電子タバコ・加熱式タバコは本当に安全?
「紙巻きタバコはやめたけれど、電子タバコや加熱式タバコなら安心」と考えている人が一定数いらっしゃる気がします。しかし、実は電子タバコ・加熱式タバコともに、身体への害があるということはわかっておいたほうがいいです。今回のブログ記事では、その根拠と呼吸器疾患への影響、そして元八事ファミリー内科クリニックで行う禁煙支援について、説明していきたいと思います。
電子タバコの仕組みと、なぜ有害なのか
電子タバコはリキッド(液体)を専用デバイスで加熱し、発生する蒸気を吸引するタイプの「タバコ」です。タバコ葉を燃やさないため「タールや紙巻きタバコの煙がない=安全」と誤解されやすいのですが、実はそう単純ではないんです。
リキッドに含まれる成分と加熱による生成物
リキッドには、香料や溶剤(プロピレングリコール、植物性グリセリンなど)などの成分が含まれているため、加熱されるとホルムアルデヒドやアクロレインなどの刺激性および有害な化学物質が作られてしまうということが確認されています。これらは気道を刺激して、咳・息切れ・喘息発作などの症状の誘発につながることがあるので、注意が必要です。。
発がん性や長期影響の不確実性
一部の報告では電子タバコの蒸気から発がん性物質が検出された事例もあります。また、長期使用による健康リスクについては、まだまだ不明な点が多いです。そして、ニコチン入りのリキッドは、ニコチンの依存性をもたらし、心血管系への負担も考慮しなくてはいけません。
加熱式タバコの実態と見落としがちなリスク
加熱式タバコはタバコ葉を低温で加熱して発生するエアロゾルを吸う方式です。紙巻きたばこと比較して、煙やニオイが少ないため、害が少ないと思われがちですが、タバコ葉を使う以上、ニコチンや多数の有害物質が含まれます。
ニコチンと呼吸器・循環器への影響
ニコチンは血管収縮を招き、心血管疾患のリスクを高めることに加えて、強い依存性があります。また、加熱式タバコのエアロゾルにも、アクロレインなどといった、呼吸器に有害な成分が含まれているため、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を悪化させる恐れがあるんです。
喘息やCOPDの患者さんにとっての危険性
呼吸器内科医をやっていると、電子タバコや加熱式タバコの使用によって、症状が悪化するケースをたびたび経験します。有害物質による気道の刺激や慢性的な気道炎症の悪化によって、発作が増えたり、薬によるコントロールが難しくなることもあるんです。
環境刺激としての役割
喘息は環境刺激に敏感な病気です。かすかな蒸気や香料でも気道過敏性を高め、発作の引き金になり得ます。また、吸わない方に対しての受動喫煙への影響も無視できません。
「紙巻きタバコよりマシ」では不十分な理由
確かに一部の有害物質が減る可能性はありますが、ゼロにはなりません。また、電子タバコや加熱式タバコの長期使用による健康被害はまだ十分に解明されておらず、安全性が確立されたとは言えません。
元八事ファミリー内科クリニックでの禁煙支援
禁煙は一人で取り組むと難しいことが多いですが、医療機関のサポートを受けることで、成功率は上がります。当院では禁煙外来を行っていきます。ニコチンパッチや内服薬、行動療法を組み合わせ、無理なく禁煙ができるようにサポートしていきます。
まとめ
・電子タバコは、リキッドの加熱で有害物質が生成される。
・加熱式タバコは、タバコ葉由来のニコチン等を含んでいるので、循環器・呼吸器に影響を与える。
・喘息やCOPDに対して、症状悪化のリスクが高い。
・電子タバコや加熱式タバコに切り替えるのであなく、禁煙を目指すことが重要。