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ブログ

冷たい空気と呼吸器疾患の関係〜喘息・慢性咳嗽・COPDへの影響〜

喘息・長引く咳

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。朝起きるととても冷え込む、寒い時期になってきました。
寒い時期になると、咳が増えたり、喘息の方の症状が悪化してくることも多いですが、そもそも冷たい空気というのは、呼吸器疾患に悪影響を与えるのでしょうか?そこで今回のブログでは、冷たい空気が呼吸器疾患に与える影響について、取り上げてみたいと思います。

冷たい空気が呼吸器に与える影響

冬になると、「外に出ると咳が出る」「息を吸うと胸が苦しくなる」という方が増えます。実はこれ、冷たい空気が気道(空気の通り道)を刺激することが大きく関係しているんです。 冷気を吸い込むと、気道の粘膜が急に冷やされ、血管が収縮します。その結果、気道が一時的に狭くなったり、炎症が起きやすくなったりします。特に気道が敏感な方や、もともと喘息などで慢性的な炎症を抱えている方にとっては、冷気は「強い刺激」となって症状を悪化させる原因になるんです。

喘息と冷たい空気

喘息の患者さんにとって、冷たい空気は発作のきっかけになりやすい要因のひとつです。冬の朝晩など、気温が低く乾燥しているときに咳やヒューヒューする音(喘鳴)が強くなる方も多いです。 これは、冷たい空気を吸い込むことで気道が収縮し、炎症が強まるためです。特に運動後や外出時に急に冷気を吸うと、気道が「びっくりして」狭くなり、息苦しさを感じることがあります。 臨床現場でも、冬に「吸入薬をサボっていたら咳が止まらなくなった」「夜中の冷え込みで発作が出た」という患者さんをよく拝見します。 喘息は症状が落ち着ているときにも定期的なコントロールが大切な病気です。当院では、呼吸器専門医として、一人ひとりの症状や生活環境に合わせた治療(吸入ステロイドや抗アレルギー薬など)を提案しています。冷たい空気に負けないよう、冬前からのコントロールを整えていくことが大切なんです。

慢性咳嗽(まんせいがいそう)と冷気の関係

「風邪が治ったのに咳だけが続く」「寒い空気にあたると咳が止まらない」——そんな訴えの方が冬に多くなります。これが慢性咳嗽(8週間以上続く咳)です。 冷たい空気は、気道の神経を刺激しやすく、咳反射を過敏にしてしまいます。特に咳喘息やアトピー咳嗽といったアレルギー性の咳では、冷気が症状を悪化させやすいです。 「マスクをすると咳が減る」とおっしゃる患者さんも多く、これはまさに冷気を遮断することで気道の刺激を防いでいるためです。 慢性咳嗽の場合は、単なる風邪と違って気道の炎症が続いていることが多いので、吸入治療や抗アレルギー薬などの専門的な治療が必要なケースもあります。気になる咳が長引くときは、我慢せずに一度ご相談ください。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)と冷たい空気

喫煙歴のある方に多いCOPD(シー・オー・ピー・ディー:慢性閉塞性肺疾患)は、冷たい空気で特に注意が必要な病気です。 COPDの方は、すでに気道が狭く炎症が慢性的に起きているため、冷気によってさらに気道が収縮し、息切れや痰の増加、咳の悪化が起こりやすいんです。 また、冷えによって免疫力が下がり、気道感染(気管支炎や肺炎)を起こしやすくなる点も見逃せません。冬場は「ちょっとした風邪」から急に息苦しさが増し、入院になるケースもあります。 私たち元八事ファミリー内科クリニックでは、COPDの方には吸入薬の継続はもちろん、ワクチン接種(インフルエンザ・肺炎球菌)も強くおすすめしています。冷たい空気にさらされないよう、外出時のマスクやネックウォーマーの使用も効果的です。

冷たい空気と感染症の関係

冬はインフルエンザや新型コロナウイルス、RSウイルス、マイコプラズマなどの感染症が流行する季節です。 冷たい空気は乾燥しているため、鼻や喉の粘膜が乾きやすくなります。粘膜が乾燥すると、ウイルスを外に追い出す働きが弱まり、感染しやすくなるんです。 また、寒さで体温が下がると免疫の働きが鈍くなり、ウイルスに負けやすくなります。 感染予防のためには、室内の加湿、外出時のマスク、そして十分な睡眠と栄養が大切です。加えて、COPDや喘息の方はワクチン接種を受けておくことで、重症化を防ぐことができます。

冷たい空気から呼吸器を守るためにできること

①外出時はマスクやマフラーで口元を守る

冷気を直接吸い込まないようにするだけで、咳や発作の予防につながります。マスクで呼気の湿度と温度を保つことが重要です。

②部屋の加湿・保温を意識する

加湿器を使い、湿度40〜60%を保つのが理想です。乾燥した空気はウイルスの繁殖にもつながるため、呼吸器の健康を守る上でも大切です。

③吸入薬を継続する

喘息やCOPDの方は、症状が落ち着いていても吸入薬を続けることが大切です。冬場の中断は悪化のもとです。

 

まとめ〜冬の呼吸器ケアを大切に〜

冷たい空気は、喘息や慢性咳嗽、COPDといった呼吸器疾患を悪化させる大きな要因のひとつです。冷気による刺激や乾燥、感染症の流行など、呼吸器にとって厳しい季節だからこそ、日常のケアが欠かせません。「冬になると咳が止まらない」「外に出ると息が苦しい」などの症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)