喉に痰が流れる感じ、喉のイガイガ…それ、実は「後鼻漏」かもしれません
こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
「ずっと喉に何か張り付いている感じがする」「咳払いばかりしてしまう」「鼻水は出ないのに、喉に痰が降りてくる感じが気になる」
このような症状は、特に冬の季節には多くなります。
実はこの症状の正体は「後鼻漏(こうびろう)」であることが非常に多いんです。
後鼻漏という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、決して珍しいものではありません。むしろ、慢性的な喉の違和感や“痰がからむ感じ”の原因として、とてもよくみられるものです。
そこで今回のブログでは、「後鼻漏」という症状について、書いてみたいと思います。
後鼻漏とは?
鼻水が前ではなく「後ろ」に流れ込む状態
鼻水というと、普通は鼻の穴の方に出てくるものをイメージしますよね。でも、鼻の奥は喉とつながっており、鼻水が後ろ側に流れ込むことがあります。
これが後鼻漏の正体です。

鼻水自体は身体の防御反応であり、決して悪者ではありません。ただ、量が増えたり粘り気が強くなると、喉の方に落ちてきて“張り付くような感覚”を起こしやすくなるんです。
患者さんはよく「痰がずっと絡んで取れない」と表現しますが、実際には“鼻水が喉へ回り込んでいる”ことも多いんです。
なぜ後鼻漏が起こるのか?
よくある原因について
① アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)
季節の変わり目や花粉の時期だけ症状が悪化する方に多いです。アレルギー反応で鼻粘膜が腫れたり、過敏になって鼻水が増えます。 鼻が詰まって“前に出られない”鼻水が後ろへと流れ込むため、後鼻漏につながるんです。
② 副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)
透明な鼻水よりも、粘り気のある黄色や緑っぽい鼻水が喉に落ちていく感じがある方は、副鼻腔炎を疑います。 日常診療でも、咳や喉の違和感で来院された方が、実は軽い副鼻腔炎だったというケースはとても多いんです。
③ 鼻の乾燥・気温差・冷たい空気
寒い季節、エアコンの効いた部屋、乾燥した寝室などでは、鼻の粘膜が敏感になり鼻水が増えます。 「朝だけ喉がイガイガする」「寝起きに痰が気になる」という方は、このパターンが少なくありません。
④ 喉や気管支の慢性炎症
喉や気管支の炎症が続くと、身体が痰を作って守ろうとします。 この“自前の痰”に後鼻漏が重なると、違和感がさらに強くなります。
後鼻漏のよくある症状
「これ全部、実はつながっています」
・喉に痰が張り付く
・イガイガ感が続く
・咳払いが止まらない
・声が出しにくい
・鼻水は出ていないのに喉に流れる感じ
・寝起きに痰が増える
患者さんは症状をバラバラに感じているのですが、診察をしてみると実はすべて“鼻→喉→気管支”の一本の道でつながっているんです。
なので、これらの症状は、一連の病態として説明できることも多いんです。
どうやって診断するの?
「症状の聞き取り」がとても大切
後鼻漏は、症状の聞き取り(問診)がとても重要です。
私は診療の際、患者さんに詳しく状況をお伺いします。
・いつから始まったのか
・季節で悪化しないか
・透明なのか粘っているのか
・朝と夜で違いがあるか
・咳や鼻詰まりはどうか
後鼻漏の治療は原因ごとに変わります
アレルギー性鼻炎が原因の場合
抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を使うと、多くの方が数日〜数週間で改善します。 花粉症の方は症状の季節に合わせて早めに治療を始めるのがポイントです。
副鼻腔炎の場合
抗菌薬(細菌を抑える薬)を使ったり、粘り気を減らす薬を併用したりします。 軽い副鼻腔炎は1〜2週間で良くなることが多いですが、慢性化すると長引いてしまうので、早めの受診が大切になります。
鼻や喉の乾燥が原因の場合
部屋の加湿、寝る前の鼻うがい、生理食塩水のスプレーなどがよく効きます。 ぜひ一度試してみてもらうといいかと思います。
気管支や喉の炎症が強い場合
咳止め、去痰薬(痰を出しやすくする薬)、のどの炎症を抑える薬、気管支拡張薬などを組み合わせて治療していきます。
受診のタイミングの目安
・2週間以上、喉の違和感が続く
・痰が取れない感じが慢性的に続いている
・咳が1〜2週間以上続く
・朝起きると喉が毎日つらい
・市販薬を使っても良くならない
これらに当てはまる方は、ぜひ早めに相談してみてください。
さいごに
喉に痰が落ちてくる感じ、イガイガが続く不快感は、日常生活の質を大きく下げてしまいます。
でも、後鼻漏のメカニズムを理解し、原因に合わせた治療を行うことで、症状が改善されることも多いです。
気になる症状があるときには、ぜひお気軽にご相談ください。
記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)
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