レントゲンを撮って被ばくは大丈夫?
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。普段診療していると、「この前もレントゲン撮ったばかりなんですが、また撮っても大丈夫でしょうか?」といったご相談を時々いただくことがあります。確かに、レントゲンに伴う放射線の被ばくについては、気になるところですよね!
そこで今回のブログでは、胸部レントゲンの被ばくについてのお話をしていきたいと思います。
胸部レントゲンの被ばく量ってどれくらい?
まず結論から。胸部レントゲン1回の被ばく量は約0.05 mSv(ミリシーベルト)です。わかりやすく言うと、航空機で東京からハワイへ行くときに浴びる自然放射線とだいたい同じくらいの量なんです。
国際的な基準と医療被ばくの扱い
WHOやICRP(国際放射線防護委員会)は、診断のための放射線は「必要であれば使用して問題ない」という立場をとっています。年間で明らかな健康被害が報告されるのは100 mSvを超えるような高線量からで、胸部レントゲン1回はその数百分の1です。
具体的な目安(参考)
- 自然被ばく(年間):約2.4 mSv
- 胸部レントゲン(1回):約0.05 mSv
- 飛行機移動(東京〜ハワイ・往路1回):約0.05 mSv
- 長期的なリスクが議論されるレベル:100 mSv以上
つまり、1回のレントゲンでの被ばく量は、1回ハワイまで往復するために飛行機移動した場合と同じ程度。
→現実的には1回の胸部レントゲンで健康に悪影響が出ることはまずありえないと考えていただいていいんです。
妊婦さんへの対応 — 医学的安全性と気持ちへの配慮
妊娠中の方からは特に不安の声が大きいです。医学的には胸部レントゲンで胎児に影響が出ることは非常にまれですが、妊娠中の方には極力レントゲンは取らないようにする配慮は取っています。
当院での妊婦さんへの配慮
- 検査前に十分に説明し、ご本人の不安を確認します。
- 腹部保護(防護エプロン)を確実に実施します。
- 妊娠初期(特に10週未満)は慎重に判断しますが、肺炎や重篤な感染症が疑われる場合は撮影を勧めることもゼロではありません。
胎児への明らかなリスクが心配されるのは100 mSvを超えるような場合で、通常の胸部X線検査はその遥かに下です。ただし「不安」を無視することはできません。なので、検査の必要性と不安のバランスを一緒に考えながら、判断していきます。
咳が続くとき、なぜレントゲンが必要なのか?
咳で来られる方の中には、風邪かなと思っていたら実は別の病気が見つかるケースが少なくありません。なので、咳が続く方に関しては、まずレントゲン検査をお願いすることにしています。
レントゲンで見つかる代表的な病気
- 肺炎(細菌性、ウイルス性)
- 肺がん(早期には症状が乏しいことがあります)
- 心不全による肺うっ血(咳や息切れの原因になります)
- 結核や間質性肺炎
- 気胸や胸膜の問題
レントゲンで「怪しい影」を認めれば、CT検査を追加してより詳しく調べていくこともあります。その際には、名古屋記念病院、新生会第一病院、リハビリテーション病院など、提携医療機関にCTの依頼をさせていただきます。
同じ人が短期間で
何度もレントゲンを撮るのはなぜ?
よくある疑問です。病気には変化のスピードがあります。
- 肺炎や気胸、出血などは日〜週単位で変化します。数日で影が消えたり、逆に濃くなることもあります。
- 肺がんや結核のような疾患は月単位で変化することがあり、定期的なチェックが必要なこともあります。
- 慢性の疾患(非結核性抗酸菌症など)は年単位での経過観察が多いです。
ですから、昨日撮って異常がなかったとしても、今日の状態は別のことがあります。治療の効果判定や悪化の早期発見のため、短期間で撮り直す必要があるのです。とはいえ、不要な繰り返しは避けるように心がけていますので、安心していただければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q:レントゲンを毎月撮らないといけないですか?
A:いいえ。病気の種類によります。肺炎のときは数日〜1週間ごとに経過を追うことがありますが、通常のチェックで毎月ということはほとんどありません。
Q:子ども・高齢者でもレントゲンは安全ですか?
A:はい。ただし子どもは放射線感受性が高いので、必要な場合に限定して撮影します。高齢者では、診断のために撮影したほうが治療に直結することが多いので、安全に配慮して行います。
Q:胸部レントゲンで見つからない病気もありますか?
A:あります。非常に小さな病変や初期の一部の肺がんは見えにくいことがあります。その場合はCT検査や血液検査、聴診など他の検査も組み合わせて評価します。
最後に:私たちが大切にしていること
診療のモットーは、患者さん一人ひとりが安心して検査・治療を受けられることです。当院では、必要な検査を的確に選び、無駄な被ばくを避けながら診療を進めていきたいと思っています。
「またレントゲンを撮るの?」と不安になる気持ちはよくわかります。気になることがあれば、遠慮なくお声かけくださいね。
受診を迷っている方へ
咳が1〜2週間続く、息苦しさや胸の痛みがある、または以前と違う呼吸のしにくさを感じるときは早めに相談してください。ぜひお気軽にお問い合わせください。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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