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ブログ

帯状疱疹とワクチンによる予防について ~シングリックスを中心に~

一般内科

こんにちは。元八事ファミリー内科クリニックの浅野です。
今回は、帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチンについて、内容を少しまとめてみました。当院でも、帯状疱疹ワクチンの接種を行っており、50歳以上の方には積極的に打ってほしいワクチンの一つです。帯状疱疹に対してのワクチンといっても、実は2種類あるんです。そこで今回のブログでは、帯状疱疹とは何か、そして二つのワクチンの簡単な比較についてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルス(VZV)が再び活動を始めてしまうことで起こる病気です。子どもの頃に水ぼうそうにかかったことのある方は、その後もウイルスが体の神経の中に潜んでいます。そして、50代以降に免疫力が落ちたり、強いストレスや疲れが重なった時に再活性化してしまうと、帯状疱疹として発症してしまうんです

臨床でよく見るパターンとしては、「体の片側にピリピリした痛みが出て、その後赤い発疹や水ぶくれが帯のように広がる」という経過です。特に胸や背中に出る方が多いですが、顔や目の周りに出ることもあり、合併症の原因になることがあります。

怖いのは発疹が治った後に残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」です。これは何か月も痛みが続き、生活に大きな支障をきたすこともあります。私自身も昔外来で「夜も眠れないほど痛くてつらい」と訴えられる患者さんをたびたび経験してきました。だからこそ「予防」がとても大事なんだと痛感しています。

帯状疱疹を防ぐためのワクチン

帯状疱疹は発症してから治療するより、あらかじめ予防しておく方が圧倒的に安心です。そのために「帯状疱疹ワクチン」があります。

従来は弱毒化した生ワクチン(ビケンなど)が使われてきましたが、最近はより効果の高い「シングリックス(Shingrix)」という新しいワクチンが登場し、多くの方に選ばれるようになっています。

シングリックスとは?

従来のワクチンとの違い

シングリックスは、生きたウイルスを弱めて使うタイプではなく、ウイルスの一部(糖タンパク質E)を人工的に作り、それに免疫を強める成分(アジュバント)を組み合わせた「不活化ワクチン」です。 つまりウイルスそのものは含まれていないので、免疫力が落ちている方でも比較的安全に接種することができます。

高い予防効果

臨床試験では、50歳以上で約97%、70歳以上でも約90%の発症予防効果があると報告されています。さらに、帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行を抑える効果も高いとされています。 これまで「年齢が高いと予防効果が落ちる」と言われてきましたが、シングリックスは高齢の方でもしっかり効果が期待できるのが、大きな特徴だと思います。

効果の持続期間

生ワクチンは数年で効果が落ちてしまうと言われていますが、シングリックスは少なくとも9年は高い効果が続くことが示されています。長い目で見ても安心できるワクチンなんです。

接種スケジュールと対象

シングリックスは50歳以上の方が対象です。

接種回数

筋肉注射を2回行います。 1回目の2か月後に2回目を打つのが基本です。 少し遅れても6か月以内なら効果は保てるそうです。

こんな方におすすめ

- 50歳以上の方 - 過去に帯状疱疹にかかったことがある方 - 糖尿病や心疾患など、免疫力が落ちやすい持病をお持ちの方 - がん治療やステロイド治療を受けている方

実際に外来でも、「以前ひどい帯状疱疹でつらい思いをした」「友人が帯状疱疹になって苦しんでいるのを見て予防したい」という理由で接種される方も多いです。

副反応について

シングリックスは効果が強い分、副反応もやや出やすい傾向があります。

注射部位の痛み、腫れ、赤み

倦怠感、頭痛、発熱、筋肉痛

これらは数日以内におさまることがほとんどです。私の患者さんでも「打った翌日は少しだるかったけど、すぐに良くなった」という方が多いです。接種部位の痛みなどの局所反応は、ある程度の確率でおこりますが、数日でよくなることがほとんどかと思います。

シングリックスと生ワクチンの比較

効果と持続性

- 生ワクチン:効果は50~60%程度、数年で弱まる - シングリックス:効果は90%以上、長期間持続

対象

- 生ワクチンは免疫力が落ちている方には使えない場合がある - シングリックスは免疫低下がある方でも接種しやすい

費用

- 生ワクチンは1回で済むため安め - シングリックスは2回接種なのでやや高額

それぞれメリット・デメリットがありますが、より確実に予防したい方にはシングリックスが勧められるケースが多いです。

元八事ファミリー内科クリニックでの取り組み

帯状疱疹は「かかってから治す」より「かからないようにする」ことが大切だと思います。特に50代以降の方は、ぜひ予防のために、ワクチン接種を検討していただきたいと思っています。

まとめ

帯状疱疹は誰にでも起こり得る病気で、発症すると強い痛みや後遺症で生活の質を大きく下げてしまいます。シングリックスは高い予防効果と長期の持続性を持ち、これまでのワクチンの課題を大きく改善した選択肢です。

もし「帯状疱疹が心配」「予防を考えたい」という方がいらっしゃれば、名古屋市天白区の 元八事ファミリー内科クリニック にお気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりに合わせた最適な予防をご提案させていただきたいと思います。