花粉症に効果的な食べ物はある?
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
春になると、くしゃみが止まらない。
鼻水が続く。目もかゆい。
「またこの季節か…」と、花粉症症状を半ばあきらめ気味になっていませんか?
花粉症は、ただの季節の不調ではありません。
体の中では、アレルギー反応(免疫が花粉に対して過敏に反応する状態)が起きています。つまり、体が本気で“敵”と戦っている状態なんです。
診察室で、ときどきこんな質問をいただきます。
「先生、花粉症に効く食べ物ってありますか?」
薬以外で何かできることはないか。
できれば自然な方法で少しでも楽になりたい。
そう思うのは、とても自然なことですよね。
そこで今回は、花粉症と食べ物の関係について、医学的な根拠も踏まえながら、わかりやすくお伝えしていきたいと思います。
「食事でどこまで変わるのか?」その現実的なラインも含めて、正直にお伝えします。
花粉症の症状と原因
花粉が体に入ると、免疫がそれを「敵」と認識します。するとヒスタミンという物質が放出され、鼻水やくしゃみ、目のかゆみが起こります。
つまり花粉症の本質は、炎症(体の中で起きる過剰反応)なんです。
だからこそ、炎症をやわらげる生活習慣や食事が土台になってくるんです。
花粉症に効果が期待される食べ物
① ヨーグルト(乳酸菌)
腸は「免疫の司令塔」ともいわれる臓器です。体の免疫細胞の約7割が腸管に存在するとされ、腸内環境が乱れると、アレルギー反応も過敏になりやすいことが知られています。
実際に、プロバイオティクス(善玉菌)と花粉症の関連を検討した研究も報告されています。たとえば、
Xiao JZ et al. “Probiotics in the treatment of Japanese cedar pollinosis: a double-blind placebo-controlled trial.” Clinical & Experimental Allergy. 2006;36(11):1425–1435.
このランダム化比較試験では、特定のビフィズス菌を摂取した群で、スギ花粉症の症状スコアの改善が認められました。
また、
Yonekura S et al.“Effects of daily intake of Lactobacillus paracasei strain KW3110 on Japanese cedar pollinosis.”
Allergy Asthma Proc. 2009;30(4):397–405.
こちらの論文では、乳酸菌の継続摂取により鼻症状の軽減が報告されています。
ここで大切なのは、「数日食べて変わる」という話ではないということです。研究でも、花粉飛散前からの継続摂取が前提になっています。
目安は少なくとも8週間。腸内環境は一朝一夕では変わりません。ゆっくり整えていく意識が必要なんです。
② 青魚(EPA・DHA)
サバやイワシなどの青魚に豊富に含まれる EPA(エイコサペンタエン酸) や DHA(ドコサヘキサエン酸) は、体の中の炎症を抑える作用があることがわかっています。
実際にアレルギー症状に対するオメガ-3脂肪酸の効果を検討した臨床研究として、
Calder PC. “n-3 polyunsaturated fatty acids, inflammation, and inflammatory diseases.” American Journal of Clinical Nutrition. 2006;83(6 Suppl):1505S-1519S.
こちらの総説論文では、オメガ-3脂肪酸が炎症性メディエーター(炎症を引き起こす物質)を抑制し、アレルギーや気道炎症に対しても有益である可能性が示されています。
これらは “花粉症そのものを治す” 話ではありませんが、炎症のベースを落ち着かせる重要な栄養素だと言えます。考えられているんです。
なので、野菜中心の食事に加えて、サバ・イワシ・サンマなどの青魚を 週に2〜3回程度 取り入れてみてもらうことをお勧めしたいと思います。
③ 緑茶(カテキン)
緑茶に含まれるメチル化カテキンには、ヒスタミン放出を抑える作用があると報告されています。
緑茶の中でも「べにふうき」という品種には、アレルギー反応をやわらげるとされるメチル化カテキンという成分が多く含まれています。
実際に、
Masuda S et al. “Benifuuki green tea containing o-methylated catechin reduces symptoms of Japanese cedar pollinosis: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial.” Allergology International. 2014;63(2):211–217.
という臨床試験では、べにふうき緑茶を飲んだグループで、くしゃみや鼻水などの症状が有意に軽くなったと報告されています。
つまり、一定の科学的根拠はあります。
ただし、緑茶だけで花粉症が治るわけではありません。
あくまで“少し楽になる可能性がある補助的な方法”。
薬や環境対策と組み合わせながら、無理のない範囲で取り入れるのが現実的だと思います。
花粉症の治療
食べ物だけで花粉症が治ることはありません。
- 抗アレルギー薬
- 点鼻薬
- 点眼薬
- 舌下免疫療法(体質改善を目指す治療)
これらが治療の柱です。
元八事ファミリー内科クリニックでは、症状の強さや生活スタイルに合わせて治療を提案していきたいと思います。
悪化させやすい食習慣
① 加工食品の摂りすぎ
スナック菓子や菓子パン、揚げ物などに多く含まれるトランス脂肪酸や質の悪い油は、体の中の炎症を助長することが知られています。
花粉症は「炎症の病気」。
もともと炎症が起きやすい状態にあるところへ、さらに炎症を強める食事が重なると、症状が悪化しやすくなります。
忙しい時ほど加工食品に頼りがちですが、花粉シーズンは特に意識して控えめにしたいところです。
② 甘いものの過剰摂取
ケーキや清涼飲料水などの糖分を多く含む食品は、血糖値を急激に上昇させます。
この「血糖値の急上昇と急降下」は体にとってストレスとなり、炎症反応を強める要因になりえるんです。
甘いものを完全にやめる必要はありませんが、「毎日たっぷり」食べるのは要注意だと思います。
③ アルコール
アルコールは血管を拡張させるため、鼻づまりを悪化させやすい性質があります。
さらに、アルコールの代謝が優先されることで、体内のヒスタミン分解が追いつかなくなることがあります。
ヒスタミンはくしゃみ・鼻水・かゆみの原因物質。
花粉が多い日は、飲酒量を控えるだけでも症状が軽く感じられることがあります。
最後に
花粉症に「これを食べればすぐ治る」という特効食品はありません。
ただし、体の炎症を抑えたり、腸内環境を整えたりといった体質を整える食事には、一定の医学的根拠があることも分かってきています。毎日の積み重ねが、症状の出方に少しずつ影響していく可能性はあります。
とはいえ、食事療法だけで花粉症を完全にコントロールするのは難しいのが現実です。
症状が強く、日常生活に支障が出ている場合は、無理をせず医療機関での治療を検討してください。
名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックでは、花粉症をはじめとしたアレルギー疾患のご相談をお受けしています。
つらい症状を我慢せず、早めに対策を一緒に考えていきましょう。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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