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喘息って遺伝するの?

喘息・長引く咳



喘息は遺伝するの?
〜親として気になる「子どもの可能性」〜

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
小さいお子さんをお持ちの方や、家族に喘息の方がいる場合、「うちの子も喘息になるのでは…?」と不安になること、少なくないと思うんです。
結論から言うと、「喘息は遺伝の影響が大きい人もいるけれど、“必ず遺伝する”わけではない」というのが現時点での答えになります。

つまり、両親や兄弟に喘息があっても「必ず子どもも喘息になる」という保証はありませんし、逆に家族に喘息がいなくても発症する可能性はあります。では、どんな人が「遺伝で喘息になりやすい体質」を受け継ぎやすいのでしょうか。
今回のブログでは、そのようなテーマについて、深堀りしていきたいと思います。

なぜ「遺伝するかもしれない」と言われるのか
~喘息の背景~

喘息は「多因子疾患(たくさんの要因が絡む病気)」

まず押さえておきたいのは、気管支喘息(以下「喘息」)は、ひとつの遺伝子異常だけで起こる「単一遺伝子疾患」ではないということ。喘息の場合、複数の遺伝子(あるいは遺伝子の組み合わせ)に加えて、生活環境やアレルゲンの暴露、ウイルス感染、汚染された空気、受動喫煙、ダニやカビなどの室内環境、さらには子どもの時期や肥満などといった環境因子が重なって発症の「スイッチ」が入ることが多いんです。

だから、「親が喘息だった=子どももなる」という単純な式にはならないんです。
なので、「遺伝する可能性があるけど、100%ではない」とお伝えした、最大の理由なんです。

遺伝子研究でわかってきた“喘息になりやすさ”のしくみ

近年の遺伝子研究(いわゆる「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」など)で、喘息の発症や重症化、免疫反応、治療への反応性に関係する「一塩基多型(SNP)」という遺伝子のバリエーションが多数見つかっています。

とある研究の解析によると、喘息の発症に対する遺伝的寄与率(つまり「どれくらい遺伝が影響するかの割合」)は、おおまかに 50〜60% と推定されています。
このことは、「遺伝する素地が半分くらい影響する」— だからこそ「家系に喘息が多い」場合、子どもも注意を払ったほうがいい、という医師の助言につながっているんです。

ただしここで注意してほしいのは、「遺伝的素地を持つ人が確実に喘息になるわけではない」という点です。あくまで「発症しやすい素地(しやすさの傾向)」があるだけなんです。

家族に喘息があるとどのくらいリスクが高まるのか?

実際に、どのくらいリスクが上がるかは、調査や研究によって条件が異なりますが、一般的に次のように言われています:

  • 両親のどちらかが喘息を持つ場合、子どもの喘息発症率は 約 3〜5 倍 高くなるという報告があります。
  • ただし、「3〜5倍に上がる」と言っても、もともとの発症割合が非常に低ければ、実際に喘息になる人の割合はそこまで高くない可能性があります。
  • また、同じ家で育っていたとしても、一方が喘息になり、もう一方はならない — という例は多くあります。これも「遺伝だけでは決まらない」、つまり環境やライフスタイルの影響が大きいためと考えられています。

つまり、「家族に喘息があるから絶対なる」「家族にいないから安心」ではなく、「遺伝的な素地がある ⇒ 発症しやすさが高い可能性がある」という理解が正しいんです。

では、どうすれば“遺伝のリスク”を下げられるか?
→ 日常生活でできること

たとえ喘息になりやすい体質を受け継いでいたとしても、発症や重症化を防ぐために取り組めることはたくさんあります。

アレルゲンや刺激を避ける工夫を

  • 室内のダニ、ホコリ、カビを減らすために、定期的な掃除や換気を心がける
  • 布団やカーペット、カーテンなど、ホコリのたまりやすいものは洗濯や乾燥を頻繁に行う
  • ペットを飼っている場合は、換気や室内の清掃、可能であれば寝室を別にするなどの配慮をする

喫煙、受動喫煙に気をつける

ご自身が喫煙者であったり、家族に喫煙者がいる場合、たばこの煙(受動喫煙)は気道を刺激し、喘息の発症や悪化の大きな原因になります。

空気の質、大気汚染、季節・気候変化への配慮

特に都市部や交通量の多い地域では、排気ガスや大気汚染、微粒子(PM2.5など)が喘息の悪化因子になることがあります。また、季節の変わり目、気温や湿度の変化、花粉などもアレルギー性の刺激になるため、マスクや空気清浄機を活用するなどの対策も有効だと思います。

呼吸器の管理と早期受診

もし「ぜいぜい・息苦しさ・咳が長く続く」など気になる症状がある場合は、早めに受診することが大切です。家族に喘息歴がある場合は、そのことを伝えていただくことで診断や管理がスムーズになったりします。

 

まとめ

「親が喘息だから子どもも…」という思いで心配になるのは当然だと思います。だけど、遺伝は“なりやすさの素地”であって、結果は変えられるんです。実際、環境整備や早期の医療介入で、発症や重症化を抑えている人はたくさんいらっしゃいます。

特に、幼少期からの生活環境の見直し(アレルゲン対策・喫煙対策・清潔な室内・空気の質)と、もし症状があれば早めに受診すること — これが「遺伝のリスクを低く保つカギ」だったりするんです。

当院では、喘息診療を積極的に行っています。気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談くだあい。

参考文献

  • Genetics of asthma: an introduction for the clinician. Eur Clin Respir J. 2015 Jan 16:2.

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    記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)

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