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肺炎球菌ワクチンについて

一般内科  / 呼吸器 その他

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。 今回のブログでは、肺炎球菌ワクチンについて、少しまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

肺炎球菌感染とは?

肺炎球菌は、肺炎や中耳炎、副鼻腔炎、さらには敗血症や髄膜炎といった重い感染症を起こす細菌の一つです。特に高齢の方や持病(糖尿病、心疾患、慢性呼吸器疾患など)のある方は、重症化しやすいのが特徴なんです。発熱や咳、痰、息苦しさなどが主な症状ですが、進行が早く、体力の低下した方では命に関わるケースも少なくありませんので、要注意の感染症なんです。

なぜワクチンが大切なのか

肺炎球菌は抗菌薬で治療できますが、耐性菌(薬が効きにくい菌)も多く、治療が長引いたり重症化することがあります。そのため「かかってから治す」よりも「かからないように予防する」ことが重要なんです。ワクチンは、免疫(体を守る仕組み)を事前に作っておくことで、発症や重症化を防ぐ効果が期待できます。実際に、高齢者や基礎疾患を持つ方にワクチンを接種することで、肺炎による入院や死亡のリスクを減らせることが報告されています。

肺炎球菌ワクチンには2種類ある

肺炎球菌ワクチンには大きく分けて「ニューモバックス(23価肺炎球菌多糖体ワクチン:PPSV23)」と「プレベナー(13価肺炎球菌結合型ワクチン:PCV13)」の2種類があります。それぞれ仕組みや効果が少し異なるので、順番に説明したいと思います。

ニューモバックス(PPSV23)について

ニューモバックスは、肺炎球菌の中で特に感染を起こしやすい23種類の型に対応しています。幅広い型をカバーできるのが特徴で、接種後はおよそ5年程度効果が続くとされています。ただし、免疫のつき方がやや弱く、時間が経つと効果が下がりやすい傾向があるんです。臨床では、70代以上の方や、慢性の持病をお持ちの方に接種するケースが多いです。

プレベナー(PCV13)について

プレベナーは、ニューモバックスよりカバーする型は少ない(13種類)ですが、免疫のつき方が強く、長く続きやすいのがメリットです。特に侵襲性肺炎球菌感染症(血液や脳に菌が回る重い病気)を予防する効果が高いとされています。免疫が落ちている方や重症化リスクの高い方には特に接種していただきたいワクチンです。

2種類のワクチンはどう使い分けるの?

「ニューモバックスとプレベナー、どっちを打てばいいの?」とよく聞かれます。実際には、2つを組み合わせるとより効果的なんです。たとえば、まずプレベナーを接種してしっかりと免疫を作り、その半年後以降でニューモバックスを打ち、幅広い型に対応する、という流れが推奨されています。

臨床でよく見るケース

私が呼吸器専門医として診療していて感じるのは、ワクチンを打っていた方と打っていなかった方では、入院後の経過が大きく違うことです。ワクチンを打っていた方は、同じように肺炎になっても比較的軽く済んで早く退院できることが多いんです。逆にワクチン未接種の方では、点滴や酸素投与が長く必要になり、体力の回復にも時間がかかる印象があります。

対象となる方

特に接種をおすすめしたいのは以下のような方です。

  • 65歳以上の高齢者
  • 心臓病、糖尿病、腎臓病、肝臓病などの持病がある方
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの呼吸器疾患をお持ちの方
  • 免疫が下がっている方(ステロイド内服中など)

これらの方は肺炎が重症化しやすく、予防がとても大切です。

副作用について

ワクチン接種後は、腕の痛みや赤み、軽い発熱が出ることがありますが、多くは2〜3日で自然に治まります。重い副作用は非常にまれです。実際に接種された患者さんのほとんどが、「腕が少し痛くてだるかったけど、すぐに良くなった」とおっしゃっています。

まとめ〜予防が最も大切です〜

肺炎球菌は誰でもかかる可能性のある身近な細菌ですが、高齢者や持病のある方では命に関わる重い感染症につながることがあります。ニューモバックスとプレベナーという2種類のワクチンを上手に活用することで、発症や重症化を大きく防ぐことができます。

  1. 名古屋市天白区にあります「元八事ファミリー内科クリニック」では、肺炎球菌ワクチンのご相談や接種を行っています。些細なことでもいいので、お気軽にご相談ください。