秋の味覚・サンマの栄養と健康効果について
サンマはなぜ秋に食べると良いのか
秋になるとスーパーの鮮魚コーナーに並ぶサンマ。サンマが食卓に並ぶようになると、「秋が来たな」と感じる方も多いと思います。
実は、サンマは、夏の終わりから秋にかけて脂がしっかりのり、栄養価が一番高まる時期なんです。特に9月〜10月にかけて出回るサンマは「旬の魚」として、昔から日本人に親しまれてきたそうです。
私自身、サンマは好きなのでよく食べますが、実際にサンマは、とても栄養価が高いので、おすすめの食材になります。そこで今回のブログでは、医師の立場からサンマに含まれる栄養と健康への効果について、わかりやすくお話ししたいと思います。
サンマに豊富に含まれる栄養素
DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)
秋のサンマの代表的な栄養といえば、青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)です。
これらは「血液をサラサラにする油」として知られており、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病の予防に役立つ、健康にいい栄養素なんです。
実際に、主に中性脂肪が高い方に、食事指導の一環として青魚を勧めることがあります。サプリメントで摂る方もいますが、食事から自然に摂るのが一番だと思います。サンマなら美味しく続けやすいので、日常の食卓に取り入れやすい食材のひとつです。
良質なたんぱく質
サンマは、筋肉や臓器をつくるたんぱく質の供給源としても優秀です。肉類より脂肪が少なく、消化吸収もしやすいため、高齢の方にも向いています。
診察で「最近、疲れやすい」と相談される患者さんの中には、実はたんぱく質不足が原因になっている方も少なくありません。サンマのような魚を食事に取り入れることは、体力回復や免疫力アップにもつながるんです。
ビタミンD
サンマは、骨や歯の健康に欠かせないビタミンDがたっぷり含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、骨粗しょう症予防にも大切です。
特に女性や高齢者の方では、ビタミンD不足が目立つことがあります。骨折や転倒を防ぐためにも、秋刀魚は強い味方になってくれます。
ビタミンB群
サンマはビタミンB12やナイアシンも豊富です。これらは神経や血液の健康に関わり、貧血や神経症状の予防に役立ちます。
実際に、疲労感やしびれの症状で受診された方の中には、血液検査でビタミンB12不足がわかるケースもあります。そういうときに魚を意識的に食べることが、栄養補給のひとつの手段になるんです。
サンマを食べるときの注意点
脂質との付き合い方
旬のサンマは脂がのっていて美味しい反面、脂質の摂りすぎが気になる方もいらっしゃいます。特に中性脂肪や脂質異常症で通院されている方には「焼き魚ならOK?」「1匹食べてもいい?」とよく聞かれることもあります。
その質問に対しての答えは「量と調理法に気をつければ大丈夫」です。1日1匹程度なら問題ありませんし、塩焼きや煮つけなら余分な脂も落ちやすいです。ただし、揚げ物や甘辛い照り焼きはカロリーオーバーにつながりやすいので、その点は注意が必要です。
塩分の摂りすぎ
サンマは塩焼きにして食べることが多いため、どうしても塩分が増えてしまいます。高血圧で通院している方には「塩は控えめに」「レモンやすだちで風味を出すと美味しい」とアドバイスすることもあります。
食べる頻度
サンマは体に良い栄養が豊富ですが、同じ食材ばかり食べると栄養バランスが偏ります。週に1〜2回、秋の時期に楽しむくらいがちょうどいいと思います。
臨床でよく見る「魚不足」のパターン
外来患者さんの中には、魚をほとんど食べず肉中心の生活をしている患者さんもいらっしゃいます。特に若い世代や働き盛りの方は、忙しさからコンビニや外食に頼りがちで、青魚を食べる機会が減ってしまっているのだと思います。
その結果、血液検査で中性脂肪やLDLコレステロールが高い、あるいはビタミンDが不足している、というケースも珍しくはないそうです。こうした方には、まずは身近な魚としてサンマを勧めることが多いです。
旬の魚を美味しく食べながら健康管理につなげられるので、取り入れやすいんです。
まとめ:サンマを上手に食べて健康に
サンマはDHA・EPA、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンB群など、体にうれしい栄養がたっぷり詰まった秋の代表的な魚です。
ただし脂質や塩分も含まれるため、量や調理法に注意しながら、旬の時期に美味しく楽しむのがポイントです。
元八事ファミリー内科クリニックでは、生活習慣病や栄養の相談にも対応していきたいと思います。「食生活をどう改善したらいいのか分からない」「健診でコレステロールや中性脂肪を指摘された」という方は、気軽にご相談ください。
私たちと一緒に、日々の食事から健康を守っていきましょう。