高熱で脳に影響が出ることはある?
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
冬になり、風邪やインフルエンザがすごく増えてきました。それに伴い、高熱を出すお子さんも多く受診されるようになったのですが、そこで
「高熱が続くと脳にダメージが出るのでは?」という質問をいただくことがありました。
お子さんの発熱では、親御さんが心配されて急いで受診されることもあります。
結論から言えば 風邪などの感染症による“発熱”だけで脳に影響が出ることは、ほとんどありませんが、不安になるのも無理ないことかと思います。
そこで今回のブログでは、高熱で脳に影響が出ることはあるのか?という内容について、書いてみたいと思います。
結論:風邪による発熱自体では
脳障害はまず起こらない
発熱は、体が病原体と戦うための「正常な防御反応」なんです。
よく外来で「40℃近い熱が出たら脳がやられませんか?」と聞かれますが、感染症でみられる発熱の仕組みでは、脳にダメージを与えるほど体温が上がらないように体が自動的に調整しています。
反対に、危険なのは「高体温(こうたいおん)」と呼ばれるタイプの熱です。
こちらは後ほど詳しく説明します。
なぜ感染症で熱が出るのか?
体温は脳がコントロールしている
体温を調節しているのは「視床下部(ししょうかぶ)」という脳の部分です。
風邪やインフルエンザなどのウイルスが体に入ると、体内では炎症が起こり、サイトカイン(体を守るために働く物質) という物質が作られます。このサイトカインが視床下部に働きかけ、「体温を上げてウイルスと戦おう」という指令を出すことになるんです。
熱が上がるのは“免疫のスイッチが入っている証拠”
熱が上がると、
免疫細胞が活性化する
ウイルスや細菌が増えにくくなる
といったメリットがあります。
つまり、発熱そのものは悪者ではなく、体が頑張っているサインなんです。
発熱と高体温はまったく別物です
臨床でよく誤解を生むポイントがここです。
発熱(感染症による熱)
体内の反応で体温が上がる
脳が上限をコントロールしている
42℃以上になることは極めてまれ
高体温(外の暑さによる体温上昇)
熱中症など外環境の影響
体温調節の仕組みが壊れてしまう
体温が42℃以上に上がることがあれば危険
ここで患者さんに最も伝えたいのはここです。
脳に障害を起こすのは“高体温”であって、“発熱”ではない、ということです。
高体温はなぜ危険なのか?
高体温では、体の調節機能が追いつかず、体温がどんどん上昇します。
特に熱中症では、汗をかく仕組みが破綻し、体温が急激に上がることがあり、意識障害・けいれん・多臓器障害 を起こすことがあるんです。
風邪で高熱が出たときに
本当に気をつけるべきポイント
患者さんは“熱そのもの”を心配されることが多いのですが、大切なのは 体の全体状態 です。
特に次のような場合は、熱の高さよりも重症サインとして私は注意するようにしています。
① 水分が取れていない
高熱で汗が出て脱水になると、頭痛・だるさ・めまいが強くなります。
口が渇いている、尿が少ないなどは要注意な兆候といえます。
② 呼吸が苦しそう
ゼーゼー
息が荒い
胸が苦しい
こうしたサインは、熱の高さに関係なく重視する必要があります。
③ ぐったりしている・反応が鈍い
これはウイルス性脳症や脱水など、別の要因が隠れている可能性があります。
④ 食事が取れない・眠れない
体力が落ちて回復しにくくなります。
「熱が下がらないよりも、食事や睡眠がとれているか」が大切です。
受診したほうが良い目安
外来では次のような場合は受診をおすすめしています。
38.5℃以上の発熱が連日続く
息苦しさ、咳が強い
水分がとれず尿が少ない
ぐったりしている
頭痛や嘔吐を伴う
特にお子さんは脱水が早く進むため、早めにご相談いただいたほうが無難です。
市販薬で様子を見るか
病院に行くべきか迷ったら
多くの患者さんから「どこまで自宅で様子を見ればいいのか?」と聞かれます。
結論は、迷った時点で受診して大丈夫です。
軽いうちに診た方が回復も早く、安心していただけることが多いです。
まとめ:風邪の高熱で脳はやられない。
気にすべきなのは「熱の高さ」ではなく
「全身の状態」です
発熱は体の正常な反応であり、感染症で体温が急激に危険域まで上がることはほとんどありません。
大切なのは、
水分が取れているか
呼吸が苦しくないか
意識がしっかりしているか
こうした“体のサイン”をきちんと見ることなんです。
「熱が続いて心配」「これって受診したほうがいい?」など、どんな小さなことでも構いませんので、疑問に思うことがあれば、ぜひ当院にまでご相談いたければと思います。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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