大人になってからの喘息発症とは?小児喘息との違いについて
こんにちわ。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
喘息というと、小児喘息だったり、小児期から喘息を持っている方を思い浮かべることが多いと思いますが、実は大人になってから発症する喘息というのも存在します。成人になってから初めて喘息を発症する「成人発症喘息」は、実は意外と多くの方が経験する症状なんです。子ども時代に喘息の経験がない場合でも、20歳以降に咳や息苦しさが現れることもあります。一方で、小児期から続く喘息(小児期発症喘息)とは発症のきっかけや症状に違いがあるので、見逃されやすいため注意が必要なんです。
そこで今回は、成人発症喘息の特徴や小児期喘息との違い、診断・治療法について、詳しく説明していきたいと思います。
成人発症喘息と小児喘息の違い
小児期喘息は多くの場合、アレルギー体質に関連し、幼少期からゼーゼーいう呼吸音や咳を繰り返します。一方で、成人発症喘息は、アレルギーが直接関与しない、非アレルギー型も多く、生活習慣や環境要因、ストレスや肥満、ホルモン変化などが関与することがあります。
発症時期ときっかけ
- 小児期喘息: 幼少期から発症。風邪や花粉、ハウスダストなど、アレルギーが悪化のきっかけになる
- 成人発症喘息: 20歳以降に初めて発症。職業性刺激物、喫煙、ストレス、肥満、ホルモン変化などが引き金になることもあります
症状の特徴
- 小児期喘息: 夜間や運動後に咳やゼーゼー音が出やすい。季節性やアレルギー関連の症状が多いです
- 成人発症喘息: 咳が数週間以上続く、夜間や早朝に悪化する、運動や冷たい空気で息苦しくなる。軽症でも長期間持続することが多く、風邪薬で改善しないことが特徴となります
アレルギーとの関係
- 小児期喘息: ダニや花粉などアレルゲンの関与が強い
- 成人発症喘息: 非アレルギー型も多く、環境や生活習慣が発症に影響します
他の咳との違い
成人発症喘息の咳は、風邪や慢性咳嗽と区別がつきにくいことがあります。しかし、いくつかの特徴で見分けることが可能です。
風邪や感染症との違い
風邪による咳は通常1〜2週間で改善しますが、成人喘息では数週間以上続くことがあります。さらに、咳だけでなく運動後や夜間の息苦しさ、ゼーゼー音が伴うことが、診断の手がかりの一つになります。
慢性咳嗽との違い
成人発症喘息では、咳だけでなく、運動後の息切れや冷気で悪化する症状が同時に現れることが特徴で、呼吸器内科での詳細な評価が望まれます。
成人発症喘息の原因とリスク要因
成人喘息の発症には以下の要因が関与することがあります。
- ダニ・ハウスダストなどのアレルギー(非アレルギー型も多い)
- タバコや大気汚染、化学物質などの環境因子
- 職業性刺激物(粉塵、香料、洗剤など)
- 肥満、ストレス、ホルモンバランスの変化(女性の更年期など)
診断と治療のポイント
成人発症喘息の診断には、問診や呼吸機能検査、必要に応じて呼気NO検査や画像検査が行われます。特に呼気NO検査は、気道の炎症状態を簡便に評価でき、成人喘息の診断補助に役立ちます。
治療は吸入ステロイドを中心とし、症状に応じて短時間作用型または長時間作用型の気管支拡張薬を併用します。
生活習慣でできる工夫
- 室内のほこりやダニ対策(掃除や寝具の清潔管理)
- 禁煙、受動喫煙の回避
- 規則正しい生活とストレス管理
- 適度な運動で呼吸機能の維持
- 季節変化に応じた服装・加湿などで気道刺激を防ぐ
まとめ
成人発症喘息は、小児期喘息とは異なり、非アレルギー型が多く、発症のきっかけや症状の出方に特徴があります。咳が長引く、夜間に悪化する、運動後に息苦しさを感じる場合は、風邪や慢性咳嗽と誤解せず、早めに呼吸器内科を受診することをお勧めします。
元八事ファミリー内科クリニックでは、呼気NO検査、呼吸器機能検査などで評価しながら、喘息や長引く咳の診療に力を注いでいきたいと思っています。