喘息患者が新型コロナウイルスやインフルエンザなどにかかったとき、吸入治療はどうする?
2025.08.18
喘息やCOPDで、日頃から吸入ステロイド薬を使用している患者さんは、新型コロナウイルスやインフルエンザに感染してしまった場合、吸入治療をやめた方がいいのか、吸い続けたほうがいいのか、わからない、という相談を受けることがあります。そこで今回のブログでは、感染時に喘息治療をどうしたらいいのかについて、説明していきたいと思います。
吸入ステロイド薬の役割
喘息は気道に慢性的な炎症が生じ、咳や息苦しさ、喘鳴などの症状を繰り返す病気です。この炎症を抑える中心的な治療薬が「吸入ステロイド薬」です。毎日継続することで、気道の炎症を軽減させ、発作や症状の悪化を防いでくれる働きがあります。一方で、これを中断してしまうと、炎症が再び強まり、軽い風邪や感染をきっかけに喘息症状が急激に悪化することがあります。
感染症と喘息悪化の関係
ウイルス感染は、気道に炎症を引き起こし、喘息を悪化させる要因の一つです。特に新型コロナウイルスやインフルエンザ、細菌性肺炎は、咳や痰、発熱に加えて、喘息症状を悪化させてしまうことがあります。
感染しても吸入治療はやめない
日本アレルギー学会が「新型コロナウイルス感染における気管支喘息患者への対応Q&A」というものを発表していますが、これによると、感染時でも吸入治療を継続する重要性が明記されています。つまり、コロナやインフルエンザなどにかかった場合でも、普段の吸入ステロイド薬は中止せず、通常通り使用を続けることが推奨されています。
感染中の注意点
- 自己判断で吸入薬を中止しない
- 症状が悪化した場合には、早めに医療機関へ相談する
- 特に発熱や強い咳が続く場合は、感染症自体の治療が必要になることもありますので、かかりつけ医や発熱外来に早めに相談してください。
まとめ:喘息管理の基本は「感染中も継続する」
新型コロナやインフルエンザなどの感染症は、喘息患者さんにとって症状悪化のリスク要因となります。しかし、吸入ステロイド薬は喘息の炎症を抑え、発作を防ぐための大切なお薬です。感染しても中止する必要はなく、むしろ継続することが推奨されます。日頃から治療を続けることで、感染時の重症化を防ぐ役割を果たしてくれます。