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健診でAST、ALTが高いと言われたら

一般内科

元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。健康診断の結果を見て「AST(GOT)、ALT(GPT)が高い」と言われると、不安になる方は多いと思います。肝臓の数値と聞いても、「お酒を飲みすぎたせいかな?」「食べ過ぎたかも?」と自己判断してしまうこともあるかもしれません。
でも、ASTやALTの上昇にはいくつかのパターンがあり、放置していいものと、しっかり検査や治療が必要なものがあるんです。そこで今回のブログでは、AST(GOT)、ALT(GPT)が高い場合に考えるべきことについて、まとめてみたいと思います。

AST・ALTとは?肝臓の働きを映す数値

ASTとALTは肝臓の細胞の中に多く存在する酵素のことです。肝臓の細胞が壊れると、この2つの酵素が血液中に流れ出し、血液検査で数値が高くなるんです。

  • ALT(GPT) … 特に肝臓に多く含まれるため、肝臓の状態を反映しやすい。
  • AST(GOT) … 肝臓だけでなく心臓や筋肉にも含まれているため、肝臓以外の病気でも上がることがある。

健診で「肝機能異常」と書かれていたら、まずはこのAST、ALTが基準値より高かった可能性が高いです。

よくある原因と臨床でのパターン

脂肪肝(しぼうかん)

最近もっとも多いのが「脂肪肝」です。お酒を飲まない人でも、肥満や糖尿病、高脂血症(脂質異常症)があると肝臓に脂肪がたまり、ASTやALTが上がることがあります。私の外来でも「お酒を全く飲まないのに数値が高い」という方が非常に多いです。

アルコール性肝障害

毎日の晩酌や飲み会が続いている方に多いのが、アルコールに関連した肝障害です。特徴としては、ALTよりもASTが高めに出ることが多いです。毎日晩酌をして「休肝日を作っていない」という方は要注意です。

ウイルス性肝炎

B型肝炎やC型肝炎も、数値が高い原因のひとつです。日本では、肝炎ウイルスに対しての検査や治療が整ってきているので、早めに見つけて専門的に対応すればコントロールできる病気です。健診で初めて気づく方も実際にいらっしゃいます。

薬やサプリによる肝障害

意外と見落としがちなのが「薬やサプリの影響」です。風邪薬や解熱鎮痛薬、ドラッグストアで売っているサプリメントでも、肝臓に負担をかけることがあります。市販薬をよく飲んでいる方も、肝機能障害を指摘された際には、一度は「薬の影響かも」と疑ってみる必要があります。

筋肉や心臓の病気

ASTは筋肉や心臓にも含まれるため、心筋梗塞や筋肉の炎症などでも上がることがあります。肝臓だけでなく全身の状態をチェックする必要があるんです。

数値の高さで危険度は変わる?

健診結果でよく見るのは「軽度の上昇(基準値の2〜3倍程度)」です。この場合、脂肪肝や飲酒による軽い影響であることが多いですが、放置すると慢性肝炎や肝硬変へと進むこともあります。
逆に「急激に数値が高い(数百以上)」場合は、急性肝炎や薬剤性肝障害など重い病気の可能性があり、早急な受診が必要になってきます。

当院でよく行う検査

元八事ファミリー内科クリニックでは、健診でAST・ALTが高かった方に対して、以下のような検査を行うことが多いです。

  • 血液検査(肝炎ウイルス、脂質、糖代謝など)
  • 腹部エコー検査(脂肪肝や肝臓の硬さを見る)
  • 薬やサプリの服用歴の確認
  • 生活習慣(食事・お酒・運動)の聞き取り

症状がなくても進行しているケースも多いので、「自覚症状がないから大丈夫」と思わずに、確認することが大切です。

どうすれば改善できるのか?

食生活の見直し

脂肪肝が原因の場合は、食生活の改善が一番効果的です。炭水化物や甘い飲み物を減らす、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

適度な運動

軽いウォーキングや筋トレを週に数回続けるだけでも、肝臓にたまった脂肪が減り、数値が改善することがあります。

お酒を控える

お酒を飲む方は「週に2日は休肝日を作る」ことから始めてみてほしいです。完全にやめなくても、量を減らすだけで数値が下がる方もいます。

薬の調整

もし薬やサプリが原因の場合は、医師と相談しながら中止や切り替えを行います。自己判断でやめるのではなく、一度ご相談いただければと思います。

受診をおすすめするタイミング

  • 健診でAST、ALTが基準値を超えていた
  • 以前より数値が上がってきている
  • 疲れやすい、だるさ、黄疸(皮膚や白目が黄色い)がある
  • お酒をよく飲む、肥満や糖尿病がある

これらに当てはまる方は、一度ご相談ください。特に「症状が出てから」だと病気が進んでしまっていることが多いんです。

まとめ:健診結果は“気づき”のチャンス

AST、ALTの異常は、体からの大切なサインです。放置すれば肝硬変や肝がんにつながるケースもありますが、早く対応すれば改善できるケースもたくさんあります。健診で数値が高いと言われたときは、「まだ症状がないから大丈夫」と思わずに、ぜひ一度ご相談いただければと思います。元八事ファミリー内科クリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせた生活改善のサポートをしていきたいと思います。