低カリウム血症とは?症状・原因・治療について
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。時々、一般定期採血や健診などで、「カリウムが低い」という結果が出ることがあるかと思います。血液中のカリウムの値が低くなることを低カリウム血症といいます。低カリウム血症は、軽度なら自覚症状がほとんどなくても、進行すると心臓や筋肉に影響が出てしまうこともあるんです。そこで今回のブログでは、低カリウム血症について触れていきたいと思います。
低カリウム血症とは?
血液中には、ナトリウムやカリウムといった「電解質(でんかいしつ)」が一定のバランスで存在しています。カリウムは主に細胞の中に多く含まれ、筋肉の収縮や神経の伝達、心臓のリズムを保つために欠かせないミネラルなんです。
通常、血液中のカリウム濃度は3.5〜5.0 mEq/L程度に保たれていますが、3.5 mEq/L未満になると低カリウム血症と診断されます。数値が下がれば下がるほど症状が出やすくなり、放置すると危険な状態になることもあるので、注意が必要なんです。
低カリウム血症でよくみられる症状
体のだるさや力が入らない
「最近、疲れやすくて足が重い」とおっしゃる方の中に、カリウム不足が隠れていることがあります。
足がつりやすい(こむら返り)
夜中にふくらはぎがつるのも、低カリウム血症のサインかもしれません。
脈の乱れ(不整脈)
心臓の筋肉もカリウムの働きに依存しています。数値が低いと脈が飛ぶ感じや動悸が出ることもあります。
便秘
腸の動きにも筋肉の収縮が関わっているため、低カリウム血症で便秘が悪化することもあります。
低カリウム血症の原因
患者さんを診ていると、低カリウム血症の背景にはいくつかのパターンが多いと感じます。
- 利尿薬の使用:高血圧や心不全の治療で使われる利尿薬(尿を出す薬)が原因となるケースがよくあります。
- 下痢や嘔吐:胃腸炎や慢性的な下痢でも、体からカリウムが出てしまいます。
- 食事の偏り:極端な食事制限やダイエットで、カリウムを含む食品を十分にとれていないこともあります。
- ホルモン異常:「原発性アルドステロン症」など、ホルモンの病気が原因で低カリウム血症になることもあります。
- 漢方の定期使用:一部の漢方薬では、カリウムが下がってしまう副作用が出てしまうことがあります。
低カリウム血症の診断と検査
低カリウム血症は血液検査で数値を確認することで簡単に診断できます。ただし、原因が多岐にわたるため、「なぜカリウムが下がっているのか」を調べることがとても大事なんです。
- 血液検査:カリウムや他の電解質、腎臓やホルモンの状態をチェック
- 尿検査:尿中のカリウム排泄量を調べ、原因を推定
- 心電図:不整脈の有無を確認
低カリウム血症の治療
軽度の場合
食事でカリウムを補うことが基本です。バナナ、アボカド、ほうれん草、里芋、納豆などが、カリウムが豊富に含まれている代表的な食材になります。
中等度〜重度の場合
内服薬(カリウム製剤)を処方して治療をしていくことがあります。
原因の治療
利尿薬を使っている方は薬の種類を調整することもありますし、ホルモン異常がある場合は専門的な精査や治療が必要になる場合もあります。
私たちは「数値を上げる」ことだけでなく、「なぜ下がったのか」を丁寧に調べ、再発を防ぐように心がけています。
日常生活で気をつけたいこと
- カリウムを多く含む食材を毎日の食事に取り入れる
- 水分をしっかりとる(下痢・嘔吐時は特に注意)
- 健診でカリウムが低いと出たら放置しない
- 利尿薬を服用中の方は定期的に血液検査を受ける
まとめ:気になる症状があれば早めにご相談ください
低カリウム血症は、軽いうちは自覚症状が乏しいため見過ごされがちです。でも、進行すると筋肉のけいれんや不整脈など命に関わることもある病気です。特に、利尿薬を使っている方や、下痢・嘔吐が続いている方、健診で異常値の指摘を受けた方は注意が必要です。
元八事ファミリー内科クリニックでは、「なんとなく体がだるい」「脈が気になる」といった小さな症状に対しても、対応させていただきますので、ぜひ気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりに寄り添い、安心して通えるクリニックを目指していますので、ご不安なことがあればいつでもご相談ください。