咳喘息で咳が止まっても吸入薬をやめない方がいい3つの理由
咳喘息は、咳の症状だけが長引く、呼吸器・アレルギー系の病気です。治療を始めると数週間で症状が改善し、「治った」と思ってしまう方も少なくありません。しかし、咳が止まったからといってすぐに吸入薬をやめると、再発や悪化のリスクがあるんです。そこで今回は、その理由と注意点について、元八事ファミリー内科クリニックが説明していきたいと思います。
咳喘息とは
咳喘息は、気道に慢性的な炎症が起こることで、長引く咳だけが出る病気です。夜間や早朝に咳が強くなりやすい傾向があり、風邪の後に発症することもあります。喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や呼吸困難がない点で、典型的な気管支喘息とは異なりますが、炎症の性質はほぼ同じと考えられています。
症状がなくなっても残る「水面下の気道炎症」
炎症は自覚症状より長く続く
咳喘息の原因は、気道の慢性的な炎症です。症状が改善しても、気道の壁には炎症細胞が残っていることが多く、敏感な状態が長く続くことが多いです。この「水面下の炎症」が消えるまでには、実はけっこう時間がかかります。
自己判断で中止すると再発の危険
症状がなくなった直後に吸入薬をやめると、炎症が再び活発になり、咳がぶり返すことがあります。再発を繰り返すと、より悪化する傾向があるため注意が必要なんです。
気管支喘息への移行を防ぐために
咳喘息は、治療を怠ると、一部の方で気管支喘息に移行することがあります。気管支喘息になると、咳だけでなく喘鳴や息苦しさを伴い、発作的な呼吸困難を繰り返すようになります。なので、早期に炎症を十分に抑えることが、重症化の予防につながるんです。
気道リモデリングのリスク
炎症が長期間続くと、気道の構造そのものが変化する「気道リモデリング」が起こってしまう可能性があります。これは気道の壁が厚く硬くなり、将来的に呼吸機能の低下が慢性的に残る状態です。リモデリングは一度進行すると元に戻りにくいため、咳喘息の段階で炎症をしっかり鎮めることが大切になってくるんです。気道リモデリングについては、本サイトに詳しく解説しているので、ぜひこのリンクから移動して、説明欄をご確認ください。
治療継続の目安と吸入薬の役割
2〜3か月は継続するのが一般的
咳喘息では、症状が改善しても医師は通常2〜3か月程度は吸入ステロイド薬の継続を推奨します。これは気道炎症を完全に抑え、再発を防ぐためです。
吸入薬は「予防のための薬」
吸入ステロイド薬は、咳を一時的に止めるだけでなく、炎症を根本から鎮めるための予防薬です。症状がない時期こそ使い続けることが、長期的な健康維持につながっていくんです。
まとめ
咳喘息は、咳が止まっても炎症が残っていることが多い病気です。吸入薬を自己判断で中止すると、再発や悪化、気管支喘息への移行、気道リモデリングなどのリスクが高まってしまいます。なので、症状がなくなってからも一定期間治療を続け、医師と相談しながら計画的に治療薬を減らしていくことが大切なんです。