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呼気NO検査とは?喘息や長引く咳の診断に役立つ理由

喘息・長引く咳

「咳がなかなか治らない」「喘息かどうか調べたい」─そんな時に活躍するのが呼気NO検査です。 この検査は、吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定し、気道のアレルギー性炎症の有無を調べる方法です。 採血やレントゲンのような身体的負担がなく、わずか1分程度で結果が分かります。元八事ファミリー内科クリニックでは、この呼気NO検査を取り入れますので、この医療機器の紹介をしていきたいと思います。

呼気NO測定

呼気NO検査でわかること

1. アレルギー性炎症の有無

NOは、好酸球と呼ばれる炎症細胞が活性化すると増加する傾向があります。 このため、呼気NO値が高い場合、気道にアレルギー性の炎症が存在していることを反映していることになります。

2. 喘息や咳喘息の可能性

症状が軽くても、呼気NO値が高ければ、喘息や咳喘息の可能性を疑うことがあります。 特に、胸のゼーゼー音や夜間の咳があって呼気NO値が高い場合には喘息の可能性が高くなります。

3. 治療の効果判定

吸入ステロイド薬で炎症が抑えられると、呼気NO値は徐々に低下していくことが多いです。このため、治療が適切かどうかを客観的に評価することができます。

4. 将来のリスク評価

慢性的な気道炎症が長期間続くと、肺機能低下のリスクが高まってしまいます。 なので、定期的に呼気NO測定をすることで、将来の健康維持に役立てることができます。

呼気NO値の目安

  • 37ppb以上:喘息の可能性が高いと考えられます。
  • 数値が高いほど好酸球性炎症が強い傾向があると判断されます。
  • 正常値でも喘息を完全に否定できるわけではありません。呼気NO値が上昇しないタイプの喘息も存在するからです。
  • 治療で炎症が抑えられれば、数値は徐々に低下していきます。

呼気NO値は炎症の強さを示す一つの指標です。診断の際には、症状や他の検査結果もあわせて総合的に判断します。

こんな方におすすめの検査

  • 咳が2週間以上続いている
  • 呼吸時にゼーゼー・ヒューヒューする音がある
  • 喘息かどうかをはっきりさせたい
  • 薬の効果を確認したい
  • アレルギー性鼻炎やアトピーなどの体質がある

検査方法と流れ

  1. 息を吐ききる
  2. 息を吸って、装置に向かって約10秒間一定の速さで吐く
  3. 数秒で結果が表示

検査時間はおよそ1分。痛みはなく、予約なしでも当日検査を受けることができます。

検査費用と保険適用

  • 健康保険適用あり(3割負担でおよそ900円程度です)
  • 再診料などは別途必要となります
  • 自費の場合:3,000〜5,000円程度

院長の過去に執筆した論文
-慢性咳に対しての呼気検査の有用性-

名古屋市立大学大学病院在籍中の2017年に、「Diagnostic utility of fractional exhaled nitric oxide in prolonged and chronic cough according to atopic status」(Allergol Int. 66(2):344-350)という論文を執筆しました。この論文は、 長引く咳や慢性咳嗽の患者に対し、呼気NO測定が診断の有用な手段となること、そして特にアトピー体質のある人では、呼気NO値が高いほど喘息や咳喘息が存在する可能性が高い、という内容です。大学病院時代に行った臨床研究の結果を、今後のクリニックの診療にも生かしていきたいと思います。

まとめ

呼気NO検査は、喘息や咳喘息の早期発見に有効なだけでなく、治療効果の判定や将来のリスク予測にも役立つ検査です。 長引く咳や原因不明の呼吸症状がある場合、「様子を見る」だけではなく、客観的な数値をもって、気道のアレルギー炎症の有無を確認することが大切になってきます。 気になる症状がある方は、ぜひ元八事ファミリー内科クリニックに相談してみてください。

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