鼻水・鼻づまりを放っておくと、喘息にも悪いの?
こんにちは、名古屋市天白区の元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
喘息の領域において、“One airway, One disease”という言葉があります。これは、鼻の炎症と気管支や肺の炎症が、お互いに影響しうるということを端的に表した言葉です。実際に、喘息患者の多くは鼻炎を合併しており、相互に影響をしうることがわかっています。わたくしも、大学病院勤務時代の研究テーマの一つが、この“One airway, One disease”というテーマでした。
そこで今回は、「鼻水・鼻づまり(上気道の症状)を放置すると、なぜ“下気道”にあたる喘息(ぜんそく)に影響するのか」という内容について、わかりやすく説明していきたいと思います。
鼻水・鼻づまり=「上気道」のトラブルだけ?
「鼻水」や「鼻づまり」は、いわゆる上気道(鼻・副鼻腔・咽頭など)に起きる症状です。
アレルギー性鼻炎(花粉症・ダニ・ハウスダストなど)や風邪の初期段階、副鼻腔炎(蓄膿症)などが代表的です。
「鼻の症状だから下気道(気管・気管支・肺)とは関係ない」と思われがちですが、実はそうでもありません。
臨床では「鼻の症状を放置した結果、咳や息苦しさが出てきた」という方も少なくないのです。
上気道と下気道は“つながっている”んです
「鼻炎+喘息=ワン・エアウェイ(一つの気道)」という考え方
鼻や副鼻腔、気管・気管支・肺は、構造的には別々でも、実は一続きの「気道」としてつながっています。
医学的にはone airway, one disease)という概念が最近になり注目されており、鼻の炎症が気管支や肺に影響することがわかってきています。
実際の研究では、アレルギー性鼻炎を持つ人は喘息を発症するリスクが高く、逆に喘息の方の多くに鼻炎症状があることが多いというデータもあります。つまり、鼻水・鼻づまりを「ただの鼻症状」と軽く見てしまうと、下気道(喘息)に悪影響が出ることがあるんです。
臨床でよく見る“典型的なパターン”
私が外来でよく見るのは、こんなケースです。
- アレルギー性鼻炎を放置していたら、冬になると「咳が出る」「息苦しい」と来院され、実は軽い喘息もあったケース。
- 鼻づまりで口呼吸になり、夜間いびきや喉の違和感が増していたケース。
- 風邪だと思って鼻水・鼻づまりを放置していたら、夜にゼーゼー・ヒューヒュー音(喘鳴)が出てきたケース。
いずれも「鼻の症状」が引き金になって、気道が過敏になっている例なんです。
なぜ鼻の症状が喘息を悪化させるのか?
鼻呼吸ができないと、気道が刺激されやすくなる
本来、鼻は空気を温め・加湿し・ホコリを取り除く「フィルター」の役割をしています。
ところが鼻づまりで口呼吸になると、冷たく乾いた空気やアレルゲンが直接気管支に届いてしまい、下気道の炎症を起こしやすくなるのです。
つまり、「鼻呼吸ができない→気管支が刺激される→咳が出る」という悪循環が起きてしまいやすくなります。
上気道の炎症がそのまま下気道に波及
鼻炎や副鼻腔炎が長引くと、炎症を起こす物質(サイトカインなど)というものが、上気道から下気道にも広がります。
これによって、気管支が過敏になり、ちょっとした刺激でも咳・喘鳴(ぜんめい)・息苦しさを感じやすくなることがあるんです。
実際に「鼻炎をきっかけに喘息を発症した」という方も多く見られます。
後鼻漏(こうびろう)が咳の原因になることも
鼻の奥にたまった粘液が喉に流れ込む「後鼻漏(こうびろう)」も要注意です。喉や気管を刺激して、慢性的な咳や喘息発作を起こすことがあります。このタイプの咳は「風邪でもないのに長引く」という特徴があったりします。
こんな鼻症状があったら要注意!
- 鼻づまり・鼻水が2週間以上続く
- 夜間や朝方に鼻づまりが強く、口呼吸になっている
- アレルギー性鼻炎があり、運動や冷たい空気で咳や息苦しさが出る
- 口呼吸が常態化して、喉の渇きやいびきが増えている
これらに心当たりがある方は、鼻だけでなく「気管支や肺」にも炎症が及んでいないか、チェックしておいたほうがいいかもしれません。
放置するとどうなる?
- 長期間の鼻づまり→口呼吸→冷たい乾いた空気が気管支に直接入る
- 鼻の慢性炎症→炎症物質が下気道に波及→気管支が過敏になる
- ちょっとした刺激で咳・喘鳴・息苦しさが出やすくなる
- 悪化すると夜間の呼吸困難や生活の質(QOL)低下につながる
鼻の症状を軽視することは、喘息の発症・重症化につながることがあるんです。
今日からできる“鼻と気道を守る3つのポイント”
1. 鼻洗浄と点鼻ステロイドで鼻呼吸を守る
鼻づまりがあるときは、市販の生理食塩水スプレーで鼻を洗うだけでも効果的です。
点鼻ステロイドを併用すれば、炎症を抑え、気道への影響を減らすことが期待できます。
2. 気道のサインを見逃さず早めに受診を
「夜間の咳」「運動後の息切れ」「ゼーゼー音」がある方は、早めの肺機能検査や呼気NO検査などを受けることをおすすめします。
3. 生活環境を整えて再発を防ぐ
寝室の湿度や空気の清浄度を保ち、ダニ・ホコリに対する対策を徹底しましょう。
乾燥や冷気で鼻呼吸がつらいときは、マスクやマフラーを使って対策をしましょう。
まとめ:鼻の症状を抑えることが、喘息予防の第一歩
鼻水・鼻づまりを「ちょっとした不便」と放置していると、知らないうちに気道全体が炎症し、喘息へと進んでしまうことがあります。
逆に、鼻のケアを早めに行えば、喘息の発症や悪化を防げることもあります。
元八事ファミリー内科クリニックでは、鼻症状も喘息症状も一連の症状として、しっかりとみていきたいと思っています。
「鼻づまりが続いている」「夜に咳が出る」「息が苦しい気がする」などの症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
