小児の薬の形(剤形)について、簡単にまとめてみました
小児の薬の形(剤形)について知っておきましょう
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
小さなお子さんに薬を処方する際に、「シロップ」「ドライシロップ」「散剤」など、いろいろな形の薬が処方されることがあります。保護者の方からは、どの剤形がうちの子にあっているのか、飲ませやすいのか、質問をいただくことも多いです。
そこで今回のブログでは、小児の薬の剤形(シロップvsドライシロップvs散財)について、それぞれの特徴や注意点をできるだけわかりやすく説明していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
シロップ剤とは?
シロップ剤は、その名のとおり液体のお薬です。甘みや香りがつけられていて、お子さんが比較的飲みやすいように工夫されています。
例えば、咳止めや抗生物質、解熱薬などでよく使われます。量は「◯ml(ミリリットル)」で指示され、専用のスポイトやカップで計量します。
小児科で処方されると、初めてのお母さんお父さんは「このシロップ、冷蔵庫に入れた方がいいですか?」と聞かれることが多いです。実際には、薬の種類によって保存方法が異なりますので、薬局での説明をよく確認してください。
シロップのメリット
- 味や香りでごまかしやすく、小さな子でも飲みやすい
- すでに液体なので吸収が早い
- 1回量がはっきりしていて、調整がしやすい
シロップの注意点
- 糖分が多く含まれるものもあり、むし歯のリスクがある
- 液体なので、持ち運びに不便
- 冷所保存が必要な薬もある
ドライシロップとは?
ドライシロップは、「粉末を水に溶かすとシロップ状になる薬」です。粉薬の一種ですが、甘味や香料があらかじめ加えられていて、シロップに近い味付けになっています。
抗生物質(抗菌薬)では特によく使われます。薬局で水を加えて溶かした状態で渡される場合と、ご家庭で溶かして飲ませる場合があります。
ドライシロップのメリット
- 保存しやすく、持ち運びに便利
- 粉のままでも、水に溶かしても服用できる
- シロップよりも糖分が少ないものが多い
ドライシロップの注意点
- 水に溶かした後は日持ちしないため、早めに使い切る必要がある
- 粉が口に残ると嫌がる子もいる
- 苦みが残りやすい薬もある
例えば、肺炎や中耳炎で抗生物質を長く飲む必要があるとき、シロップでは量が多すぎる場合があります。そんなとき、ドライシロップなら必要量を少ない水で溶かせるので、飲ませやすいんです。
散剤とは?
散剤とは、いわゆる「粉薬」です。昔からある一般的な形で、大人の薬でもよく使われます。苦みを感じやすいため、小児では飲ませにくいことが多いですが、薬によっては散剤しかないものもあります。
抗ヒスタミン薬や漢方薬などでよく処方されます。
散剤のメリット
- 種類が豊富で、幅広い薬に対応できる
- 薬の含量が少なく済み、飲む量が少なくて済むこともある
- 長期保存が可能なものが多い
散剤の注意点
- そのままでは苦みやにおいが強く、子どもが嫌がることがある
- オブラートやゼリーを使わないと飲みにくい
- 粉が飛び散ると扱いにくい
実際の診療では、「シロップやドライシロップだと甘すぎて嫌がる」というお子さんが散剤を意外とすんなり飲める、というケースもあります。お子さんの性格や好みによって合う薬の形は違うんです。
シロップ・ドライシロップ・散剤の選び方
では、どの形を選べばよいのでしょうか?
元八事ファミリー内科クリニックの場合には、まずはご希望を伺います。また、病気の種類やお子さんの年齢、性格、体重、飲みやすさを総合的に考えて処方を決めるようにしています。
臨床でよくあるケース
- 1歳前後の赤ちゃん:シロップで処方することが多い
- 2〜3歳で甘いものが好き:ドライシロップも選択肢になる
- 小学生以上で錠剤が苦手:散剤を使うこともある
また、喘息やアレルギーで長期間薬を続ける場合は、糖分の取りすぎを防ぐために、敢えて散剤を使うこともあります。
保護者の方へのアドバイス
「薬を嫌がってなかなか飲ませられない」というのは、外来で最も多い相談のひとつです。
私がお伝えしているコツは次の通りです。
- 少量の水やジュースに混ぜて味をごまかす
- ヨーグルトやアイスに混ぜる(薬によって可否あり)
- ゼリーやオブラートを活用する
- どうしても飲めない場合は処方変更を相談する
無理やり飲ませると薬嫌いになってしまうので、なるべく工夫しながら続けられる方法を一緒に探すことが大切になってくるんです。
まとめ
シロップ・ドライシロップ・散剤は、それぞれにメリットとデメリットがあり、お子さんの年齢や病状によって適した形が変わります。保護者の方の「飲ませやすさ」「続けやすさ」も大切なポイントです。
「薬がどうしても飲めなくて困っている」という場合には、気軽にご相談ください。お子さんに合った形を一緒に考えていきましょう。