吸入ステロイド薬の副作用について〜正しく知って安心して使うために〜
吸入ステロイドってどんな薬?
こんにちは。名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックの院長です。
今日は「吸入ステロイド薬の副作用」について、患者さんからよくあるご質問にお答えしたいと思います。
「ステロイド」と聞くと、体に悪い薬なんじゃないかと不安に思う方も多いかと思います。
確かに、ステロイドの飲み薬や注射薬には、全身に作用するタイプがあり、長期使用で副作用が出ることもあります。
でも、吸入ステロイド薬(ICS:Inhaled Corticosteroid)はまったく性質が違います。
吸入ステロイドは、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった「気道の炎症」を抑えるためのお薬で、
肺や気管支の炎症部分にだけ直接働くように作られています。
そのため、全身への影響は非常に少なく、局所的に効果を発揮するのが大きな特徴なんです。
よくある副作用① 声のかすれ(嗄声)
臨床で最もよく見られる副作用が、「声がかすれる」という症状です。
吸入ステロイドの微粒子が声帯に付着して、軽い炎症や刺激を起こすことで声がれが生じるんですね。
この声のかすれに対しては、まずはしっかりとうがいをするようにしてみてください。
吸入のあとに「ぶくぶくうがい」と「がらがらうがい」を両方行うようにしてください。
のどの奥に届くように意識するのがポイントです。
また、声がれが続く方には、
・吸入の前に少し水を飲む
・吸入後にガムを噛んだり、軽く何か食べて喉を潤す
といった方法もおすすめしています。
それでも声がれが取れない場合には、吸入デバイス自体を変更することも、検討していきます。
よくある副作用② 口の中のカビ(口腔カンジダ症)
もう一つよくあるのが、口腔カンジダ症と呼ばれる、白いカビのようなものが口の中にできる副作用です。
これは、薬の一部が口腔内に残ることで、口の中の環境が変わり、カビが増えやすくなることが原因です。
ただし、こちらもしっかりとしたうがいと歯みがきで防ぐことができる場合が多いです。
吸入後に口の中を軽く歯ブラシで磨き、舌やほほの内側、唇の裏などもきれいにしてあげましょう。
それでも違和感がある場合は、遠慮なく当院までご相談いただければと思います。
副作用を減らす工夫(スペーサーの活用)
吸入ステロイドをより安全に使うためには、「スペーサー(補助器具)」の使用も有効です。
これは吸入薬の噴霧を一度チャンバー内に溜めてから吸う器具で、薬が喉に直接当たるのを防ぎ、肺に届きやすくしてくれるんです。
特にご高齢の方や、お子さん、吸入が苦手な方におすすめしています。
長期使用でのリスクは?
吸入ステロイドは長期で使用する薬です。
副作用が全くないわけではありませんが、発作を防ぐ効果の方が圧倒的に大きいということをまず理解しておきましょう。
肺炎のリスク
いくつかの研究で、高齢の方や免疫力が落ちている方では、吸入ステロイドを使っている人に肺炎がやや多い傾向があると報告されています。
ただし、飲み薬や点滴のステロイドとは違い、吸入で用いるステロイド薬は、ステロイドの量がごくごく少量です。なので、そこまで大きなリスクにはなっていないものと考えています。
吸入ステロイドを中断してはいけない理由
副作用が気になって「一度やめてみようかな」と思う方もいらっしゃいますが、これは症状の再燃につながることも多いので注意が必要です。
吸入ステロイドは、気道の炎症を抑える「土台となる薬」です。急にやめてしまうと、炎症が再び強くなり、咳やゼーゼー、夜間の発作が悪化することがあります。
とくに秋冬や季節の変わり目は、気温や湿度の変化で症状が悪化しやすい時期です。なので、「副作用かも?」と思ったら自己判断で中止せず、必ず一度当院にまで相談するようにしてみてください。症状に応じて吸入薬の種類や量を調整することで、安全に続けることができるかと思います。
まとめ:怖がらず、正しく使って呼吸を守りましょう
吸入ステロイド薬は、喘息やCOPDの治療に欠かせないお薬です。副作用はゼロではありませんが、ほとんどはうがい・歯みがき・スペーサーなどの工夫で予防できます。
そして何より、吸入ステロイドを続けることで、「息苦しさが軽くなる」「夜ぐっすり眠れる」「発作で入院しなくて済む」など、
生活の質(QOL)が大きく改善することが期待できます。
元八事ファミリー内科クリニックでは、患者さんが安心して吸入治療を続けられるよう、丁寧にサポートしていきます。
気になる症状や不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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