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健診で「境界型糖尿病」と言われたら?

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健診で「境界型糖尿病」と言われたら?

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。

この時期になると、健診を受けられる方が少しずつ増えてきます。
毎年きちんと健診を受けることはとても大切ですが、結果表を手にしたとき、不安になった経験はありませんか。

健診項目の中でも、特に気になるのが「糖尿病」ではないでしょうか。

「糖尿病ではないけれど、境界型と言われました」
「HbA1cが少し高めですね、と指摘されて…」

症状がないからこそ、どう受け止めればいいのか迷ってしまいますよね。
すぐに治療が必要なのか、このまま様子を見ていいのか。判断が難しいところです。

そこで今回のブログでは、健診で“糖尿病の境界領域”と指摘された場合に知っておいていただきたいポイントについて、書いてみたいと思います。

境界型糖尿病とは?正常と糖尿病の間にある状態

境界型糖尿病は「糖尿病予備群」とも呼ばれます。
正常でもなく、糖尿病でもない。その中間の状態です。

  • 空腹時血糖値:110〜125mg/dL
  • HbA1c:5.6〜6.4%

HbA1cとは、過去1〜2か月の血糖の平均を示す指標です。
つまり「最近ずっと少し高めですよ」というサインなんです。

ただし血糖値は、食事・睡眠・ストレスの影響を受けます。
1回の数値だけで判断せず、経過と体全体の状態をみることが大切なんです。

 

境界型糖尿病の原因――なぜ血糖が上がるのか

① インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)

内臓脂肪が増えると、血糖を下げるホルモン「インスリン」が効きにくくなります。
これをインスリン抵抗性と呼びます。

② インスリン分泌の低下

日本人はもともとインスリンを出す力が強くありません。
そのため、体重が少し増えただけでも血糖が上がりやすい特徴があります。

「それほど太っていないから大丈夫」
そう単純ではないんです。

なぜ問題なのか――動脈硬化はすでに始まっている

境界型糖尿病の段階でも、血管へのダメージは始まっています。

海外の大規模研究(DECODE study など)では、糖尿病と診断される前から心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇していることが示されています。

DECODE Study Group. Glucose tolerance and mortality: comparison of WHO and ADA diagnostic criteria. Lancet. 1999;354:617–621.


また、早期介入が大切であるということも、明確に示されています。

Long-term effects of lifestyle intervention or metformin on diabetes development and microvascular complications over 15-year follow-up: the Diabetes Prevention Program Outcomes Study.
Lancet Diabetes & Endocrinol. 2015 Nov;3(11):866–875.

つまり、糖尿病になってから対策では遅いことがある。
ここが大事なポイントなんだと思います

放置するとどうなる?

境界型糖尿病といわれた方の中には、毎年一定の割合で本格的な糖尿病へ進行していくことが分かっています。

そして、もう一つ大切なのが、「血糖がやや高い状態がどれくらいの期間続いたか」です。
この“期間”が、将来の合併症リスクに大きく関わります。

たとえば――

・心筋梗塞
・脳卒中
・腎障害
・網膜症(目の合併症)

これらは、ある日突然ゼロから発症するわけではありません。
血管への小さな負担が積み重なり、静かに、ゆっくりと進んでいきます。

だからこそ、まだ「境界型」の段階で向き合うことが大切なんです。
今のうちに対策をとるかどうかで、10年後、20年後の体の状態は変わってくることもあるんです。

 
 

境界型糖尿病の治療と改善方法

体重を3〜5%減らす

70kgの方なら2〜3kg。
それだけでもインスリンの効きが改善することが期待できます。

食事の見直し

  • 炭水化物のとりすぎを控える
  • 野菜から先に食べる
  • 夜遅い食事を減らす

週150分の有酸素運動

速歩きを30分、週に5日。
これが国際的なガイドラインでも示されている一つの目安です。

いきなり完璧を目指す必要はありません。
通勤で一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う――そんな小さな積み重ねで十分です。

大切なのは、「たまに頑張る」ことではなく、「続けられる形で習慣にする」ことなんだと思います。

受診の目安

  • HbA1cが6.0%以上
  • 空腹時血糖が110mg/dL以上
  • 家族に糖尿病がいる
  • 高血圧や脂質異常症がある

一つでも当てはまる場合、一度きちんと評価を受けることをおすすめします。

 

最後に

境界型糖尿病は、ただちに薬物治療が必要な段階ではありません。
しかし同時に、「様子を見るだけでよい」という状態でもありません。

健診で血糖値やHbA1cの上昇を指摘された方、
将来の糖尿病や合併症について不安を感じている方は、

名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックまでどうぞお気軽にご相談ください。

記事監修:元八事ファミリー内科クリニック 院長 浅野貴光(呼吸器専門医、医学博士)

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