感染症の予防に最適な湿度は?

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
冬になると室内が乾燥して体調を崩す人が多くなってきます。また、冬に流行する風邪、インフルエンザ、新型コロナ、RSウイルス…、これらの感染症は、乾燥していると罹りやすいということもわかっています。
ところで、湿度というのは、どのくらいに保つのが一番いいのでしょうか?
そこで今回のブログでは、冬に流行る感染症の予防のために、どのくらいの湿度に保つのがいいのか、ということについて、書いてみたいと思います。
理想の湿度は「40〜60%」です
最初に結論をお伝えします。
感染症予防と体(特に喉)への負担、そのバランスがいちばん良いのが相対湿度40〜60%なんです。
これは、国内外の研究や、厚生労働省、専門学会の考え方を総合しても、ほぼ共通しています。
実際、インフルエンザウイルスは、湿度が40%を下回ると活性化しやすく、空気中を長く漂いやすくなることが分かっています。
逆に、湿度が40%を超えてくると、ウイルスの感染力は一気に下がっていきます。
「家にいると、朝起きた時に喉がヒリヒリするんです」
こういう方の多くは、湿度が30%台、時には20%台まで下がっていることが少なくありません。
湿度が低すぎると、なぜ感染症にかかりやすいのか
① のど・鼻の“バリア機能”が弱くなる
私たちの鼻やのどは、ただの空気の通り道ではありません。
表面は粘膜で覆われ、ウイルスや細菌を捕まえて外に出す「防御壁」の役割をしています。
ところが、空気が乾燥すると、この粘膜がカサカサに乾いてしまいます。
すると、ウイルスが体の中に入り込みやすくなるんです。
② 咳・痰が増え、症状が長引きやすい
湿度が低い環境では、痰(たん)が粘っこくなります。
すると咳で外に出しにくくなり、「咳だけがいつまでも残る」という状態になりやすいんです。
当院でも、「風邪は治ったはずなのに、咳だけが3週間以上続く」という方は、冬場に特に多くなります。
逆に、湿度が高すぎても問題があります
「じゃあ、加湿すればするほどいいんですね?」という風に思う方もいるかもしれません。
しかしこれは、実はよくある誤解なんです。
湿度が60%を超えてくると、今度は別の問題が出てきてしまうです。
① カビ・ダニが増えやすくなる
湿度が高すぎる環境では、カビやダニが繁殖しやすくなります。
これらは、喘息やアレルギー性鼻炎を悪化させる原因になってしまいます。
「加湿を頑張りすぎて、かえって咳や息苦しさが悪化した」
というケースも、決して珍しくはないんです。
② 「加湿器肺」という病気
少し専門的な話になりますが、「加湿器肺」という病気があります。
これは、加湿器のタンク内で増えたカビや細菌を、霧と一緒に吸い込むことで起こる肺の病気の一つです。
症状は、発熱、咳、息切れなど。
一見すると、風邪や肺炎と区別がつきにくいんです。
加湿器は「種類」より「使い方」が大切です
よく、「どの加湿器が一番安全ですか?」と聞かれます。
もちろん、方式による特徴はありますが、いちばん大事なのは手入れなんです。
よく見る危険な使い方
- 水を何日も替えていない
- タンクの底がぬるぬるしている
- 掃除はシーズンに1回だけ
これは、正直に言うとかなり危険です。
研究では、加湿器の水は、交換後4〜5日で細菌が急激に増えることが分かっています。
安全に使うためのポイント
- 水はできれば毎日交換
- 最低でも4日に1回は必ず交換
- 週1回は中性洗剤でしっかり洗う
- 水道水を使用する(ミネラルウォーターはNG)
「ちょっと面倒だな」と思うかもしれませんが、ここを手抜きしないことが、感染症予防につながります。
不安なときは、早めにご相談ください
湿度管理は、風邪やインフルエンザを防ぐために、とても大切な要素の一つです。
それでも、
「咳が長引く」
「熱はないのに体調が戻らない」
「加湿しているのに、息苦しい」
そんな時は、無理に様子を見すぎないで、ぜひ一度当院にご相談いただければと思います。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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