高齢者にとって注意が必要なRSウイルス感染症とは?
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、もともと乳幼児に多い感染症として知られていますが、実は高齢者にとっても油断できないウイルスの一つです。特に65歳以上の方や、心臓や肺に持病をお持ちの方では、重症化しやすく、肺炎や気管支炎を引き起こすことも少なくありません。そこで今回のブログでは、高齢者にとってのRSウイルスについて、取り上げて見たいと思います。
RSウイルス感染の症状と臨床でよく見るパターン
典型的な症状は、咳・鼻水・発熱といった風邪のような症状から始まります。しかし、高齢者の場合は発熱が目立たず、「咳が続く」「息切れがひどい」「体力が急に落ちた」といった形で現れることも多いです。高齢者は基礎疾患がある分、ちょっとした呼吸器感染でも入院に至ることがあるので、注意が必要なんです。
なぜ高齢者にとってRSウイルスが危険なのか
加齢により免疫力が低下していることに加え、肺や心臓に持病を抱えている方では、RSウイルス感染が引き金となって重症化することが多いです。特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、心不全といった病気をお持ちの方は、特に注意が必要だと思います。
RSウイルス感染の治療について
治療は対症療法が基本で、咳止め、解熱剤、必要に応じて酸素投与などを行います。
ワクチンによる予防の重要性
これまでRSウイルスに対するワクチンはなく、予防といえば「手洗い・うがい・マスク」程度しか方法がありませんでした。しかし、最近になって高齢者向けのRSウイルスワクチン「アレックスビー」が登場し、注目を集めています。これは世界的にも新しいワクチンで、重症化を防ぐ効果が示されています。
当院では、27,000円(税込み)でアレックスビーワクチン接種を行っています。
RSウイルスワクチン「アレックスビー」とは?
アレックスビーは、グラクソ・スミスクライン社が開発したRSウイルスワクチンで、日本でも2024年から使用が始まっています。60歳以上の高齢者を対象に接種が推奨されており、特に呼吸器や心臓に持病がある方には有効性が高いと考えられています。臨床試験では、RSウイルスによる下気道疾患(肺炎や重度の気管支炎など)を大幅に減らせることが確認されています。
アレックスビーの効果
・重症のRSウイルス感染症を防ぐ効果が高い
・入院のリスクを下げる
・60歳以上の方、特に基礎疾患を持つ方に有効
といった点が特徴です。
接種の対象と回数
対象は基本的に60歳以上の方で、接種は1回です。現時点では追加接種(ブースター)の必要性については検討中ですが、少なくとも1回の接種で十分な効果があると報告されています。
副反応について
接種後の副反応としては、注射部位の痛み・腫れ、発熱、倦怠感などが報告されていますが、ほとんどは数日でおさまります。インフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチンと似たようなイメージです。重い副反応はまれですので、基礎疾患をお持ちの方でも安心して接種できるケースが多いです。
RSウイルスワクチン接種を考えるべき方
・60歳以上の方
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、心不全などの持病がある方
・毎年、冬に風邪をこじらせて入院したことがある方
・免疫力が低下している方
こうした方は、ぜひアレックスビーの接種を検討していただきたいです。
当院での取り組みについて
元八事ファミリー内科クリニックでは、インフルエンザや肺炎球菌、帯状疱疹ワクチンなどの予防接種を行っており、RSウイルスワクチン「アレックスビー」についてもご相談いただけます。患者さんの年齢や持病、体調をふまえて、最適な接種スケジュールをご提案します。「自分は接種したほうがいいのかな?」と迷ったら、まずは気軽にご相談ください。
まとめ
RSウイルスは乳幼児だけでなく、高齢者にとっても重症化のリスクがある怖い感染症です。特に基礎疾患のある方にとっては、肺炎や呼吸困難につながることもあり、入院を余儀なくされることもあります。しかし、新しく登場したRSウイルスワクチン「アレックスビー」により、予防の選択肢が広がりました。これからの季節、安心して生活するために、ぜひワクチン接種を検討していただきたいと思います。