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呼吸機能のピークはいつ? 年齢による変化をわかりやすく解説

呼吸器 その他

普段あたりまえのようにしている呼吸ですが、実はその能力(呼吸機能)は、人生の中でピークの時期があります。最近、スペイン・バルセロナ国際保健研究所を中心とした国際的な研究チームが、4歳から80歳までの呼吸機能を詳しく調べた結果を発表しました。この研究は、世界的に権威のある医学雑誌「Lancet Respiratory Medicine」(2025年7月号)に掲載されたものなので、比較的信頼性の高い内容と思われるので、今回紹介してみたいと思います。

呼吸機能ってそもそも何?

呼吸機能とは、肺や気道がどれくらい元気に働いているかを数字で表したものです。健康診断や呼吸器内科でよく測るのは、この3つです。

  • 1秒量(FEV1):大きく吸い込んだ空気を勢いよく吐いたとき、最初の1秒間に出せる量→気道の通りやすさの目安になります。
  • 努力肺活量(FVC):息を思いきり吸い込んでからすべて吐き出したときの、空気の総量→肺の容量を示します。
  • 1秒率(FEV1/FVC):1秒量と肺活量の比率→気道の狭まり具合をみる指標です。

研究でわかった呼吸機能のピーク年齢

今回の研究では、女性はおよそ20歳、男性は23歳で呼吸機能がピークに達し、その後はゆるやかに低下していくことがわかりました。想像していたのよりも意外と早くピークが来ることに驚きますよね…

1秒量(FEV1)の変化

  • 女性:13歳までは年234mLペースで増え、その後20歳まで年99mL増加 → ピーク後は年26mL減少
  • 男性:16歳までは年271mL増加、その後23歳まで年108mL増加 → ピーク後は年38mL減少

努力肺活量(FVC)の変化

女性は14歳まで急成長し20歳でピーク、男性は16歳まで増加し23歳でピーク。その後は加齢とともに少しずつ減っていきます。

1秒率(FEV1/FVC)の変化

男女とも4歳から生涯にわたって少しずつ低下していくことが確認されました。

喘息や喫煙の影響も大きい

喘息がある場合

喘息が続いている人は、呼吸機能のピークが数年早く訪れ、その後の数値も低めで推移します。女性では肺活量のピーク年齢も早まる傾向が見られました。

喫煙の影響

喫煙を続けている人は、30代半ばから後半にかけて呼吸機能の低下スピードが速くなります。タバコによる炎症や組織の傷みが、年齢による自然な変化にさらに悪影響を与えてしまいます。

元八事ファミリー内科クリニックからのアドバイス

今回のLancet誌の研究から、「肺のピークは意外と早く来る」こと、そして「その後は少しずつ低下する」という事実がわかります。だからこそ、若いころから肺を大切にする習慣が必要になってくるんです。

呼吸機能を長く保つための5つの習慣

  1. タバコを吸わない・吸わせない:禁煙はもちろん、受動喫煙も避けましょう。
  2. 呼吸器の病気は早めに治療:喘息やCOPDは、継続して治療をすることが大切になってきます。
  3. 定期的な呼吸機能チェック:特に40歳を過ぎたら、年1回は呼吸機能検査の測定をしましょう。
  4. 体を動かす習慣:ウォーキングや軽い筋トレで呼吸筋を鍛えましょう。
  5. 感染症予防:肺炎やインフルエンザは機能低下の原因になります。

まとめ

呼吸機能は20代前半でピークを迎え、その後は少しずつ低下していきます。喘息や喫煙があると、その低下はさらに早まります。元八事ファミリー内科クリニックでは、呼吸機能検査や禁煙支援、喘息・COPDの管理に重点をおいて、診療を行っていきたいと思います。

気管支喘息

慢性閉塞性肺疾患(COPD)