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白衣高血圧とは?

一般内科

白衣高血圧とは?

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。よく「家では血圧が正常なのに、病院に来ると高く出るんです」という方がいます。これは決して珍しいことではありません。いわゆる「白衣高血圧」と呼ばれるものなんです。

白衣高血圧とは、病院やクリニックで測定すると血圧が高く出るのに、自宅で落ち着いて測ったときは正常値に収まっている状態を指します。主に、医師や看護師と対面する緊張感によって血圧が一時的に上がってしまうため、このような現象が起こるんです。

なぜ白衣高血圧が起こるのか?

原因は「緊張」や「不安」によるものが多いです。特に初めての診察や、「血圧を測られる」と意識した瞬間に心拍数が上がり、それに伴って血圧も上昇します。普段は穏やかでも、白衣を着た医療者の前では無意識に体が反応してしまう、ということなんです。

私の経験上、特に几帳面な方や「高血圧になったらどうしよう」と強く意識している方に多く見られる傾向があるかと思います。逆に、家庭でリラックスして測ると正常値になることがほとんどです。

白衣高血圧は放っておいても大丈夫?

「家では正常だから安心ですよね?」と聞かれることがよくあります。確かに、一時的な上昇なので「すぐに薬を飲まなければならない」という状況ではありません。ただし注意点があります。

実は、白衣高血圧の方は、将来的に本当の高血圧(持続的に血圧が高い状態)へ移行するリスクが高いことが知られています。つまり今は大丈夫でも、数年後には血圧の薬が必要になるケースも少なくない、ということなんです。そのため「経過をしっかり観察すること」がとても大事なんです。

家庭血圧測定の重要性

白衣高血圧を見分けるには「家庭での血圧測定」が不可欠です。最近は自宅用の血圧計も精度が高く、簡単に測れるものが増えています。おすすめは、朝起きてすぐと、夜寝る前に1回ずつ測ることです。

測るときは背筋を伸ばして椅子に座り、腕を心臓の高さに合わせることがポイントです。急いで測ると正しい数値が出にくいので、1〜2分ほど落ち着いてから測るといいと思います。

白衣高血圧と似ている「仮面高血圧」

実は、白衣高血圧と逆の「仮面高血圧」という状態もあります。これは、病院で測ると正常なのに、自宅や仕事中に血圧が高くなるタイプです。ストレスや生活習慣が関わっており、気づかれにくいため注意が必要です。

この2つを区別するためにも、やはり家庭血圧の記録が欠かせません。

臨床でよくある白衣高血圧のパターン

パターン① 病院だけで上がるタイプ

普段は120台なのに、受診すると150以上に跳ね上がる方。毎回「病院に来ると上がるんです」と苦笑されることが多いです。この場合、家庭での記録を優先して経過観察していきます。

パターン② 高血圧との境界にいるタイプ

家では135〜140mmHg前後、病院だと160を超えることもある方。こうした場合、生活習慣を整えることに加え、将来的に薬の導入を検討することもあります。

パターン③ 他の病気を合併している方

糖尿病や腎臓病を持っている方では、白衣高血圧でも慎重な管理が必要です。放置すると動脈硬化が進みやすいため、定期的なフォローをおすすめしています。

白衣高血圧の方への生活アドバイス

  • 塩分を控えめにする(1日6g未満を目標に)
  • 適度な運動を習慣にする(ウォーキングなど)
  • 睡眠をしっかりとる
  • お酒はほどほどに、タバコは控える

薬をすぐに飲む必要性は必ずしもないかもしれませんが、「将来の高血圧に対しての予防のチャンス」と考えて、白衣高血圧を指摘されたそのタイミングから生活習慣を整えることが、とても大切なんです。

 

まとめ:白衣高血圧は放置せず、正しく見極めましょう

白衣高血圧は一見無害に思えるかもしれませんが、将来の高血圧や心臓病のリスクにつながる可能性があります。大切なのは「家庭での血圧測定」と「定期的なフォローアップ」です。もし「病院に来ると血圧が高く出る」と感じている方は、それが白衣高血圧かどうかを一度しっかり確認することが大切になります。