卵は1日1個まで?――ずっと信じられてきた食の常識について
卵は1日1個まで?――ずっと信じられてきた食の常識
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
「卵ってやっぱり1日1個までですよね?」
外来でコレステロールが高い方に対しての食事指導をする際、とてもよく聞かれる質問です。
朝は目玉焼き、昼は親子丼、夜は卵焼き。
気づいたら「今日は卵を食べすぎたかも…」と不安になる。そんな経験、ありませんか。
結論から言うと、卵は必ず1日1個までと決める必要はありません。
ただし、「何個でも気にしなくていい」という話でもない。ここが一番大切なポイントです。
今回のブログでは、コレステロールが気になる方に向けて、卵との上手な付き合い方についての記事を書いてみたいと思います。
「卵は1日1個まで」と言われてきた理由
この話の背景にあるのが、コレステロールです。
卵1個には、およそ200〜250mgのコレステロールが含まれています。
昔はコレステロールに「上限」があった
2010年版までの「日本人の食事摂取基準」では、コレステロール摂取量に明確な上限が定められていました。
- 成人男性:1日750mg
- 成人女性:1日600mg
この数字を基準に考えると、卵は1日1個程度が目安になります。
つまり、卵が悪者だったわけではなく、「数値上のルール」があった、ということなんです。
なぜ今は「1日1個まで」と言われなくなったのか
2015年版以降の食事摂取基準では、コレステロール摂取量の上限そのものが撤廃されました。
明確な「危険ライン」が見つからなかった
医学的に上限を設定するには、「ここを超えると明らかに病気のリスクが上がる」という境界が必要です。
ところが、コレステロール摂取量と心筋梗塞や脳卒中の関係を調べた研究では、はっきりとした閾値(これ以上は危険、という線)が確認できませんでした。
そのため、国として「一律の上限を決める根拠がない」と判断されたわけです。
日本人はそもそも摂りすぎていなかった
国民健康・栄養調査を見ると、日本人の平均的なコレステロール摂取量は、
- 成人男性:約315mg
- 成人女性:約278mg
以前の上限と比べると、かなり余裕があります。
数字だけ見ても、「日本人は摂りすぎ」という状況では、実はないんです。
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じゃあ卵は何個食べてもいい?
ここで多いのが、「上限がないなら無制限でOKですよね?」という誤解です。
上限がない=食べ放題、ではない
食事摂取基準には、こんな注意が書かれています。
「上限が設定されていないことは、どれだけ摂っても安全という意味ではない」
コレステロールは体に必要な成分ですが、摂りすぎれば脂質異常症(血液中の脂が多い状態)につながることも、もちろんあります。
現実的な目安は「1日1〜2個」
食事全体を見ながら、1日1〜2個くらいが無難だと思いますが、そこまで神経質になる必要はありません。
毎日必ず2個食べる必要もありません。
逆に、たまに2個食べたからといって、過剰に心配する必要もないと思います。
知らないうちに卵を食べすぎてしまう場面
注意したいのは、「卵そのもの」より「料理の形」です。
料理にすると個数感覚が鈍る
オムレツ、だし巻き卵、親子丼、オムライス。
これらは1皿で卵2〜3個使われることも珍しくありません。
「卵をたくさん食べたつもりはない」
でも実際は、しっかり摂っている。そんなケース、よくあります。
卵以外にもコレステロールは含まれる
ラード、マーガリン、レバー、たらこ、いくら、ウニ。
卵だけを気にしていても、他の食品で摂っていることもあります。
だからこそ、「卵だけ減らせばいい」という発想になりすぎないことが大切です。
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卵は避ける食品ではなく、上手に使う食品
卵は、良質なたんぱく質、ビタミンB群、ビタミンDなどを含む、とても優秀な食材です。
コレステロールだけに注目して極端に卵を避けてしまうと、かえって栄養バランスが崩れることもあります。
名古屋市天白区にあります元八事ファミリー内科クリニックでは、高コレステロール血症などの脂質異常症、高血圧、糖尿病といった生活習慣病について、力を入れて診療にあたっています。
これらの疾患の心配がある方、健診で異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、ぜひ一度当院までご相談いただければと思います。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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