大掃除のあと、咳が止まらない…

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
年末や季節の変わり目になると、「大掃除をしたあとから咳が止まらなくなってしまって…」という方が多くなります。
単なる一時的な咳で済むこともありますが、中には喘息や咳喘息が隠れているケースも少なくありません。そこで今回は、掃除と喘息との関係性について、書いてみたいと思います。
ほこりを吸い込むと
体の中では何が起きている?
掃除中に舞い上がるほこりは、まず鼻や喉でキャッチされます。多くの場合はここでブロックされるので、大きな問題にはなりません。ただし、細かいほこりが声門を越えて、気管や気管支といった下気道まで入り込むと、体は反射的に強く咳をして外に出そうとする反射で咳が出てしまうんです。
「線毛」という天然のホウキ
気道の内側には「線毛(せんもう)」という細かい毛がびっしり生えています。これがベルトコンベアのように動いて、ほこりや異物を上へ上へと運び、最終的に痰として外に出してくれるんです。
それでも咳が止まらないとき
何が起きている?
問題は、「掃除が終わってから数日〜数週間たっても、咳だけが続く」ケースです。この場合、私がまず疑うのは気道が過敏な状態になっている可能性なんです。
ほこりの正体は「アレルゲンのかたまり」
長年たまったほこりの中には、
・ハウスダスト
・ダニの死骸やフン
・真菌(しんきん:カビ)
などが大量に含まれています。
これらは代表的なアレルゲンで、吸い込むことで喘息や咳喘息を一気に悪化させてしまうことがあるです。
実は怖い、カビによる特殊な肺の病気
頻度は高くありませんが、臨床では以下のようなケースもあります。
- 過敏性肺炎(かびを繰り返し吸い込むことで起こる肺の炎症)
- アレルギー性気管支肺真菌症
「掃除をしてから、咳だけでなく息切れもする」「微熱が続く」といった場合は、自己判断せず早めに受診していただければと思います。
洗剤・消毒剤による咳も!
もう一つ、非常によくあるのが洗剤や消毒剤のガスによる刺激です。
「混ぜるな危険」は本当に危険です
診察室で実際にあった例ですが、
「トイレ掃除でカビ取り剤とトイレ洗剤を使った」
「排水口掃除で、塩素系クリーナーのあとにクエン酸を使った」
というケース。
塩素系洗剤と酸性洗剤が混ざると、塩素ガスが発生します。これを吸い込むと、健康な方でも強い咳が出ますし、喘息のある方では長引くことが多いです。
換気不足が症状を悪化させる
特にトイレや浴室は気密性が高く、ガスがこもりやすい場所です。なので、掃除の際には、換気扇を回すなどして、換気をしっかりしてもらうことが大切になってきます。
大掃除で咳を悪化させないための
現実的な対策
「一気にやらない」「普段から掃除する」ことも大事
アレルゲンは「量」が重要です。年に1回まとめて掃除するより、普段からこまめに掃除をすることが理想です。特に寝室は、できれば毎日軽く掃除するのがおすすめです。
マスクと換気は必須です
掃除中は、できれば不織布マスクを着用してください。そして必ず換気。寒くても、換気はしっかりと行ってください。
「様子見」でいい咳と、受診してほしい咳の違い
2〜3日で自然に軽くなっていく咳であれば、経過を見ることもあります。ただし、
・1週間以上続く
・夜や明け方にひどくなる
・運動や会話で咳が出る
・以前から喘息を指摘されたことがある
・喘鳴を伴う咳(ゼイゼイ、ヒューヒュー)
こうした場合には、一度きちんと評価を受けてもらったほうがいいと思います。
まとめ
大掃除はとても大切ですが、掃除が引き金となって一時的に大きな負担になることもあります。
咳が長引くときは、どうぞお気軽に、元八事ファミリー内科クリニックへご相談ください。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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