過度に怖がる必要はありません。まずは安全確保、次に時間確認、そして医師の指示に基づく坐薬の使用。この流れを知っておくだけで、落ち着いて行動することができるはずと思います。当院ではご家族の不安に寄り添い、安心できる医療を提供していますので、ぜひ気軽にご相談ください。