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SARS-CoV2ワクチン、5社を比較

一般内科

2025年10月版:
新型コロナワクチンの主要5社ワクチンをどう選ぶ?

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。新型コロナワクチンについてですが、2025年現在において、主要5社(①ファイザーのコミナティ、②モデルナ・ジャパンのスパイクバックス、③第一三共のダイチロナ、④武田薬品のヌバキソビッド、⑤Meiji Seikaファルマのコスタイベ)からのワクチン接種が可能であり、選択肢が広がってきています。しかしながら、どのワクチンがどのような特徴があるのか、について、よくわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回のブログでは、この5社のワクチン製剤について、それぞれの特徴について簡単にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

 

2025年10月時点で流行しているコロナ変異株

アメリカ疾病予防管理センター(CDC, Centers for Disease Control and Prevention)によりますと、2025年冬から春に感染拡大した株はLP.8.1株でありますが、米国では夏にかけて大きく減少傾向になっているそうです。日本においては、LP1.8.1株(通称ニンバス株)が今年(2025年)の夏に感染拡大しました。ニンバス株は増加傾向なのですが、それにもまして、最近になりXFG株という株が急増していきています。さらに、最新の監視情報ではXEC株が新たに報告されており、欧米を中心に検出例が増えているとされています。XEC株はニンバス株やXFG株と並んで今後の動向が注目されており、流行状況を踏まえたワクチン株の選定や感染対策に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、日本のワクチン事情についてですが、今年はLP.8.1とXECの2種類が抗原対象になっています。いずれもオミクロンJN.1の下位、あるいは近縁の系統であり、抗原性には大きな差はないとされています。NB.1.8.1も同様であり、ワクチン接種による効果は期待できると思われます。

5社ワクチンの全体像と今年度の方針

2025/26シーズンの日本では、厚生労働省が定期接種に使うワクチンの抗原株を「オミクロン LP.8.1 または XEC 系統」と定め、ファイザー、モデルナ、第一三共、武田薬品、Meiji Seika(明治製菓ファルマ)の5社が関与する見込みです。

ただし、各社ワクチンの方式(mRNA/不活化ワクチン、レプリコンワクチン)や供給量・安全性に違いがありますから、「どれでも同じ」ではありません。以下で詳しく見ていきましょう。

5社ワクチンを方式・性質・臨床感覚で比較

ファイザー(コミナティ®):安心の実績型mRNA

最も接種症例が多く、治験・実地データが豊富です。0.3mLの投与量で、LP.8.1 系株に対応しています。副反応は注射部位の痛み、軽度の発熱や倦怠感が代表的です。

ただ、mRNA 型ワクチンにはポリエチレングリコール(PEG)を含むものがあり、極めて稀にアレルギー反応との関連が懸念される添加物を含んでいる点は留意が必要です。

モデルナ(スパイクバックス®):やや強めの抗体誘導型 mRNA

投与量は 0.5mLで、やはり LP.8.1 に対応しています。発熱・倦怠感など全身性副反応が出やすい傾向が代表的副反応として挙げられます。

第一三共(ダイチロナ®):国産 mRNA(RBD 部位設計)

国内企業が開発した mRNA ワクチンで、抗原部分を受容体結合部位(RBD)に絞ることで効率を追求した方式です。対応株として XEC 系統を想定しており、投与量は 0.6mLです。副反応も ほかのmRNA 型のワクチンとほぼ同様です。

武田薬品(ヌバキソビッド®):組換えタンパク(アジュバント付き)型

mRNA 方式ではない組換えタンパクワクチンです。LP.8.1 抗原を用い、Matrix-M 等のアジュバント(免疫を強める助剤)を併用する設計です。

臨床的に注目される点は、mRNA 型に比べて副反応が出にくい傾向があること、そして mRNA に抵抗感・不安をお持ちの方にも選びやすいことです。ただし、抗体誘導力では mRNA 型に若干見劣りする可能性があります。

Meiji Seika(コスタイベ®):次世代型 自己増幅 mRNA(レプリコン型)

自己増幅型 mRNA(sa-mRNA、レプリコン型)という新しい方式で設計されたワクチンです。少ない量(0.5mL)で投与でき、体内で一時的に mRNA が増幅されることで持続的な抗原発現を目指す設計です。

初期データでは、中和抗体価が長期間維持されたという報告もあり、将来的なブースター回数の削減などが期待されています。ただ、実際の臨床持続性・長期安全性はこれからの観察が鍵です。

実際に選ぶときに意識してほしいポイント

実績 ×安全性 × 効果のバランス

「最大限の抗体をつけたい」方には mRNA 型(ファイザー・モデルナ・第一三共)が有利な可能性があります。ただし、「極端な副反応リスクは避けたい」方には、武田や Meiji のような方式も非常に有力な選択肢になります。また、これまでの実績をもとに選ぶ、というのも一つの選択肢かもしれません。

アレルギー歴・既往歴・体調を加味して選ぶ

PEG アレルギーなどを心配される方、過去にワクチンでつらい副反応を経験された方は、mRNA 型から少し離れた方式(武田・Meiji)を検討するのも一つの選択肢と思います。

ブースター設計・持続性を考える

将来的なブースター回数を減らしたい方には、自己増幅型 mRNA(Meiji) の持続性データが魅力的です。ただしまだ臨床での長期データは限られており、「期待される可能性」として理解しておくのが良いでしょう。

よくある質問にお答えします

Q. この5社はすべて公費接種の対象ですか?

公的には、定期接種の対象者(たとえば 65 歳以上、特定の基礎疾患を持っている方など)は補助が受けられるケースがあります。ただし、どのワクチンを選ぶかにより自己負担額や補助条件が異なる場合もあるので、自治体の制度を確認することが大切になってきます。

Q. 変異株がいつか変わったら意味がないのでは?

確かに変異株の出現は常にリスクです。ですが、抗原設計が流行株に近いものを選び、交差防御(近縁株にも反応する免疫)を持たせたワクチンが用いられています。ワクチンを打っておいた方が重症化を防ぐ「備え」になる可能性が高いと考えられています。

まとめ― 5社ワクチンをどう活かすか

ファイザー、モデルナ、第一三共、武田薬品、Meiji Seika の 5 社ワクチン、それぞれに“強み”と“注意点”があります。最も大切なのは、「適切なタイミングで対応株入りワクチンを接種すること」だと思います。

当院、元八事ファミリー内科クリニックでは、新型コロナワクチンを1回15,000円で受けつけています。
ご希望の患者様は、ぜひ余裕をもって事前予約をしていただくことをお勧めします。
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