糖尿病における摂取カロリーの考え方
糖尿病における摂取カロリーの考え方
はじめに
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。糖尿病と診断された患者さんから、よくいただく質問のひとつが「結局私は1日にどれくらい食べていいんですか?」というもの。血糖値のコントロールには薬や運動も大切なんですが、やっぱり毎日の食事が基本になるんです。特に「摂取カロリー」をどう考えるかは、治療の第一歩になってきます。
今日は、私が日々の診療で患者さんにお伝えしている「糖尿病における摂取カロリーの考え方」を、できるだけわかりやすくまとめてみたいと思います。当院(元八事ファミリー内科クリニック)は、総合内科専門医の立場から幅広い視点から診療をしていますので、ぜひ外来に来て相談してみてください。
摂取カロリーの基本は「適正体重」から
糖尿病の食事療法でまず考えるのは、患者さんごとの「適正体重」なんです。
適正体重は、身長(m)×身長(m)×22で計算していきます。
例えば、身長160cm(1.6m)の方なら、
1.6×1.6×22=約56kg が適正体重になります。
その上で、普段の活動量に応じて1日の摂取カロリーを決めていきます。
- デスクワーク中心の人 → 25kcal × 適正体重
- 立ち仕事や軽い運動をする人 → 30kcal × 適正体重
- 体力仕事をしている人 → 35kcal × 適正体重
たとえば160cmの方がデスクワーク中心なら、
56kg × 25kcal=1400kcal が目安になるんです。
実際には「思ったより少ない」と驚かれる方も多いんですが、これはあくまで目安になります。大事なのは、厳密に計算することより「自分に合ったカロリーの範囲を知ること」なんです。
よくある臨床でのパターン
ケース1:お菓子やジュースがやめられない方
診察室でよく耳にするのは、「ご飯はそんなに食べていないのに、血糖値が下がらない」という声です。実際に食事記録をつけてもらうと、間食のスナック菓子や甘い飲み物が多いことがよくあります。これらは少量でも高カロリー・高糖質になりやすいので、1日の総カロリーを大きく超えてしまうんです。
ケース2:ご飯を抜くのに夜にどか食いしてしまう方
「昼はサラダだけで我慢しています」と話す方も多いんですが、その反動で夜に揚げ物やお酒をたくさん摂ってしまって、結果的に1日の摂取カロリーが増えてしまうことがあるんです。糖尿病の食事療法では「1日のカロリーを3回に分けてバランスよくとる」ことが大切なんです。
ケース3:高齢の患者さんで体重が減っている方
一方で、糖尿病だからと極端に食事を制限しすぎて、痩せすぎ・筋肉減少になってしまうケースもあるんです。高齢の方では、低栄養によるフレイル(虚弱)が進むリスクがあるので、単純にカロリーを減らせば良いというわけではないんです。
「カロリー」だけでなく「質」も大切
摂取カロリーの計算は基本なんですが、それだけで血糖コントロールがうまくいくとは限らないんです。大切なのは、糖質・脂質・たんぱく質のバランスになります。
- 糖質(炭水化物):主食(ご飯、パン、麺類)は全体の50〜60%が目安になります。ただし砂糖を多く含む飲み物やお菓子は控えたほうがいいです。
- 脂質:摂りすぎると中性脂肪が増えやすいです。揚げ物よりも魚やオリーブオイルなど質の良い脂をおすすめしています。
- たんぱく質:筋肉や臓器を守る栄養素になります。魚、大豆、肉、卵などをバランスよく摂るのが大切なんです。
特に「同じカロリーでも、選ぶ食材で血糖の上がり方は大きく違う」という点を知っていただくことが、大切になってくるかと思います。
私が患者さんにお伝えしている工夫
- 食事日記をつける
「自分では食べていないつもり」でも、記録すると意外に食べていることに気づくことが多いす。 - 間食は100kcal以内
どうしてもおやつが必要な方には、「果物小皿1つ分」「ヨーグルト1個」など、100kcalを目安にお伝えしています。 - 外食では最初に野菜を注文
血糖の急上昇を防ぐ“ベジファースト”を実践してもらうことも有効です。 - 夜遅い食事はできるだけ軽めに
夜は代謝が落ちるので、同じカロリーでも太りやすい傾向があるので注意が必要です。
摂取カロリーと運動のバランス
カロリー制限ばかりに目を向けると、食べることが苦痛になってしまう方も出てくるかとお思います。そんなときは「消費カロリーを増やす」という考え方も大事になってきます。
例えば、同じ1400kcalを食べても、毎日30分のウォーキングを続ける人と、まったく運動しない人では、血糖コントロールの結果が大きく違うんです。
まとめ
糖尿病の食事療法における摂取カロリーは、「適正体重」と「活動量」を基準に考えるのが基本です。ただし、数字だけにこだわるのではなく、実際の生活に取り入れやすい工夫が必要なんです。
私たち元八事ファミリー内科クリニックでは、総合内科専門医としての幅広い視点から、一人ひとりに合わせた食事や生活のアドバイスを行っていきます。糖尿病の食事で悩んでいる方は、ぜひ気軽にご相談ください。