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健診で胸部レントゲンに異常と言われたら

呼吸器 その他

元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。毎年の健康診断で「胸部レントゲンに影がある」「異常が見つかった」と指摘されると、とても不安になりますよね。実際に外来でも、「がんではないか」「大きな病気ではないか」と心配されて受診される方は、少なくありません。そこで今回のブログでは、健診で胸部レントゲンに異常を指摘されたときに、どう考えればよいのか、どんな流れで検査や診断をしていくのかを、元八事ファミリー内科クリニックの現状に即してできるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。

胸部レントゲンで「異常」と言われるケース

胸部レントゲンは、肺や心臓、血管、骨などを一度に映し出すことができる便利な検査です。ただし、あくまで「影」を見ている検査なので、必ずしも病気が確定するわけではありません。よく見られるパターンには以下のようなものがあります。

  • 肺に影がある:炎症(肺炎や結核など)、腫瘍(肺がんや良性腫瘍)、古い感染のあと(瘢痕)など。
  • 心臓が大きい:高血圧や心臓弁膜症、心不全のサインであることがあります。
  • 胸水がある:肺や心臓の病気、肝臓・腎臓の疾患が隠れている場合もあります。
  • 骨の異常:肋骨の骨折や骨の腫瘍などが見つかることもあります。

外来でよくあるのは、「肺に淡い影がある」と健診で言われ、紹介状を持って受診されるパターンです。実際には古い炎症の痕で特に問題がないことも多いのですが、中には早期の肺がんや結核が見つかることもあるので、やはり二次検査は必要と思われます。

胸部レントゲンだけでは分からないこと

胸部レントゲンは便利な一方で、「小さな病変は見つけにくい」「重なりの影響で正確に判断しにくい」といった限界があります。そのため、異常を指摘されたときには、より詳しく調べるために胸部CT検査を行うことが一般的です。

CTは体を薄くスライスして画像化するため、数ミリ単位の小さな病変も見つけることができます。私の臨床経験においても、レントゲンでははっきりしなかった影が、CTで早期の肺がんと分かったケースが何度もあります。逆に「怪しい影だと思ったけれど、CTをとったら実は何も問題がなかった」というケースもあり、その際には安心につながるかと思います。

当院の検査体制について

元八事ファミリー内科クリニックでは、地域の基幹病院である名古屋記念病院新生会第一病院と連携しており、スムーズに胸部CT検査を依頼できる体制を整えています。健診で異常を指摘されてから自分で病院を探すのは大変ですが、当院に受診いただければ、これらの医療機関への検査予約をスムーズに取らせていただき、サポートさせてもらいます。

よくある患者さんの不安と質問

「がんだったらどうしよう…」

確かに肺がんが隠れていることもありますが、健診で見つかる多くの影は良性のものが多く、検診異常→癌、というわけではありません。大切なのは「放置せずに詳しい検査(胸部CT)で確認すること」です。早期発見できれば治療の選択肢も広がります。

「症状がないのに受診する意味はあるの?」

健診の役割は「症状が出る前に異常を見つけること」です。症状がなくても影が見つかった時点で確認しておくことが、安心につながります。

「CT検査って被ばくが心配…」

確かに放射線を使いますが、現代のCTは被ばく量をできるだけ抑える工夫がされています。必要なときに一度受ける程度では、健康への大きな影響はありません。

放置しないことが大切

健診で「要精密検査」と言われても、仕事が忙しかったり、症状がなかったりして受診を後回しにしてしまう方が少なくありません。しかし、実際に私が診てきた患者さんの中には、「2年前から影があったけれど放置してしまい、進行がんになって見つかった」というケースもありました。逆に、すぐにCTを受けて早期がんを見つけられ、手術で完治できた方もいらっしゃいます。

胸部レントゲンの異常は「怖い病気の可能性もあるけれど、そうでないことも多い」。だからこそ、正しく検査を受けて確認することが一番大切なんです。

まとめ

健診で胸部レントゲンに異常を指摘されたとき、多くの方が不安になります。しかし、レントゲンだけでは分からないことも多いため、必要に応じて胸部CTなどの精密検査を受けることが安心につながります。

元八事ファミリー内科クリニックでは、呼吸器専門医の立場から幅広く診察を行い、地域の基幹病院と連携してスムーズにCT検査を受けられる体制を整えています。もし健診で異常を指摘されたら、「不安を抱えたままにしない」ことが大切なんです。