睡眠障害と生活習慣病との関連性
睡眠障害とは?単なる「寝不足」ではありません
こんにちは。名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。日々診察していると、「最近よく眠れない」「途中で何度も目が覚める」といった相談を受けることは、とても多いです。多くの方が、睡眠障害を「少し眠れないだけ」と思っていることが多いかと思いますが、睡眠障害は体のあらゆる機能に影響を及ぼす重大なサインだったりもします。睡眠は、脳や体を休めるだけでなく、ホルモンバランスや自律神経の調整にも深く関わっています。なので、睡眠が乱れると、血糖値や血圧、脂質代謝(脂肪の分解やエネルギー消費)にまで影響し、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしやすくなることもあるんです。そこで今回のブログでは、睡眠障害と生活習慣病との関連性について、取り上げてみたいと思います。
なぜ睡眠不足が生活習慣病につながるのか
① ホルモンバランスの乱れ
睡眠が足りないと、「レプチン(満腹ホルモン)」が減り、「グレリン(食欲促進ホルモン)」が増えることが知られています。 その結果、夜中に甘いものや脂っこいものが食べたくなることが多くなり、体重が増えていくという悪循環に陥ってしまうことがあるんです。 実際、診察の中でも「夜にどうしてもお菓子を食べてしまう」という方は、睡眠の質が落ちているケースが多いです。
② 自律神経の乱れ
夜ふかしや寝不足が続くと、交感神経(緊張モード)が優位になり、常に体が“戦闘状態”になります。 この状態では血圧が上がりやすく、動脈硬化も進行しやすくなります。なので、特に高血圧や動悸、不整脈などが気になる方は、睡眠の質を見直すことも、とても大切です。
③ インスリン抵抗性の悪化
睡眠不足が続くと、血糖を下げるホルモン「インスリン」の効きが悪くなり、血糖値が高い状態が続きやすくなります。 これが糖尿病の発症リスクを高める大きな要因の一つなんです。 夜勤の多い方や不規則な生活をしている方に、血糖値の上昇がみられるのはこのためです。
睡眠障害の原因は一人ひとり違います
睡眠障害と一口に言っても、原因はさまざまです。
よくあるのは次のようなケースです。
・ストレスや心配ごとによる不眠
仕事のプレッシャーや人間関係など、精神的なストレスが続くと、 脳が常に緊張している状態になり、寝つきが悪くなったり途中で目が覚めたりします。
・睡眠時無呼吸症候群(いびき・無呼吸)
特に中高年の男性に多く見られますが、女性でも閉経後に増加します。 寝ている間に呼吸が止まることで、酸素が不足し、心臓や血管に大きな負担がかかってしまいます。 「昼間の強い眠気」「集中力の低下」「頭が重い」などの症状がある方は要注意だと思います。
・薬やカフェイン、スマホの影響
就寝前のカフェイン摂取やスマートフォンのブルーライトは、 眠気を誘うホルモン「メラトニン」の分泌を妨げます。 また、市販薬の中にも眠りに影響を与えるものがあります。
放置すると怖い、睡眠障害と生活習慣病の悪循環
睡眠障害を放置すると、生活習慣病が悪化し、その生活習慣病がさらに睡眠の質を下げるという「負のスパイラル」に陥ってしまいます。例えば、高血圧の方では夜間の血圧が下がりにくくなり、心臓への負担が増えてしまうんです。糖尿病では、夜間の血糖コントロールが乱れやすくなります。
当院で行う睡眠障害の検査と対応
名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックでは、睡眠障害を疑う方に対して、睡眠時無呼吸症候群の検査などを行っていきます。
・問診と生活リズムの確認
まずは生活習慣を詳しくお伺いし、どの時間帯に眠れないのか、 どんなストレスや不安があるのかを一緒に整理します。 これが改善の第一歩になったりもします。
・睡眠時無呼吸の簡易検査
ご自宅でできる専用機器を使い、呼吸の状態を測定します。 いびきや無呼吸が確認された場合は、 睡眠中に気道を広げる「CPAP療法(シーパップ)」という治療を検討することもあります。
・生活指導と内科的サポート
カフェインやアルコールの摂取、スマホ使用時間の調整、入浴のタイミングなどを見直すと、睡眠障害が改善することも多いです。
質の高い睡眠が「健康長寿」への近道
睡眠は「ただの休息」ではなく、「体の修復時間」なので、しっかり眠ることで、脳も心も体も整い、病気を防ぐ力が高まることが期待できます。「寝る時間がもったいない」と感じている方ほど、ぜひ一度、ご自身の睡眠を見直してみてください。
最後に~眠りの悩みはお気軽にご相談ください~
睡眠障害は自分では気づきにくいですが、体の不調(疲れが取れない・血圧が高い・集中力が落ちた)という形で現れることが多いです。睡眠障害で悩んでいるという方は、ぜひ一度、元八事ファミリー内科クリニックにご相談ください。患者さん一人ひとりの生活に寄り添い、安心して眠れる毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきたいと思います。
