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百日咳とはどういう病気?

喘息・長引く咳

「風邪が治ったはずなのに、咳だけが何週間も続く」—このように、咳が長引く原因の一つとして考えられるのが百日咳(ひゃくにちぜき)です。この病気はBordetella pertussis(ボルデテラ・パータスシス)という細菌が気管支や肺などの呼吸器器官に入り込むことで発症します。名前に「百日」とある通り、症状が長く続くことが特徴の一つです。移り方は、咳やくしゃみのしぶき(飛沫)を吸い込むことによる飛沫感染が中心で、特に発症初期の1〜2週間は周囲への感染力が非常に強い時期です。赤ちゃんや高齢の方は重症化しやすく、症状が軽い大人が気づかないうちに感染を広げてしまうことも少なくありません。
現在百日咳の流行は続いているので、元八事ファミリー内科クリニックが、百日咳について、説明をしていきたいと思います。

症状の移り変わり

百日咳は、時間の経過とともに症状の現れ方が変わります。

1. かぜのような準備期間(感染から約1週間)

  • 鼻水やくしゃみ、軽い咳、微熱などの軽い症状
  • →この時期が最も感染させやすいです

ほとんどが普通の風邪と区別できず、周囲に広めやすい時期なので、注意が必要です。

2. 激しい咳のピーク(発症後2〜4週間)

  • 連続して出る強い咳の発作
  • 咳の後に「ヒュー」という吸気音(笛声)が出る場合がある
  • 咳の勢いで吐いてしまうこともある

夜間に咳で眠れなくなったり、体力を消耗したりするケースもあります。

3. ゆっくり回復する期間(数週間〜数か月)

  • 発作は減るが、体を動かした後や夜間に咳が残りやすい
  • 完全に落ち着くまで時間がかかる

百日咳に注意が必要な人

百日咳は誰でも感染しますが、特に以下の人は重症化リスクが高いです。

  • 生後6か月未満の赤ちゃん(ワクチンが未完了)
  • 高齢者
  • 持病を持つ方(ぜんそく、心臓病、糖尿病など)
  • 乳児や高齢者と接する機会が多い人

百日咳の診断に使われる検査

  • PCR検査:鼻やのどの奥から採取した検体で細菌の遺伝子を確認していきます。
  • 培養検査:細菌を培養して直接確認(時間はかかる)
  • 血液検査:抗体の量を測定して感染を推定

百日咳の治療の基本(治し方)

原因菌を減らすためにマクロライド系というタイプの抗菌薬(クラリスロマイシンなど)が用いられます。発症初期に治療を始めると、症状の悪化防止や感染拡大の抑制に効果的です。ただし、細菌がいなくなっても咳だけは数週間残ることが多く、経過観察が必要です。

耐性菌と百日咳

近年、一部の地域では百日咳菌がマクロライド系の抗菌薬に対して耐性を持つ事例が報告されています。このような耐性菌は、通常の薬が効きにくいので、治療期間が長引く恐れがあります。そのため、症状や経過を見ながら、必要に応じて薬の種類を切り替えていく必要が出てくる場合もあります。

百日咳予防のためにできること

ワクチンで備える

  • 乳児期には五種混合ワクチンとして定期的に接種
  • 大人は年月とともに免疫が弱まるため、必要に応じて追加接種

日常生活での工夫

  • 咳が2週間以上続く場合は早めに受診
  • 乳児と接する前にワクチン歴を確認
  • マスク・手洗い・換気で飛沫感染を防ぐ

大人が感染源にならないために

百日咳は数年おきに流行し、思春期や成人の患者も増えています。軽い咳だけで過ごしてしまうと、知らぬ間に家庭や職場へ広げてしまう危険があります。なので、咳が長引くときは、自己判断せず検査と診断を受けることが大切です。

まとめ

百日咳は現在流行しており、身近の方にも百日咳に感染している方がいるかもしれません。長引く咳は放置せず、早めに医療機関を受診して、診断・治療をしていくことが、大切になってきます。