大人になってから急に発症する「成人発症喘息」って?
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの院長の浅野です。当院は呼吸器内科ということもあり、咳や喘鳴症状などで受診されて、初めて喘息という診断をつけることも多いです。
その際に、「子どもの頃は喘息なんて全くなかったのに、この年になって喘息になることありますか?」という相談をよく受けます。 実は、喘息は子どもの病気というイメージがありますが、大人になってから突然発症することも珍しくないんです。
そこで今回のブログでは、大人(成人)になって初めて発症する喘息について、分かりやすくお話ししていきたいと思います。
成人発症喘息とは?
成人発症喘息とは、中学生〜高校生の頃まで喘息の経験がなかった人が、大人になってから新たに喘息を発症する状態を指します。 子どもに多いイメージとは裏腹に、最近は30代〜50代で発症する方が増えていて、外来でも日常的に診る疾患の一つです。
特に、
- 仕事のストレス
- 花粉やハウスダストなどアレルギーの増加
- タバコの煙
- 冷暖房による空気の乾燥
- 風邪(ウイルス感染)
などがきっかけになり、気道が炎症を起こしてしまうことがあります。
大人の喘息と子どもの喘息はどこが違う?
大人の喘息には、次のような特徴があります。
治りにくくて長引きやすい
子どもの喘息は成長とともに改善することがありますが、大人の喘息は慢性化しやすく、放置すると悪化することが多いです。
咳だけが続くタイプも多い
「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という典型的な音が聞こえない、咳だけが続く“咳喘息”のタイプも成人に多いのが特徴です。 風邪のあとに咳が長引くときは要注意なんです。
女性に多い
ホルモンバランスの変化(特に更年期)やストレスにより、発症や悪化を招くケースがよく見られます。
成人発症喘息の代表的な症状
実際に患者さんが話される言葉にすると、こんな症状が目立ちます。
- 「夜になると咳が止まらない」
- 「胸の奥がギューっとする感じがある」
- 「風邪のあとだけど、咳だけがずっと続く」
- 「階段を上がると息がしんどい」
- 「突然息が吸いにくくなる」
喘息の本体は『気道の慢性的な炎症』です。 この炎症が長く続くと、気道が狭くなり、ちょっとした刺激(気温の変化、におい、運動など)で症状が出るようになります。
放置するとどうなる?
大人だからといって自然に治ることはほとんどなく、治療しないまま数ヶ月〜数年と経つと、気道が固くなり元に戻りにくくなることがあります。これを、気道リモデリング、と読んだりしています。
さらに、
- 夜間や早朝の発作
- 救急受診が必要な強い発作
- 感染症との合併で急激に悪化
などを引き起こすこともあります。
「咳ぐらいで受診していいのかな…」と思われる方もいますが、長引く咳は体のSOSだったりもします。なので、気になる症状がありましたら、早めに受診していただくことをお勧めします。
どうやって診断するの?
元八事ファミリー内科クリニックでは、以下のような検査を組み合わせて診断します。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
息を勢いよく吐き出し、肺の働きを調べる検査です。喘息による気道の狭さが分かります。
胸部レントゲン
肺炎・肺気腫など、他の病気との区別に役立ちます。
アレルギー検査
ハウスダスト・花粉・動物・カビなど、原因となるアレルギーの有無も調べられます。
呼気一酸化窒素検査
気道の炎症がどれくらい強いかを調べる検査で、喘息の診断に非常に有用です。
これらを総合して、患者さん一人ひとりに合った診断を行っていきます。
治療の基本は
「炎症を抑えること」
大人の喘息治療の中心となるのは、吸入ステロイド薬です。 ステロイドと聞くと「強い薬?」と心配される方もいますが、吸入タイプは全身にはほとんど影響せず、炎症をピンポイントで抑えてくれる治療なんです。
日常生活で気をつけたいポイント
大人の喘息は、生活環境に大きく影響されます。 次のような対策で、発症や悪化を防ぎやすくなります。
- 部屋のホコリ・ダニを掃除などで除去する
- エアコンのフィルター掃除をする
- 冬場の加湿をしっかりと徹底する
- 花粉シーズンのマスク着用
- 禁煙(受動喫煙も避ける)
- 風邪をひいたら早めの治療する
- ストレスを溜めすぎない
「少し気をつけるだけ」で発作の頻度が大きく変わる方も多いです。
「もしかして成人発症喘息?」と思ったら
早めに相談を
大人の喘息は、最初のうちは“風邪が長引いているだけ”と気づかれないことがよくあります。 しかし、早期に治療を始めることで、症状はしっかりコントロールでき、日常生活も快適に戻すことができるかと思います。
元八事ファミリー内科クリニックでは長引く咳や喘息の治療を積極的に行っています。
気になる症状がある方は、ぜひご気軽に受診していただければと思います。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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