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健診で行う聴力検査について

一般内科

健診で行う聴力検査について

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
春の気配を感じるようになり、当院でも健康診断を受けに来られる方が少しずつ増えてきました。健診項目の中に「聴力検査」が含まれていることは多いと思いますが、「この検査で何が分かるのか」は意外と知られていません。そこで今回のブログでは、健診で行う聴力検査がどんなことを確認しているのかを、できるだけ分かりやすくまとめてみたいと思います。

健診の聴力検査では、何を調べているのか

「聞こえる・聞こえない」だけを見ているわけではありません

健診で行う聴力検査は、
単に「音が聞こえるかどうか」を調べているわけではないんです。

ポイントは、
どの高さ(周波数)の音が、どのくらいの大きさで聞こえるか
ここを見ています。

その中で、多くの健診で使われているのが
1000Hz(ヘルツ)と4000Hz という2つの音です。

周波数(Hz)って何?という話

音の「高さ」を表す単位です

周波数(Hz)は、音の高さを表します。

  • 低い音 → 周波数が低い

  • 高い音 → 周波数が高い

人が日常生活で使っている音、特に会話の音は、
だいたい 500〜4000Hz に集中しています。

つまり、健診で測っている1000Hzと4000Hzは、
私たちの生活に直結した音域なんです。

1000Hzが教えてくれること

「会話の聞こえ」の中心です

1000Hzは、人の会話のど真ん中にあたる音域です。

ここが聞こえにくくなると、

  • 会話を聞き返すことが増える

  • テレビの音量が自然と大きくなる

  • 電話の声が聞き取りにくい

こんな変化が起こりやすくなります。

ご本人は
「まあ、年相応かな」
と感じていても、生活の質には意外と影響していることが多いんです。

4000Hzがとても重要な理由

「気づきにくい聴力低下」が出やすい音域です

4000Hzは、いわゆる高い音の聞こえを評価する周波数です。

この音域は、

  • サ行・タ行などの子音

  • 電子音

  • 周囲の細かな環境音

を聞き取るために重要です。

そして実は、
加齢性難聴や騒音性難聴(大きな音による難聴)の初期変化が、最も出やすいのが4000Hzなんです。

「会話は聞こえるのに、聞き返しが増えた」
その理由

これは外来で本当によく聞く言葉です。

4000Hzが低下すると、

  • 静かな場所では問題ない

  • 雑音があると一気に聞き取りづらい

  • 相手の声が「こもって」聞こえる

こんな状態になります。

 

 

健診で「4000Hzのみ異常」と書かれている方は、まさにこの段階のことが多いんです。

聴力低下は
年齢だけの問題ではありません

全身の病気と、実は深く関係しています

聴力の低下は、もちろん耳の病気のことが多いのですが、

実は内科の疾患と関係が少しあることも分かっています。

 

 

糖尿病との関係

糖尿病では、

  • 細い血管(細小血管)が傷みやすい

  • 神経の働きが低下しやすい

この影響で、内耳の血流や神経が障害され、難聴が進みやすいことが知られています。

「年齢のわりに聴力が落ちている」
そんなとき、背景に糖尿病が隠れていることもあるんです。

高血圧・動脈硬化との関係

高血圧や動脈硬化も、
内耳の血流を悪くし、聴力低下の原因になることがあります。

聴力低下と認知症は「関係がある」

近年の研究で、**難聴(聞こえにくさ)は、認知症の“修正可能なリスク因子”**のひとつとされています。
つまり、年齢や遺伝と違って、早めに気づいて対処できる可能性がある要因なんです。

実際に、

  • 聴力が低下している人ほど

  • 認知症の発症リスクが高い

ということが、国内外の大規模研究で示されていたりするんです。

  • Livingston G, et al.
    Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission.
    The Lancet. 2020;396(10248):413–446.

  • Wei J, et al.
    Hearing Loss and the Risk of Dementia: A Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies.
    Frontiers in Aging Neuroscience. 2021;13:695117.

聴力低下は「生活の質」だけでなく
将来にも影響します

近年の研究では、聴力低下は

  • 認知機能低下

  • 社会的孤立

  • 転倒リスクの増加

とも関連することが分かってきています。

  •  

  • Loughrey DG, et al.
    Association of Age-Related Hearing Loss With Cognitive Function, Cognitive Impairment, and Dementia: A Systematic Review and Meta-analysis.
    JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery. 2018 Feb 1;144(2):115-126.

「耳くらい大丈夫」
そう思って放置してしまうと、
思わぬところで影響が出てくる可能性があるんです。

健診結果で気になることがあれば
ご相談ください

名古屋市天白区にある元八事ファミリー内科クリニックでは、各種健康診断を積極的に行うとともに、健診結果を受け取った後のフォローにも力を入れています。
名古屋市天白区はもちろん、瑞穂区・昭和区・緑区・名東区、日進市などで健康診断をご希望の方、また「この結果、どう受け止めたらいいのかな?」と少しでも気になる点がある方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

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記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)

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